「ねえ朝ちゃん?」
「朝ちゃんってば!」

「あっゴメンゴメン、考え事してた。」
私は、イタズラっぽくペロッと舌を出した。
こんにちは、巷ではうちの姉が色々とお騒がせしている様ですね、緑川朝葉です。
―――――――――3月8日(土)―――――――――
先ずは、私達の近況です。
私は、JA雲南の松舞支所で金融窓口勤務です。
颯太君は、雲山にアパート借りて事務機関係の営業マンしています。

83f0640b.jpg
今日は、颯太君のアパートでカナカナの披露宴で流すビデオの編集や、飾り物の作成にです。
って言うのは口実で、実は昨日の夜から颯太君のアパートに、お泊まりしています。
「んで、何?颯太君?」
「うん、披露宴で流すDVDだけどさ、もう少しシーンを省かないと時間が足りないんだよね。どれか省けそうなシーン無いかなぁ?」

高校1年の夏の松ケ浜海水浴に始まって、夏の合宿、花火大会に精霊流し・・・あれ?うちのお姉ちゃん達が写ってる、これって伝説?のBBQ大会の写真ね。
どれも懐かしい思い出です。
「精霊流しの部分、少しカットする?」
「OK、それならカット出来る写真が有るわ。そっちのボードはどう?上手くいってる?」
「う~ん、プロポーズシーンの再現が難しいのよねぇ。お姉ちゃんや錦織先生なら、工作とか得意なんだろうけどねぇ」

いつかはあの二人、結婚するんだろうとは思ってましたけど、意外とあっさりそんな日が来ちゃいましたね。
私達は、どうなるんでしょうね?
もしプロポーズされたら、素直に頷く心の準備は出来ていますが、肝心の颯太君の方がそんな考えないのか、気配すら感じません。

♪♪♪
ん?誰からでしょう、颯太君のスマホにメールが届きました。

・・・
「朝ちゃん、健吾からメールで楓ちゃんと雲山に来てるから、何か手伝いましょうかだって」
「楓ちゃんなら工作とか上手そうだよね。健吾君も、プログラマーだから颯太君も助かるんじゃない?」
「確かにそうだな、あいつノートパソコン持ち歩いているだろうしな。」
・・・折角の二人の時間を邪魔されたくはないですけど、背に腹は代えられませんよね。

「とりあえず、ささっと部屋片づけちゃおうか」
気が付いたらリビング中が、写真やDVDで散らかっていました。
「そうだな、とりあえずあいつらの作業スペース確保しないとな。」
そう言いながら颯太君は、ゆっくり立ち上がりDVDのケースを集め始めました。

そのちょっぴり猫背の背中を見ていたら、意味もなく幸せな気分になってきました。
私達だって、あの夏休みからず~っと一緒に過ごして来たんですもんね。
カナカナ達はカナカナ達、私達は私達でそれぞれの時間を歩めば良いんですよね。
ちょっぴり、カナカナの結婚には刺激されましたが、今は未だこのままの生活でも良いかなって思います。

「・・・ほらぁ、朝ちゃんもボ~ッとしてないで、写真片づけなよぉ」
そう笑う颯太君に「あっ、ゴメンゴメン」って言いながら、微笑み返すいつもの私がいた。

松舞ラブストーリーアーカイブ

 ショート・ショート編
モリヒデ・ヒグラシ編
颯太・朝葉編
洋介・日向編
幸一・真子・美結編
御主人様28号・詩音編
比呂十・美咲編
優ママ編
本田・楓編
android game編
純・カヲル編
瑞穂編
ちょい、言ったー。
僕と彼女の日々
ある高校生の夏休み編【完結】
(小夜曲)sérénade編【完結】
楓・青木先輩編【完結】
本田・沢田編【完結】
2009年収穫祭編【完結】


blogram投票ボタン