「はいはい、積もる話は乾杯の後にしましょうね。」日向さんが皆にビールやジュースを渡す。
さすが日向さんです、モリヒデには有無を言わせずジュースを渡してます(笑)
「それじゃあ、みんな。今日は飲んで食べて楽しみましょう、かんぱ~い」
日向さんの挨拶で、みんなが乾杯をする。
たまには、こんな休日も良いですよね♪
しかし、世間は狭いって言うか、松舞が狭いのかな? 日向さんの彼氏さんと、小村さんがバスケの知り合いだなんて。
二人ともバスケ選手ってだけ有って、背が高くてカッコイイんですよね。
それに比べて‥‥‥写真部OBのあいつときたら(^_^;)
最近、ウエストが太くなって来ているらしい。
このところ、不摂生ばかりしているしね


みんなで、ワイワイと楽しく飲み食いをしていたら、みゆちゃんパパが「出来た~」っと声を挙げた。
みんなでワァ~っと集まる。
これが、噂のダッヂオーブンって奴ですね。
「すごいよなぁ、美結ちゃんパパって。一人で鶏の丸焼きなんか作っちゃうんだもんなぁ、なあ楓」健吾が話し掛けてきた。
「そうよね~。健吾あんたも、草食系男子を気取ってないで、もっとワイルドになってみたら?」
「大きなお世話だ、楓」

木下さんが重そうな黒い蓋をあけると、美味しそうな湯気が辺り一面に広がった。
「お~イイ香りだな、ヒグラシ」
「そうね、ローズマリー達のハーブの良い香りもするわね」
「そうよ金田さん、今日のチキンは自家製ハーブを使った木下家特製チキンなのよ」
「すごい、ハーブも自家製ですか」
「うん、未だ育て始めたばっかりだから、そんなに量は無いけどね」
なんか、木下さん夫婦を見ていると、私の目指している結婚生活のお手本の様な気がします。
木下さん達みたいな温かい家庭を築きたいものです。

大きなお皿の上には、こんがりと焼き上がったチキンが鎮座しています
「さあ、みんな好きに切り分けて食べてよね」
ナイフとフォークで、腿の部分を少し切り取り、付け合わせの野菜もお皿に取る。
う~ん、さすが美結ちゃんパパが、他人に振る舞いたくなるだけの事は有って、程よい塩気に、爽やかなハーブの香り、ピリッとスパイスも効いていて、凄く美味しいです。
「美味しいですね、比呂十さん。」
「そうですね、こんなレストランでしか食べれない料理を、松舞川の河川敷で食べれるとは思いませんでしたよ。エンジェルスの女の子達に言ったら、うらやましがるでしょうね、きっと」
「ですよね、『コーチ達ばっかりズルイ~』とか、絶対言われそうですよ(笑)」

「それで、小村さんのミニバスチームは強いんですか?」
少し酔っぱらった洋ちゃんが、小村さんに話し掛けています。
「今年は、一応夏季県大会に出場出来たんですよ。でも、うちのチームは背が高い訳でも、個人スキルが高い訳じゃないですからね。ただ美咲さんのトレーニングのお陰で、体力が付いて来ましたから、オールコートのマンツーで、ゲームが出来るんですよ。」
「そりゃ、子供達も大変ですね~(笑)。」
「ははっ、確かに。子供達には鬼コーチって呼ばれている事でしょう。 ところで、今、村田さんはどちらにお勤めです?」
「俺っすか? 営業会社で、松舞を皮切りに大阪、東京と転勤続きなんですよ。」
「そうなんだ、じゃあ今日会えたのは、本当に偶然だね」
「そうですよね、これからも日向の事を、よろしくお願い致しますね小村さん」
「イエイエこちらこ。って言うか、お願いするなら錦織先生の方じゃないかい?」
もう、洋ちゃんったら、余計な事を(笑)
「そう言えば、二人の馴れ染めを未だ聞いてなかったわね、日向先生~」
うっ、錦織先生‥‥酔っぱらってませんか?
「はいは~い、俺達知ってま~す」
モリヒデ君も酔っぱらってますね‥‥
「こら、未青年は黙っておきなさい。それより、ケーキ種を作るの手伝ってよねモリヒデ」佳奈絵ちゃんが、止めに入ってくれた。


なんでも、金田さんと森山さんが美結達の為に、ケーキを焼いてくれるそうで、ダッヂオーブンの使い方を教わりに来た。
火加減とかが難しいから、焼き担当は俺と真子がやる事にした。
美結も、何かと彼女達の手伝い‥‥って言うより邪魔をしている
普段、他の大人達と接する機会が少ないから、いいチャンスだと思う

「かなえおねえちゃん、ちいさくした、にんじんさんは、どうするの?」
「えっとね、美結ちゃん。このボールの中に入れてくれるかな」
朝ちゃんに急遽、メールでレシピを教えてもらっておいて良かったです。
ほんとう、頼りになる友人です、朝ちゃんは。
そう言えば、今年も朝ちゃんと颯太は、松舞の花火大会に合わせて帰って来るそうです。
朝ちゃんに、沢山話したい事が有るから今から楽しみです♪

幸ちゃんが、こんなに皆に頼りにされるなんて、思ってもいませんでした。
ダッヂオーブンに炭を乗せたり、下に炭を加えたりしながら、ケーキを焼いている幸ちゃんの横に座り、「お疲れさま」って缶ビールを差し出す。
「おっ、サンキュー真子」喉をグビグビ鳴らしながらビールを飲む幸一。
「丸焼きも随分はけたわよ。」
「そうみたいだな、後に残った骨は持って帰ろう。いいスープが取れるからな」
「うん、了解」食材を最後の最後まで使い切る、その姿勢も大好きなんですよね。少し暮らしが楽になったからと言って、決して贅沢はしない姿勢が。


「ちょっと、健吾。あんた未だ食べるの?」
「おう、だって旨いんだよ、このチキン。えっ?何すかヒデ兄? カルビが焼けたんですか? それも頂きます♪」
う~ん、信じられません、この食欲!
「楓、しっかし、バーベキューって楽しいもんだな。今度、家でもやろうな。」
「そりゃ、あんたは食べるだけだろうから、楽しいだろうね」
「ちゃんと、材料切る所から手伝うって。いつかキャンプにも行きたいな。」
「う‥‥うん」いくら草食系の健吾とは言え、二人でキャンプは‥‥‥でも楽しいでしょうね、満天の星空を眺めながら、二人でするキャンプって。


「じろうくん、もうすぐケーキがやけるね。」
「うん、たのしみだね、みゆちゃん」
「でも、ニンジンケーキって、ニンジンくさくないのかなぁ?」
「ダメだよ、みゆちゃん、ニンジンくさくっても、ちゃんと、たべなきゃあ。ちゃんとたべなきゃ、ぼくのおよめさんにしてあげないぞ」
「じろうくんの、いじわるぅ。みゆ、がんばって、たべるからぁ」

・・・・・・あらら、次郎君ったら、さり気無く美結ちゃんに、プロポーズなんかしてますね。
しかし、予想以上にバーベキュー大会は盛り上がってます。
企画した私としては、嬉しい限りです。
えっ?何?モリヒデ君?「また、企画して下さい」って?
「うん、良いけど、今度はフリーのイケメン男子を連れて来てよね、モリヒデ君」
・・・しまった洋介が睨んでいます・・・私まで酔っぱらってしまったのかしら?
「うそうそ、嘘だって、洋ちゃん。私は、洋ちゃんオンリーだって♪」

一瞬、みんながこっちを振り返った・・・
「日向さん、ラブラブだね。」「日向先生~、妬けちゃうわぁ」「ひなちゃん、ごちそうさま~」
みんなが口々に言いたい事を言ってくれます。
洋ちゃんは、小さく「馬鹿」って言いながら、飲みかけの缶ビールを高く上げた。


「さぁ、ケーキも焼けたぞ~」
木下君の掛け声に、またみんなが、ワァっと集まって来た・・・
「美味しそう~」「きれいな色だね」「良かった、ちゃんと出来た」
みんなでワイワイおしゃべりをしながら過ごす休日、今日は最高の一日です。




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