打ち合わせで東京出張に行ってました。
結婚前は美結の事が心配で、営業さんに任せていたんですが、今は真子が居てくれるから安心です。

「ちょっと、幸一! これは、どう言う事なのよ」
美結と風呂から上がって、美結の身体を拭いている時に、真子がヒステリックに叫んできた。
真子の手には、花柄のハンカチが握りしめられていた。
「あっ、それは・・・」
「あ~お父さん、最低~」
くっ、男女比1:2のわが家ですが、喋りだすと男女比が1:8位になるんですよねわが家は・・・
こんばんわ、幸一です。
―――――――――11月28日(月)―――――――――
「昨日、客先で先方の事務員さんに借りたんだ。」
「何で借りる必要が有るのよ」
「応接室でコーヒーこぼしてしまって、ハンカチがカバンの中だったんだ。アタフタしてたら、事務員さんがハンカチ貸してくれたんだよ。そのまま返す訳にいかないから、こっちから新しいハンカチを送るんだ。」
「うそうそうそ、絶対うそに決まってるわよ。東京出張なんて言って、実は他の女の子と旅行行ってたんじゃないの?」
はあ? 何でいきなり不倫旅行に話が飛躍するんだよ!
「馬鹿、そんな訳ないだろ。ちゃんと仕事の打ち合わせだったんだぞ。」
「だって、出掛ける時すごく嬉しそうだったじゃない。ネクタイじゃなくて普段着だったし。」
「そりゃ、休日移動だからネクタイなんて息苦しいだけだろ。」
「私は、そんな話信じないから。もうこのカイ君無し~」
「はぁ?なんだそりゃ美結」

プッって真子が吹き出した。
「お父さんが白い犬になっちゃたわよ、美結ちゃん。それを言うなら『甲斐性なし』だって。お父さんの言う事、本当の事だとお母さんは思うわよ。ゴメン幸ちゃん、ついカァ~っとなっちゃって。」
「って言うか、真子に問い詰められるんなら、まだ分かるが、何で実の娘に問い詰められなきゃいけないんだよ?」
「だって、お母さんを悲しませたくないもん。お母さんを不幸にしたら美結、お父さんの事許さないからね。」
「美結ちゃん、お母さんは十分幸せよ。こんなにお母さんの事を心配してくれる美結ちゃんが居るんだからね。さぁほら、仲直りのデザート食べようか。今夜は美結ちゃんの大好きなイチゴのショートケーキよ。」
「イチゴのケーキ?」美結が、目をキラキラと輝かせています。
・・・取りあえず、美結の機嫌が治ったみたいです。


「お疲れ様でしたね、幸一」
美結を寝かしつけてキッチンに降りてきた真子が、俺の目の前にビールを置いた。
「おうサンキュー。ったく、美結に言い詰められるとは思いもしなかったな。」
「確かにね。私の言いたかった事、全部美結ちゃんに言われちゃったから、逆に私は冷めてしまったわよ。」
「ある意味、美結に感謝だな。」
「そうだよ幸一」
「なぁ、代わりのハンカチ買ってくるの頼めるかな? 俺が選ぶより女性目線で選んだ方が良いだろ。」
「うん分かった。お礼の手紙添えなきゃね。『うちの亭主に手を出さないで』って、書き添えて良い?」
「良い訳ないだろ・・・あっ、実は俺の事本当は疑ってんだろ。」
「ふふ~ん、内緒内緒」
そう言いながら僕の鼻を突っつく真子に、俺は苦笑いするしかなかった。


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