「それではみんな、今年も一年間、お疲れさまでした~」
青木先輩の音頭の下、みんなで乾杯する。もちろんジュースですよ。
今日は、松舞高校ブラスバンド部恒例の、クリスマス会です。
こんにちは、森山楓です。
―――――――――12月22日(火)―――――――――
20日のクリスマスコンサートも、無事に終わりました。
急遽アンコールの演目に加わった「スターダスト」、サックスソロの大役を、本田がきっちりと吹き切って大好評でしたよ。

さて、今、みんなでお菓子を食べながら雑談中です。
最初は男女に別れておしゃべりしていたんですが、元々男女の仲が良いうちの部ですから、すぐに男女入り乱れての雑談会に発展しちゃいました。
「んで、青木、お前もう森山さんとキスとかしたんか?」
金管パートの先輩が、青木先輩にとんでもない事を聞いています。
「いや、俺達は別にそんな仲じゃ無いから~」
「今更、何惚けてんだよ~。もうバレバレなんだよ~、お前らの事は」
「ねぇ、本当のところどうなの?楓ぇ」
同じフルートパートの美夏子ちゃんが、こっそり私に聞いてきました。
「もう、美夏子まで~。してないわよ、キスなんか」
「じゃあじゃあ、手とか繋いだ? あっ、それともキスはしてないけどそれ以上の事しちゃったとか~」
「あのね~美夏子~、本当にまだ何にも無いって。」
「まだって事は・・・この先予定が有るんだぁ」
うっ・・・言葉に気を付けなきゃいけませんね、とんだ失言でした。
「ナイナイって。美夏子こそ、足立先輩とどこまでいったのよ~。」
「んっ?足立先輩、今、大学入試控えてるからって、最近遊んでないんだぁ」
大学入試かぁ・・・来年の今頃、青木先輩も同じ様に大学入試で忙しいのかなぁ・・・
「え~、青木まだキスもしてないの~」
んっ、向こうではまだ青木先輩への尋問が続いているみたいです・・・
「いいだろ、ほっとけよ~。そう言うお前はどうなんだよ~。相変わらずゲームの世界に没頭してんのか? いい加減2次元の世界からこっちの世界に戻って来いよ」
「うっせぇなぁ~。あっ、そう言えば本田はどこだ?あいつ、結構昼休みに沢田ちゃんと図書館で仲良くしてるって、噂に聞いたけど・・・本田~本田~あれ?どこ行った奴は?」
とりあえず矛先が本田に移ったみたいですね・・・そう言えば、さっきからあいつの姿見ませんね、気が付いたら沢田先輩の姿も・・・

「んじゃあ、少し人数が減ったみたいだけど、ここで恒例のビンゴ大会を始めます。」
青木先輩が立ち上がって、準備を始めた。
「楓ちゃ・・・森山さん、これを黒板の前の机に持って行ってくれる?」
「あ、ハイ分かりました。」
「森山、落とすなよ。」そう言いながら、本田が半分荷物を持ってくれました。
「ありがとう、本田。あんた、居たんだ」
「おいおい、酷いなぁ。そんなに存在感無いんか?俺は」
あっ、また鼻の頭を掻いてます、怪しいなぁ(笑)
ビンゴ大会は、皆が持ち寄ったクリスマスプレゼントを、ビンゴになった人から選べる様になっています。
「リーチだ」「あっ、私もリーチ」
ううっ、早くもリーチが出始めましたね。こんな時も私はやっぱりとろいんだ。

「それじゃあ皆、お疲れ様~」
盛り上がったクリスマス会も終わっちゃいました。
でもでも、私にはこの後もっと楽しみなクリスマス会が有るんです。
それは、青木先輩と二人で、青木先輩の家で二人っきりのクリスマスパーティーを開くんです。
なんでも、青木先輩のご両親は旅行に出掛けちゃったそうで、今夜は青木先輩の家にお泊りなんです♪
もちろん、家族や友達にも内緒なんですけどね。アリバイ工作の為、佳奈絵さんには連絡して有るんですけどね。
折角のクリスマスなんだし、キスくらいは、許されますよねきっと。
♪♪♪
ん?そう言ってたら佳奈絵さんからメールです。
何でしょう?
「・・・・・・ひ、避妊ちゃんとするのよって・・・・・」
う~ん流石に女の勘って鋭いんですね・・・

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