「お世話になりました」そう言いながら玄関の扉を開ける。
しばらくして美結ちゃんが、ランドセルを背負って駆け寄ってきた。
「真子ちゃん、お帰りなさい」
「はい♪美結ちゃん、ただいま」
今年から、美結ちゃんは小学生です。舌足らずだった発音も、随分と治りました(笑)
・・・子供の成長って早いですね、こんばんわ真子です。
―――――――――6月10日(金)―――――――――
本家の叔母さんに、子守りのお礼を言って玄関を閉める。
授業が終わったら学童保育、そして夕方本家のお孫さん美夏子ちゃんと一緒に下校して、そのまま本家に預かっていただいてます。


「美結ちゃん、今日もお弁当ちゃんと全部食べたかな?」
「うん、今日のお弁当のピカ○ュー、可愛かったよ」
「本当? じゃあ、明日は誰にしようかなぁ♪」
「美結ね、ミッ○ーマウスが良いなぁ」
・・・それって、基本白と黒ですね、楽出来るかも。
キャラ弁作りも随分と慣れてきました。
調子に乗って、幸一の弁当までキャラ弁する事も有ります(本人は会社の女の子に笑われたっと怒ってます)


わが家の玄関を開け、「ただいま」って二人で声をそろえて言う。
そんな、小さな事にも幸せを感じてしまう、そんな自分嫌いじゃ有りません。

リビングに行こうとする美結ちゃんに、声をかける。
「美結ちゃん、お母さんにただいま言ったかな?」
玄関横の部屋の電灯を点け、仏壇の前に美結ちゃんを坐らせ、その後ろから抱え込むように私が坐る。
美結ちゃんが鐘を鳴らし、何やら拝んでいます。
(弥生。今日も一日、美結を見守ってくれてありがとう。)
私も手を合わせて、そう心の中で呟く。


キッチンに続くリビングには、美結ちゃんの学習机が置いて有ります。
2階の美結ちゃんの部屋に置くのが、筋なのかも知れませんが、出来るだけ皆で一緒に過ごす時間を増やしたいと考えた結果、2階の美結ちゃんの部屋は遊び場兼寝室で、勉強はリビングっと言う事に決まりました。

「じゃあ先ずはお弁当箱ちょうだい。それと、今日は何かプリントもらってきた?」
「え~っとね、3枚有るよ」ランドセルを覗き込み、ごそごそとプリント入れを取り出しています。
「ふ~ん授業参観かぁ。そう言えば保育園の時に、お父さん、美結ちゃんがお遊戯している所、見に来た事有ったっけ?」
「ん~っとね、一度だけ有ったかな。保育所の後、サンモールでご飯食べたよ」
「・・・そうか、土曜日に確かあったわね。『今度、美結ちゃんが勉強している所を見に行て』って学校からお手紙来ているけど、お父さんと真子ちゃんと、どっちが行った方が良いかな?」
「う~ん両方~♪」
「それはちょっと困ったなぁ(^_^;)」
「じゃあ、真子ちゃん。真子ちゃんの方が、恥ずかしくないから」
「そうかぁ、お父さんに見られるの恥ずかしいかぁ」
「違うよ~ 『あれが美結ちゃんのお父さん?』って、みんなが聞くから、恥ずかしい」
・・・微妙な理由ですね。
気持ちは分かるけど、ここは言っておかなければいけませんね。
「あ~っ、そんな事言ったら、お父さん泣いちゃうよ美結ちゃん」
「うん分かったぁ。もう言わない。」
そうそう、子供は素直が一番!
「だって、お父さんの泣いた顔、変だもん。」
・・・負けました

「うっ・・・さて、真子ちゃんが夕ご飯作ってる間に、宿題やってしまうのよ」
「うん、さっきまで美夏子ちゃんと、お勉強していたから、もう少しで終わるぅ」
「そっか、じゃあ楽勝だね。真子ちゃんも頑張って夕ご飯の支度しなきゃ」
「美結、お勉強が終わったら、料理手伝うぅ」

「・・・真子ちゃん、レタスちぎるのこれでOK?」
「あら、上手に出来たわね、ありがとう美結ちゃん」
考えていた以上に、細かくちぎってありましたけどね(^_^;)
「じゃあ次は、お茶碗の準備お願いしま~す」
「は~い♪」
「そうだ。お父さんはお仕事で遅くなるから、先に夕ご飯食べておいてって、メールが来たよ。」
「残業とか言いながら、どこかで合コンしてないわよね」
あんたは本当に小1なの?って突っ込みたくなる位、美結ちゃんの突っ込みがレベルアップしています。
「ちがうよ美結ちゃん。お父さんは、ちゃ~んとお仕事してるって(多分だけど)」
「じゃあ、このお父さんの分のコロッケ、冷蔵庫に入れておくぅ」
「そうね、お願いします♪」

「いただきます」「いただきま~す」
手を合わせ、二人で合唱する。
結婚前から、同じ事をしてきたはずだけど、今の「いただきます」は、あの頃の「いただきます」とは少し違う、そんな気がしてなりません。
世話をしてくれる真子ちゃんから、もう一人のお母さん真子ちゃんになっている訳ですから。

美結ちゃんとお風呂に入り、2階の寝室で一緒に横になって、色々なお話を話して聞かせている。
美結ちゃんは、みぃちゃんとラビ君の冒険話が大好きです。
即興話だから、支離滅裂なストーリーなんですけどね(笑)

弟3話の途中で、美結ちゃんは眠りにつきました。
そっとベッドを抜け出し、1階に下りる。
時計は10時を回ってます。
携帯をチェックしてみたけど、幸一からの連絡は入っていませんでした。

パソコンを立ち上げ、こっちのメールもチェックする。
・・・日向ちゃんから、メールが来ていました。
メールボタンをクリックした時、庭に車が止まる気配がしたので、玄関に出てみる。
程なくして、「ただいま~」って元気に玄関を開ける音が。

「幸ちゃん、お帰りなさい」そう、言いながら幸ちゃんの首に抱きつく。
「毎度の事だけど、やっぱり一瞬焦るよな」そう言いながら、幸ちゃんは唇を寄せてくる。
(んっ?)
「ちょっと幸ちゃん、お酒臭~い」
「あぁ、接待に付き合わされてな。だから、列車に乗って駅からはタクシーで帰ってきた。」
・・・「呑み」という点では、美結ちゃんの直感が当たってる?
「そっか。・・・まさかして合コンじゃないわよね?」
「ごっ合コンって。・・・・・・・・・あのなぁ~。」
・・・妙な間が有りましたが、深く追及するのは布団の中でにしましょう(^-^)

「じゃあ、夕ご飯はどうする? 今夜はコロッケよ」
「あ~明日の朝食べるわ。それよりコーヒーでもいれてもらえるかなぁ」
「うん。じゃあその間に着替えておいてね。美結ちゃん寝てるから、静かに階段上ってね」
「おう、分かった」


「美結のやつ、布団跳ね退けて寝てたぞ。あの寝相の悪さは俺似だな(笑)」
「そうね(笑) あっ、ねぇ。ちゃんとお布団掛けてあげた?」
「もちろん。この時期、夜は暑いけど、明け方はまだ寒いもんなぁ」
「そうよぉ、今朝だって幸ちゃん、布団を一人占めしてたんだからね。もう少しで風邪ひくところだったわよ」
「そうか。悪い悪い」
「コーヒー入ってるわよ。あっ、その前にお弁当出しておいてね。」
「おう、ごちそうさまでした。」

・・・そう言えば、美結ちゃんもお弁当箱出してなかったわね
美結ちゃんの手堤かばんから、お弁当袋を取り出す。
袋を開けると、お弁当箱の上にお手紙が乗っていた
「?」
そこには、小さな文字で[ごちそうさまでした。いつもお弁当ありがとう]って書かれていた。
・・・美結ちゃんなりに、気を使ってくれているんですね。
明日は休みなんだし、一緒にケーキでも焼きましょうか♪

コーヒーカップを持って、パソコンの前に座った幸ちゃんが、話かけてきた。
「真子~ 緑川から届いてるぞ~」
「あぁ、うん。幸ちゃんが帰って来たから、まだ読んでないんだ」
美結ちゃんの手紙を仕舞い、幸ちゃんの横に座る。
「え~っと、なになに?」

[真子ちゃん、こんばんわ。 美結ちゃん元気? ついでに木下君も元気かな? こっちは、神戸の生活に少しは慣れてきましたよ。 洋一は、まだ就職が決まらず専業主夫状態です。 就職早く決めてもらいたいのは山々ですが、家事全体の心配をしなくて良い生活も、中々捨て難い気もします。愚痴はこれ位にして、最近ブログ始めました。タイトルは「僕と彼女の日々」(^_^;) 知らない間にブログ始めてたから、タイトルに関して私はノータッチですよ。まぁ、管理人は洋君だし。アドレスはhttp://bokukano.doorblog.jp/です。本当はツイッターやFace bookとかもやってみたいんですが、それは次の段階にしようと思います。まぁ、暇な時にでも覗いて見てね。それと、本当に暇だったら皆で神戸に遊びに来て下さいね。ではでは、またメールします。日向より]

早速、ブログに飛んでみた。
「へぇ~これ、日向と村田さんのブログ? いいなぁ、俺たちも始める?」
「いやぁ~、それは勘弁だよ幸ちゃん。松舞じゃあ、すぐに誰なのかばれそうだし、ネタ切れで更新しなくなるのがオチじゃない?」
「まぁ、確かにそうなのかもしれないなぁ・・・」

・・・ふぅ~適当に話をごまかせましたね。
実は、パソコンだと洋君にばれちゃうから、携帯ブログを立ち上げてます。
もちろん、洋君や知り合いには内緒です。
唯一知っているのは、美結ちゃんのみ・・・って言うか、美結ちゃんも私が手伝って記事を書いてます。
これは、二人だけの女同士の小さな秘密です♪


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