「おはようございます、森山先輩」
僕は、会社の駐車場で森山さんに挨拶をした。
「お~竹下、どうだった?ちゃんと大人になったか?」
「いきなりその話題すか?」

「おっす森山。何を朝から騒いでるんだよ」
僕の背後から、小村先輩の声がした。
「あっ、小村先輩おはようございます。」
「おっ、竹下じゃん。男になったかぁ」

いや、二人とも爽やかな顔して、どうしてそんな話出来るんですか(^_^;)
おはようございます、竹下です。
―――――――――7月19日(火)―――――――――
「そうだ小村さん聞いて下さいよ、竹下の彼女って23歳なんですって」
「おっ、姉さん女房かぁ・・・いいなぁ、色々彼女に手ほどき受けたんだろうなぁ?」
「『いいなぁ』って小村さん、今の発言は問題ですよ。良いんですか、美咲さんにチクっても?」
「馬鹿、嫁さんの耳に入ったら、小遣いカットされてしまうだろうが」

・・・うまい具合に話題が擦り変わったみたいですね。

「・・・んで結局のところ、どうなんだよ竹下?」
うわっ森山さん、まだその話題引きずってたんですか?
「ぼ、僕らは清い付き合いですから」
・・・一応、夜の必需品は準備してましたけど(^_^;)

「そんな事言って。実は彼女の方は期待してたんじゃないか?」
「えっ? マジですか? そんなもんなんですか?」
「おい森山ぁ! お前どう言う教育してんだよぉ! 竹下の奴、マジで何もしてないみたいだぞ。」
「いや、俺はちゃんと教育しましたよ、いつか小村さんが俺に言ったみたいに」
「んっ?俺何か言ったっけ?・・・・・・あぁ、あれか?『後ろは初心者にはハードルが高いから、最初は真ん中にしておけ』って奴?」
「そうそれっす。俺、今でもちゃんと、言いつけを守ってますよ」
う~ん、この二人は、朝から何て会話をしているんでしょう(^_^;)

・・・でもマジで、二人が喜びそうな事してないですよ・・・三泊中金曜の夜と日曜の夜は車中泊でしたし、土曜はそれぞれのテントで寝てましたからねぇ
まぁ、正確には日曜の夜は、少し良い雰囲気だったんですけどね。
あの時のカヲルさんのセリフは、さっきの小村先輩の話じゃないですけど、マジだったんでしょうか、僕にアプローチをかけていたんでしょうかねぇ?



「ふう~、何とか本州に戻れましたね。これで最悪、高速が通行止めになっても、下道で島根に帰れますね。」
「そうね純君。あっ、そろそろ運転変わろうか?」
「まだ大丈夫ですよ、カヲルさん」
「でももう0時回ってるし、子供はオネムの時間でしょ。」
「あ~また、子供扱いする~」
「んふっ、ゴメンゴメン。でも、そろそろ二人とも、マジで寝る事考えなくっちゃね」
「あ~、そうですね。別に無理して松舞に帰る必要ないですもんね。どうします、一度高速降りてホテルでも探します?」

「ホテルぅ?」
「いっ・・・いやっ、別に変な意味じゃないですよ。普通に寝るだけですから。」
「・・・な~んだ普通に眠るだけなんだ、残念。お姉さんが色々教えてあげたのに」
「なんっすかカヲルさん、その意味深なセリフはぁ」
僕は、少しほっぺたを膨らませた。

「ゴメンゴメン、怒った純君?」
「別に怒ってなんかないっすよぉ。ただ、返答に困っただけですぅ」
「ふふっ、耳まで赤くなってるよ純君、可愛いんだから」
「んもう~。また、子供扱いするんだから とりあえず、次のパーキングで車停めますよカヲルさん」
「うんOKだよ」


今からホテル探そうにも、チェックインの時間帯は終わっていますし、ファッションホテル探そうにも見つかる可能性は低いし、空室が有るとも限りませんので、結局高速のパーキングで車中泊する事になりました・・・非常に残念です(>_<;)

「んじゃあ、カヲルさんおやすみなさい。」「おやすみ、純君」
僕らはそれぞれ寝袋に包まった。

・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・
「う~ん、いざ眠ろうと思うと、逆に眠れないものね。こんな事なら、冷たいビール買っておけばよかったね・・・あっ、でも純君は未青年だから飲めないね」
「んもう、どこまで子供扱いすんですかぁ。誰です昨日の夜、先に酔っぱらってしまって、僕にビールを飲め飲めって絡んできたのは? おかげで、500mlを3本も飲んだんですよ」
「あ~? そうだったっけ?」
「そうですよぉカヲルさん」

「ゴメンゴメン それより、本当に眠れそうにないわぁ・・・」
「どうします? 温くなったビールなら、ザックに2本残ってますよ。つまみも適当にナッツやチョコが残ってますし」
「そうね、仕方ないけどそのビール飲もうか・・・あっねえ、あそこの自販機にジンジャーエール置いて無いかなぁ?」
「見てきましょうか? でも、ジンジャーじゃ眠くならないですよ」
「分かってるわよ、そんな事。とりあえずジンジャーかコーラ辺り買ってきてよ。その間に宴会の準備しておくから」
う~ん、ジュースなんか飲んでどうするんでしょう?


「ジンジャーエール有りましたよ、カヲルさん」
「おっサンキュー、じゃあカップ持っててね。・・・こうしてビールとジンジャーエールを半分づつ注げば、少し温いけどジンジャーガフの出来上がり~」
「マジですか? ジンジャーエールにビール?」
「あら、これはちゃんとしたカクテルなのよ純君。とりあえず、乾杯しよ乾杯」

まぁ温かくなったビールを飲む事思えば、冷えているだけマシですかね。
僕は、カップに恐る恐る口を付けた・・・
「おっ、旨いじゃん、これ。さすが伊達に歳食ってませんね」

「何よ、その『歳食ってない』って? 子供扱いする仕返しのつもり?」
「違います違いますって。褒めてるんですよ・・・多分ですけど(^_^;)」
「・・・まぁ良いわぁ。あのね、このカクテルは、私が良く飲みに行くカクテルバーのマスターに教わったの。甘苦くって、美味しいでしょ。他にもトマトジュース割や、レモン絞ったカクテルだって有るのよ」
「マジっすか、それ?」
「意外と美味しいんだよ。まぁ、大人の味かもね」
「あっ、また子供扱いしようとしたでしょう」
「違うわよ違う・・・ほら、どんどん飲んだ飲んだ。」

「未青年にアルコールを勧める医療関係者って、どうなんっすか?」
「酒は百薬の長っていうじゃないのぉ。そもそも、私と初めて会った日には、もう飲んでたじゃないのよぉ純君はぁ」
あ~、カヲルさんったら、もう酔い始めてますね(^_^;)

「いつか純君と、その店で呑んでみたいなぁ。・・・当分先の話になるけどね。」
「はいはい、それまでしっかり僕の面倒見ていて下さいよカヲルさん」
「う~ん、それは純君次第かな。純君こそ、しっかり私に尽くしなさいよ」
「何で急に、女王様口調なんですか?」
「そうよ、私は女王様よ。さぁ下僕よ、私の登山靴を舐めなさい」
「んもう~カヲルさん、完全に酔っぱらってますね。」
「何よ、下僕の分際で生意気よ。そんな下僕には、鞭打ちの刑よ。エイッ」
「痛てっ! カヲルさん、細引きを振り回さないで下さいよ、結構痛いですよ、それ。」
「下僕のくせに、女王様に命令するとは何事よ。そんな悪い子はお尻ペンペンしちゃうから。」
「うわっ、女王様プレイの後はチャイルドプレイですか・・・って、マジで僕のクライミングパンツを脱がそうとしないで下さいよ」
「まだ、この私に命令をするのか、この下僕はぁ」

僕は、がっちりとカヲルさんにホールドされてしまった。
「うわっ、カヲルさんマジたんまっす。ビールがこぼれちゃいますって」
「う~ん気にしない気にしない。さぁ、ズボン脱いでお尻を出しなさいよぉ」
「わぁ~そんなに暴れたら、周りの車からカーセックスしてるって、勘違いされますよカヲルさん」
「良いわよ、本当にやっちゃおうかカーセックス」

「もう~、本当に酔っぱらってるんですからぁ」
「私は平常心よ純君。さぁ、諦めてズボン脱ぎなさい」
「だからイヤですって。今度シラフの時にゆっくりしましょうよ」
「『しましょうよ』って、一体何をするつもりなのよぉ」
「いや、だから・・・その・・・」
「ふふっ。少年がまた真っ赤になった、可愛い」
そう言いながら、カヲルさんは悪戯っぽく、僕にキスをした

・・・・・・

一度唇を離し、お互いの瞳を見つめ合う
そして、僕らはもう一度キスをした。

・・・・・・「カヲルさん? あの~、どうしちゃったんでしょう僕達」
「・・・・・・馬鹿、純君の馬鹿。もう知らない。ふぁ~あ、眠くなってきたから、私寝るわね」そう言いながら、カヲルさんはシュラフに潜り込んだ。
その瞬間、カヲルさんの顔は真面目な表情だった。



あの時のカヲルさんの表情は、一体何を意味しているんでしょう?
ひょっとしたら、本当に小村先輩の言う通りなのかもしれないですね。
・・・でもまぁ、そう言う事って偶発的に起こるよりも、もっとロマンチックに事を進めて行きたいですよね・・・って、僕だけでしょうか?


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