「そうだ、ねぇ、モリヒデ。明日の日曜日空いてる?」
ヒグラシんちの居間で、ヒグラシの弟健太とWillFitで遊んでいたら、洗い物を終えたヒグラシが話し掛けてきた。
「えっ、その日なら空いてるぞ。稲刈りの予備日にしてたからな」
「良かった~。明日、松舞保育所の収穫際なのよ。今回、千華屋のアンコ使って、お餅を作るんだって。んで、餅突きを手伝ってくれる人を、日向さんが探してんのよ。うちのおじいちゃんが、それなら森山君が良いだろうって勝手に日向さんに話しちゃったのよ」
う~ん、大家さん俺の予定も聞かずに(-_-;)まぁ、美人の日向さんと話が出来るのは楽しいかな。
ナオライとか無いんかなぁ?
こんばんは、モリヒデです。
―――――――――10月24日(土)―――――――――
「それでね、臼や杵やら運んだり、蒸し器なんか運ぶのに、トラックが居るんだって。あんたんおとこの借りれないかなぁ?」
う~ん、うちの軽トラは今、車検だしなぁ
・・・そう言えば、会社の小村先輩んちも農家だったな。
さっそく、俺は小村先輩にメールを打った。
「明日の日曜日、軽トラ貸してもらえません?」
送信っと・・・
「お餅突くってもち米は、どうすんだ?」
「ん~何でも、近所の農家で田んぼ借りてるらしいよ。そこのお米の稲刈りを先週したんだって。」
「ふ~ん、最近の保育所は色んな事やってんなぁ・・・」
♪♪♪
おっ、早速返事が返って来ました・・・何々っと。
「何時から使うん?朝だけトラック使うんよ。それが終われば貸せれるけどな。」
「お~いい、ヒグラシ、何時に集合なんだ?」
「え~っと、確か、9時に保育所集合して、それから道具借りに行くって話だよ。」
9時かぁ・・・案外無理っぽいかも・・・
「9時に保育所集合です。収穫祭用の臼と杵を借りに行くんです。」短くメールを打ち返す。
ほどなくして、返信が有った。
「9時に松舞保育所なら、直接、車届けてやるよ。」
かぁ~、頼りになります、小村先輩♪
「宜しくお願いします。あっ、小村先輩も一緒に手伝いませんか? 保母さん紹介しますよ(笑)」
「ヒグラシ、OK。トラック手配着いたぞ~」
「本当、助かるわぁ。ゴメンね、ほんと、うちのおじいちゃんたら、急なんだから。」
「いや、大家さんには、いっつもお世話になってるからな。」
まぁ、こうしてヒグラシの家に堂々と上がり込めるのも、大家さん公認の仲だからでありまして(^^ゞ
♪♪♪
おっ、小村先輩からの返信です。
「用事が終われば、暇だからいいぞ。んで、可愛い保母さん居るんか?楽しみしてるぞ、オヤスミ。」
あはは、小村先輩、彼女居ない歴長いからなぁ~
ニヤニヤしている俺の横顔を見て、ヒグラシが携帯を覗き込んで来た。
「何それ? 保母さん目当てなんだ・・・あっ、モリヒデもなんでしょう~」
「ばっ、馬鹿。俺は・・・」ニヤニヤしている、健太が目に入った。
「何だよ健太! 俺はお前の姉ちゃんなんか、眼中に無いかんな!」
「はいはい、御馳走さま・・・俺、太一の部屋行ってPSⅢすっから。モリヒデさん、姉ちゃん、あんまり激しく床を揺らさないでよね(笑)」
「こら~健太!」「あのなぁ~健太!」
ったく、今の厨房はマセてんだから・・・ん?ヒグラシ?何、顔を真っ赤にしてんだ(笑)
「そっ、そうだ、楓も呼ぼうか? 定期演奏会終わって暇って言ってたから。」
「そっ、そうね。青木君も呼んで、みんなで餅突き頑張ろうか・・・」
俺は、携帯を握ると楓に電話をかけた。
「もしもし、おう、楓? お前明日暇か? えっ?用事が有る? ん?青木とデートか? ・・・あっ、そうなんだ・・・いや、俺も行くから、お前らにも、手伝ってもらおうかと思ってな。んじゃあ、いいや。おう、じゃ明日な」
俺は電話を切った。
「なんかブラバンも、収穫祭で、ボランティアコンサートするんだってさ。だから、明日、部員全員餅突きの手伝いなんだって。」
「へぇ~、何だかんだ言って、結構餅突き要員居るんじゃんない」
「そうだな・・・俺って必要だったんか?」
「う~ん・・・びみょ・・・嘘々、必要だって・・・きっと・・・」
「きっと・・・かぁ・・・」
「ぜっ絶対必要だって(^^ゞ そっそうだ、おじいちゃんから、田舎饅頭貰ったんだ、お茶淹れようか?」
「おっおう・・・頼む」
・・・なんか、俺達、普通に夫婦みたいですね・・・
しかし、餅突きかぁ。昔は良くやったなぁ・・・
うっ・・・俺が返して、ヒグラシが餅を突く姿を想像してみたら、思いっきり杵で手を突かれる光景が浮かんできた。
絶対にあいつには、杵を握らせないぞ~。


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