ピンポ~ン
家のチャイムが鳴った。
あの二人がやって来たみたいですね。
「は~い」そう言いながら、玄関のロックを解除する。
「う~っす」「こんにちは、お邪魔します」
モリヒデとせれなちゃんです。
まぁ、同じ電車通学組ですから、一緒に来るのは、おかしな話じゃないんですが、ちょっぴり焼いちゃいますね。
こんにちわ、かなかなです。
―――――――――sérénade編 9月25日(月)―――――――――
昨日の日曜日の午後、うちの家で学園祭の時使うBGMの作成を行いました。
「ねぇこの曲どう?」
「あっ、明るくて良い曲ですね♪ この曲調ってナツメロですか金田さん?」
「えっ?藍沢さんこの曲知らないんだ?今年一番ヒットした曲だよ。昔にこんなラップの曲は無いって」
「あぁ、そっ・・・そうですよね。ホント曲を知らなくって。スイマセン森山さん」
「いや、別に謝る必要は無いけどよ。それよりヒグラシ、何か食う物無い?」
モリヒデの奴、完全に自分の家みたいな態度です。
まぁ、変に緊張されるよりかは、良いかも知れませんが。
「あっ、私、忘れてました。今日はクッキー焼いて来たんですよ」
「焼いて来たって、せれなちゃんの手作り?」
「はい。イマイチ自信は無いんですが・・・」
「ありがとう、今、紅茶入れるね。ほらモリヒデは、ちゃんとCD焼く準備しといてよね」
キッチンに行きお茶の準備をする。
「金田さん、私も手伝いますよ」
「じゃあ、せれなちゃんゴメン、そこの棚から紅茶の茶葉を取って。せれなちゃん好みの紅茶が有ると良いけど」
「わぁ~、結構の種類をお持ちですね。」
「うん、私コーヒーも好きだけど、紅茶も大好きなのよ。」
「じゃあ、今日はこのレディグレィにしましょうか、うちの母のお気に入りなんですよ」
「あっ、私と好みが一緒だ。レディグレィだとベルガモットの香りが余計に引き立つのよね」
せれなちゃんと、こうしてキッチンに立つと、どこか懐かしい気がするから不思議ですよね・・・デジャヴゥ? そんなに私疲れてるのかな~(^_^;)
「はい、モリヒデお待たせ。」
「おっ、旨いじゃん藍沢さんの焼いたクッキー。」
「本当、これって何が中に入っているの?」
「アップルティーのお茶っ葉ですよ。うちの母が得意なんです。」
「え~良いなぁ良いな。せれなちゃん、学園祭が終わったら作り方教えてよ~」
「ええ分かりました、凄く簡単なんですよ実は。子供の頃、毎週の様に母と作ってました。」
「いいなぁ、せれなちゃんのお母さん。うちは、殆ど休み無く働いているからね~。」
「そうなんですか、金田さんのお母さん。でもでも、それって金田さん達の為に頑張っておられるんですよね。」
「確かにそれはそうなんだけどね・・・。あっ、コラ~!モリヒデ。そんなにバクバク食べたらスグ無くなっちゃうでしょクッキーが。ちゃんとCD焼いてんの~?」
「いや、マジで旨いんだって、このクッキー。CDなら今焼いてるぞ。お前のパソコンお前と一緒でとろいんだよな」
「私と一緒ってどう言う意味よ、モリヒデ」
「お~スマンスマン、お前よりパソコンの方が、賢いわな普通」
「相変わらず、お二人の掛け合いは面白いですね~」せれなちゃんが、笑っています。
いや、別に笑わせるつもりは無いから・・・
あれ?クッキーを取り出したカバンから写真がこぼれ落ちています。
「せれなちゃん、写真落ちてるよ」そう言いながら拾い上げた写真は、目が覚めるほど鮮やかな青空の下、仲良く微笑むモリヒデとせれなちゃんが写っていた・・・
私は写真を見なかったふりをする事しか出来なかった。
「おいヒグラシ、何をぼ~っとしてるんだ? 食材の購入予算、こんなもんで良いのか?」
「あぁゴメンゴメン・・・んっと、もう5千円位予算充てても大丈夫だよ、モリヒデ」
「そっか、了解了解。どうしたんだ今日のお前いつも以上にぼ~っとしてるぞ、熱でも有るんか?」
「えっ、大丈夫だって。モリヒデが心配してくれるなんて、明日大雪降るんじゃない? でも、ありがとう」
「なんだよ、けなしたり、感謝したり・・・」
「へへへ・・・」
実は、昨日の写真の事が頭から離れません。
もちろん、ただ単に二人が笑っているだけの写真ですから、気にする事はないんですけどね。
「藍沢さん遅いな~。携帯が鳴って電話しに出て行ってから、30分以上経つぞ・・・」
「そんなに、せれなちゃんの事が、気になるのモリヒデ?」
「何だよヒグラシ・・・焼いてんのか?」
私は意を決して、口を開いた。
「見ちゃったんだ、モリヒデとせれなちゃんのツーショット写真・・・」
「えっ?・・・馬鹿、あの写真はそこに偶々、俺と藍沢さんが居ただけの話だぞ」
「そんなの分かってるわよ。分かってるけど、何故か許せないのよ。彼女と二人っきりのアンタを、モリヒデと二人っきりのせれなちゃんを・・・ただ単に、ヤキモチ焼いてるだけだって言うのも、分かってるわよ、でも何故かモリヒデの笑顔が気になるの、頭の隅から離れないのよ」
「俺の事、そんなに信用出来ないのかよ、お前は。俺と藍沢さんの気持ちなんか分かんないよな、きっと」
「何よそれ、モリヒデとせれなちゃんの気持ちって。何か有ったの?この前の合宿の時。」
「何もないさ。俺はヒグラシの事を裏切れないって言っただけさ。」
「せれなちゃんに好きだって言われたの?」
「それは・・・」
突然、教室のドアが開いた。
「せれなちゃん・・・」「藍沢さん・・・」
「ごめんなさい・・・私、急用が出来たから帰ります・・・」
そう言うと、せれなちゃんは鞄を抱え、走り去って行った。
「せれなちゃん、ちょっと待って・・・ねぇ、モリヒデ、追いかけなくていいの?」
「なんで追いかけなきゃいけないんだよ!」
「だって、せれなちゃんが・・・せれなちゃんが・・・」
この瞬間、私は大切な人を二人失ってしまった・・・取り返しのつかない事をしてしまったと、今更後悔するのだった・・・
家のチャイムが鳴った。
あの二人がやって来たみたいですね。
「は~い」そう言いながら、玄関のロックを解除する。
「う~っす」「こんにちは、お邪魔します」
モリヒデとせれなちゃんです。
まぁ、同じ電車通学組ですから、一緒に来るのは、おかしな話じゃないんですが、ちょっぴり焼いちゃいますね。
こんにちわ、かなかなです。
―――――――――sérénade編 9月25日(月)―――――――――
昨日の日曜日の午後、うちの家で学園祭の時使うBGMの作成を行いました。
「ねぇこの曲どう?」
「あっ、明るくて良い曲ですね♪ この曲調ってナツメロですか金田さん?」
「えっ?藍沢さんこの曲知らないんだ?今年一番ヒットした曲だよ。昔にこんなラップの曲は無いって」
「あぁ、そっ・・・そうですよね。ホント曲を知らなくって。スイマセン森山さん」
「いや、別に謝る必要は無いけどよ。それよりヒグラシ、何か食う物無い?」
モリヒデの奴、完全に自分の家みたいな態度です。
まぁ、変に緊張されるよりかは、良いかも知れませんが。
「あっ、私、忘れてました。今日はクッキー焼いて来たんですよ」
「焼いて来たって、せれなちゃんの手作り?」
「はい。イマイチ自信は無いんですが・・・」
「ありがとう、今、紅茶入れるね。ほらモリヒデは、ちゃんとCD焼く準備しといてよね」
キッチンに行きお茶の準備をする。
「金田さん、私も手伝いますよ」
「じゃあ、せれなちゃんゴメン、そこの棚から紅茶の茶葉を取って。せれなちゃん好みの紅茶が有ると良いけど」
「わぁ~、結構の種類をお持ちですね。」
「うん、私コーヒーも好きだけど、紅茶も大好きなのよ。」
「じゃあ、今日はこのレディグレィにしましょうか、うちの母のお気に入りなんですよ」
「あっ、私と好みが一緒だ。レディグレィだとベルガモットの香りが余計に引き立つのよね」
せれなちゃんと、こうしてキッチンに立つと、どこか懐かしい気がするから不思議ですよね・・・デジャヴゥ? そんなに私疲れてるのかな~(^_^;)
「はい、モリヒデお待たせ。」
「おっ、旨いじゃん藍沢さんの焼いたクッキー。」
「本当、これって何が中に入っているの?」
「アップルティーのお茶っ葉ですよ。うちの母が得意なんです。」
「え~良いなぁ良いな。せれなちゃん、学園祭が終わったら作り方教えてよ~」
「ええ分かりました、凄く簡単なんですよ実は。子供の頃、毎週の様に母と作ってました。」
「いいなぁ、せれなちゃんのお母さん。うちは、殆ど休み無く働いているからね~。」
「そうなんですか、金田さんのお母さん。でもでも、それって金田さん達の為に頑張っておられるんですよね。」
「確かにそれはそうなんだけどね・・・。あっ、コラ~!モリヒデ。そんなにバクバク食べたらスグ無くなっちゃうでしょクッキーが。ちゃんとCD焼いてんの~?」
「いや、マジで旨いんだって、このクッキー。CDなら今焼いてるぞ。お前のパソコンお前と一緒でとろいんだよな」
「私と一緒ってどう言う意味よ、モリヒデ」
「お~スマンスマン、お前よりパソコンの方が、賢いわな普通」
「相変わらず、お二人の掛け合いは面白いですね~」せれなちゃんが、笑っています。
いや、別に笑わせるつもりは無いから・・・
あれ?クッキーを取り出したカバンから写真がこぼれ落ちています。
「せれなちゃん、写真落ちてるよ」そう言いながら拾い上げた写真は、目が覚めるほど鮮やかな青空の下、仲良く微笑むモリヒデとせれなちゃんが写っていた・・・
私は写真を見なかったふりをする事しか出来なかった。
「おいヒグラシ、何をぼ~っとしてるんだ? 食材の購入予算、こんなもんで良いのか?」
「あぁゴメンゴメン・・・んっと、もう5千円位予算充てても大丈夫だよ、モリヒデ」
「そっか、了解了解。どうしたんだ今日のお前いつも以上にぼ~っとしてるぞ、熱でも有るんか?」
「えっ、大丈夫だって。モリヒデが心配してくれるなんて、明日大雪降るんじゃない? でも、ありがとう」
「なんだよ、けなしたり、感謝したり・・・」
「へへへ・・・」
実は、昨日の写真の事が頭から離れません。
もちろん、ただ単に二人が笑っているだけの写真ですから、気にする事はないんですけどね。
「藍沢さん遅いな~。携帯が鳴って電話しに出て行ってから、30分以上経つぞ・・・」
「そんなに、せれなちゃんの事が、気になるのモリヒデ?」
「何だよヒグラシ・・・焼いてんのか?」
私は意を決して、口を開いた。
「見ちゃったんだ、モリヒデとせれなちゃんのツーショット写真・・・」
「えっ?・・・馬鹿、あの写真はそこに偶々、俺と藍沢さんが居ただけの話だぞ」
「そんなの分かってるわよ。分かってるけど、何故か許せないのよ。彼女と二人っきりのアンタを、モリヒデと二人っきりのせれなちゃんを・・・ただ単に、ヤキモチ焼いてるだけだって言うのも、分かってるわよ、でも何故かモリヒデの笑顔が気になるの、頭の隅から離れないのよ」
「俺の事、そんなに信用出来ないのかよ、お前は。俺と藍沢さんの気持ちなんか分かんないよな、きっと」
「何よそれ、モリヒデとせれなちゃんの気持ちって。何か有ったの?この前の合宿の時。」
「何もないさ。俺はヒグラシの事を裏切れないって言っただけさ。」
「せれなちゃんに好きだって言われたの?」
「それは・・・」
突然、教室のドアが開いた。
「せれなちゃん・・・」「藍沢さん・・・」
「ごめんなさい・・・私、急用が出来たから帰ります・・・」
そう言うと、せれなちゃんは鞄を抱え、走り去って行った。
「せれなちゃん、ちょっと待って・・・ねぇ、モリヒデ、追いかけなくていいの?」
「なんで追いかけなきゃいけないんだよ!」
「だって、せれなちゃんが・・・せれなちゃんが・・・」
この瞬間、私は大切な人を二人失ってしまった・・・取り返しのつかない事をしてしまったと、今更後悔するのだった・・・