♪♪♪
電灯を灯した洋君の部屋に、携帯の着メロが鳴り響きます。
「はいはい、待ってね洋君♪、今着替えてるから・・・」
ちょうど私が、洋君のアパートに着いたところでした。
急いで着替えて、携帯を開く。
「今から帰るわ。アパートに着くのは6時半過ぎかな。何か買って帰る物有るかい?」
こんばんは、日向です。
―――――――――9月23日(水)―――――――――
「お疲れ様。お買い物済ませてあるから大丈夫だよ」そう打ち込んで送信ボタンを押す。
6時半かぁ・・・夕ご飯作ってたら丁度いい時間ですね。
明日は休みだし、今夜はゆっくり過ごして明日レポート書くか、今夜頑張って明日ゆっくり過ごすか悩むところですが、それは洋君の明日の予定に合わせるとします。
冷蔵庫から、鶏肉や付け合わせの野菜達を取り出し、準備を始める。そうそう、さっきスーパーで買い足した材料を冷蔵庫にしまっておかなくちゃいけませんね今夜のメニューは、鶏もも肉のピカタに温野菜のサラダです♪

精神的にも身体も疲れているはずなのに、不思議と休日と同じ様に身体が動くんですよね。
きっと今の環境を目一杯満喫しようとしているからなんでしょうね。
でも、これが毎日ってなるとどうなんだろう?
洋君の事だから、「炊事洗濯家事全般は女がする物」なんて、男尊女卑な考えは持ってないとは思うんだけど、やっぱり職場環境的に私が先に帰って家事をする事が多いと思います。
やってやれない事は無いとは思いますが、きっちりこなせるか不安と言えば不安です。
今更ながら真子に、感心してしまいます。
仕事で疲れて帰ってきて、美結ちゃんの相手をしながら食事を作り洗濯をしてお風呂掃除をしてお風呂の準備をする・・・木下君がもし残業だったりしたら、それを一人でこなす訳ですからね。
う~ん、私に出来るんでしょうか?
今まで深く考えなかった事が、ちょっぴりリアルに感じられる様になって、考えてしまいます。
・・・これって所謂マリッジブルー???
未だ、結婚するって正式に決まった訳じゃないのに可笑しいですね
(^^ゞ
でもでも、正直結婚したらどんな生活を送るんでしょう?
夢と現実のギャップに愕然としちゃいそうで、なんだか怖いです。

ふっと、結婚に向けて準備を進めている美咲先生を思い出し、改めて感心してしまいました。
未だ公表はしていないんですが、比呂十さんと美咲先生は来年の結婚に向けて、少しずつ準備を進めているそうです。
私の方は、この3人の中では一番早く彼が出来た割には、環境が整わず結局一番最後にゴールインって状態に陥っています。
‥‥‥だからと言って、洋君を責める気は全く無いんですけどね。


そんな事を考えながら料理をしていると、洋君が「ただいま~」って言いながら、玄関を開けて帰ってきました。
「お帰り、洋君・・・お腹空いたでしょ?今準備してるからね」
「おう。いい香りだな日向、俺も直ぐ着替えて手伝うからな」
「えっ?いいよ洋君。洋君疲れてるでしょ?」
「疲れてるのは日向も一緒だろ?」
「そりゃそうだけど‥‥‥」
確かに仕事を一日やってきたと言う点では、同じなんですよね。
でも私は座学だから、眠気と戦う事以外は全然楽なんですよね。
だからやっぱり大変なのは洋君の方で、そんな洋君にはゆっくりしていてもらいたい。

「お待たせ。何を手伝えば良い?」
「やっぱりいいよぉ、洋君の方が疲れているだろうから、ゆっくりしててよ」
「『ゆっくりしててよ』って言われてもなぁ‥‥‥日向がせっせと働いているのに俺だけのほほんとしているのは、申し訳なくて逆に精神的に落ち着かないからな」
「‥‥‥そっか、そんな物なの?」
「そうだって。それに女だからとか仕事が楽だったからとか、気負う事は無いんだぞ。むしろ給料面で言ったら日向の方が稼いでるんだし(笑)」
うっ、私の心を読まれてますね。
「まぁ、俺が作る料理より日向の料理の方が、何十倍も旨いのは間違い無いけどな。疲れた日は外食しちゃっても良いし、コンビニ弁当だって全然OKなんだからさ。もし毎日交代で食事の準備するとしたら俺が当番の日の4分の3は、そうなっちゃうだろうなぁ(笑)。あと洗濯物だって極端な話週末にまとめてやっちゃったって全然問題ないと思うぞ。家事に費やす時間を減らしてその分日向と一緒に過ごしたいしな。」
思っても無かった返答に、ちょっぴり泣きそうになる。
「どちらかが大変な思いをする生活なんて長続きしないと思う。お互いイーブンな関係で良いんじゃないか?それで問題が生じた時に初めて考えれば、それで大丈夫だと思うけどな。」
・・・結局、私が気負いし過ぎていたんですね、男尊女卑を意識していたのは私の方かもしれません。
何も考えていない様な態度だけど洋君は洋君で将来の事を少しは考えていたんですね。

「OK、惣菜とか食卓に運び終わったぞ。後はお茶と取り皿位かな?」IMG_1118.jpg
「うん、ありがとう。こっちももう出来上がるからね。ご飯よそってもらっても良い?」
「おう、任せとけ」
こうやって二人で料理するのがやっぱり楽しいですね。
「日向、お前ご飯これ位でいいかぁ?」
そう言って目の前に差し出されたご飯茶わんには絵に描いた様な・・・例えるなら「まんが日本昔話」に出て来そうな山盛りにご飯がよそわれていた。
「・・・・・無理!そんなに食べられないって(笑)」
「あっ、やっぱり~(笑)」
二人で大笑いした・・・そんな生活がいつまでも続けば、それで良いと思いながら。


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