PiPiPi・・・PiPiPi・・・

睡眠と言う至福の世界から、俺は現実世界に引き戻された。
包まった布団の中から、音のする方へと伸ばす。
おはようございます、俺、洋介と言います。

――――――――― 12月23日(火)―――――――――

「なんで、俺、目覚ましセットしたまま寝たんだよ~」
出勤時間に合わせて、毎日鳴る様にセットしてある携帯のアラームを、OFFにするのを忘れて寝てしまった様だ。
今日は、12月23日・・・クリスマスイヴイヴで祝日・・・いや、天皇誕生日で祝日。
昨日のプレゼンの準備で、休日返上でずっと資料の準備をしていたから、休みなんて一ヶ月ぶり。
そして、昨夜は忘年会兼プレゼン成功祝いで、会社のみんなと0時近くまで飲んでました。
どうやら、アパート帰ったらそのまま寝ちゃったみたいです・・・(^^ゞ

折角の休日です。溜まった疲れを取るには、睡眠が一番。
もう一度、頭から布団を被り、俺は二度寝をする事にした。
おっとその前に、メールや電話で至福のひと時を、又邪魔されない様、マナーモードにしておかなくっちゃ。・・・そう言えば、日向(ひなた)から、三次会の最中、メールが届いていたな。

緑川日向・・・三つ年下の俺の彼女
時々、ボーっと、遠くを見つめているその横顔が、意外と(失礼)カワイイ♪。
「あっ、ゴメン、考え事しちょった・・・」
はいはい、いつもの事だからわかってますよ・・・心の中でつぶやきながら、ほんわかした気持ちになる自分がいる。
たまに出る方言もカワイクテ(笑)
俺の田舎、松舞町で保育園の先生をしていて、地元のサークルで知り合った
一昨年の夏に、思い切って映画誘って以来の付き合いになる。
去年の秋に、俺に会社から転勤命令が下り、大阪支店に転勤になってからは、週末に行き来する程度しか会えていないが、今日まで何とかやって来れた・・・

などと、考えていたらいつの間にか眠っていたみたいだ・・・
ピンポ~ン・・・ピンポ~ン・・・
うっ、又もや至福のひと時を邪魔する奴が・・・
誰だ?宅配便?会社の同僚?新聞の勧誘?・・・
どっちにしても、今は邪魔されたくないな、ここは居留守を決め込んで・・・Zzz・・・
「こら~、起きろ~」
すわっ、デリヘルだったのか~・・・って、頼んだ覚えないし・・・
「洋くんの事だけん、遅刻するんじゃないかと、心配はしてたけど・・・、まさか駅から荷物持って歩く事になるなんて思わんかったわ。」
へっ?日向?あれ?いつ大阪に来たんだ?
「何キョトンとしちょう?まだ、寝ぼけちょうかね?・・・・・あっ、さては私のメールをスルーしたな・・・」
メール・・・?、あぁ、あのメールね・・・(^^ゞ
そうか、それで俺は携帯のアラームOFFにしてなかったんだ・・・メール読んで、そのまま寝たんだなきっと・・・何となく事態が飲み込めてきたぞ。
「ここまで、荷物抱えて来うの大変だったけんね」日向はほっぺたを膨らませて、怒った顔だ。
「ゴメンゴメン・・・」と、言いながら日向に顔を近付けそっとキスをした。
「しゃん事したって、ごまかされんけんね・・・」そう言いながら、日向はクスッと笑い、俺の背中に手を回してきた・・・。
「会いたかったよ。寂しかったよ~」 ギュっと、日向の回した腕に力が入る。
そうだよな、何だかんだでお盆に帰省して以来、日向に会っていない。メールや電話でのやり取りばかりだった。
俺も、日向の背中に腕を回して、ギュッと抱きしめて、もう一度長めのキスをした。
スーっと、日向が俺の中に入ってくる気がした。

コーヒーメーカーから、ポコポコと音が流れている。
日向はキッチンに立って、俺が大好きなサニーサイドアップのベーコンエッグを焼いてくれてる。
そんな後姿を見ていたら、一生こうして居れたら・・・なんて目を細めてみる。
俺と日向は、熱々のトーストを頬張りながら、お互いの近況を話し合った。
「朝葉の彼氏のふうた君が、早々と東京の大学にスポーツ特待生として進学決めたもんで、朝葉は焦っちゃって東京の大学行くって必死に勉強しちょーに。」
「雲山市でOLしちょうクラスメイトの君枝ちゃん、先週彼にプロポーズされたんだって」
・・・はぁ~、何で朝から他人の恋愛話を聞かされなきゃいけないんだ。女の子ってこういうネタ大好きだよな~。
俺は、退屈な話題から抜け出すべく、話を切り替える事にした。
「それはそうと、日向はいつまでこっちにいるんだ? 今夜は、神戸辺り行ってクリスマスイルミネーション楽しまない?」
少しツンとした顔して、日向が答えた。
「本当に私のメール見てないのね・・・今日の最終の電車で、私、松舞に帰えるから。幼稚園と違って保育園はギリギリまで保育が有るのよね」
はっ、マジですか。一日も一緒に居られないなんて・・・
「日向、お前わざわざ半日過ごす為に来たの?」
「そうよ、わざわざ洋くんに会いに来たんだよ。クリスマスイヴ一緒に過ごせんから」
「いや、俺、来てくれって頼んだ覚えないし。クリスマスイヴは確かに一緒に過ごせないけど、今週末には帰省するって、メールしたじゃんか」
「クリスマスイヴは別物なんよ。その日、大好きな人と一緒に過ごせる事が、どれだけ幸せな事か」
「アホらしい、そんな事。他の一日よりお祭りムード一杯なだけやんか」
「そらそうかも知れんけど、周りはみんなラブラブなのに、私だけ1人って耐えられんけんね。
やっぱ、遠距離はしんどいわ。寂しい時、会いたい時に、洋くんがそばにおらんのは。洋くんは、1人で平気なん? それとも、こっちにも彼女がいるの?」
「居る訳ないだろ、そんな暇がどこにあ~や」
「じゃあ、暇が有ったら浮気するって事なん?」
「しゃん事言っとらんがや~。あ~い、け~、もう、好きにす~だわや」
「分かった、分かったけん、折角寝ちょーとこ、邪魔してスマンかったね。」
日向はバックを握ると、バタンと扉を閉めて出て行った。
「待てよ、日向・・・」
違うって、違うんだって・・・半日じゃ辛いんだよ切ないんだよ。もっともっと一緒に居たいのに・・・
ボーっと、遠くを見つめて考え事してたっていい。その横顔を、ずっと見てたいんだ。
「あっ、ゴメン、考え事しちょった・・・」・・・そのセリフをずっと聞いていたいだけなのに。
部屋の隅にうずくまり、ふさぎ込んでいたら、携帯がテーブルの上で振動する音が、静まり返った部屋に響き渡った。
何気なく携帯を手に取り、メールを見る。
日向からのメールだった。
「洋くん、さっきはゴメンなさい。でも、寂しいのは本当です。
洋くんには申し訳ないけど、松舞で1人生きていくのは辛いです。
こんな形で終わるのは嫌だけど、もう耐え切れません。
今迄、楽しい思い出をありがとう。これからもがんばってね。
                                    日向より 」

メールを読んでいたら、だんだん泣けて来た。
お前だけじゃないんだよ、お前だけじゃ・・・。俺だって辛いんだって毎日。日向がそばに居てくれたらって、いっつも思ってる。
少し震えた声で俺は叫んでいた。

「ひなた~ひなっ・・・・・」
あれ・・・?
布団の中で、涙を流しながら、おれは空しく天に向かって手を差し出している・・・
夢?・・・夢かぁ・・・良かったぁ~
安心したと同時に少し俺は照れ臭くなった。
改めて携帯を手に取って、メールの履歴を見る。
日向からのメールは、一昨日の日曜日の夜が最後だった。やっぱり夢だ・・・
何気なく、時計に目をやる。朝七時かぁ・・・今から新幹線飛び乗れば、お昼には松舞に着けるよな。
とりあえず、日向にメールを打たなきゃな。「今日午後そっちに帰るから、予定空けとけ」って
メールの返信なんて待てない、たとえひと目だけでも日向の横顔が見れるのなら・・・
そして、「結婚してくれ」って言えるなら・・・俺は松舞に帰る。

俺は、コートを手に取ると、朝の凛とした空気の中、駅へと歩き始めた・・・。

♪♪♪くりむぞんより・・・
このブログを偶然に読まれた方初めまして。
そして、久しぶりに覗いた方お久しぶりです。
そしてそして、更新をまだかまだかと2年以上待ち望んでおられた、アリエナイあなた。スイマセンでした。

松舞町ラブストーリー sérénadeの出筆途中で、挫折してから、何度も書かなきゃって思いながら、プライベートでも色々有って、ずるずるとここまで来ちゃいました。
奇特な方はお気づきかもしれませんが、松舞町ラブストーリーのスタイルであった、モリヒデ、かなかな、その他の人ってカテゴリを、無くしました。
これからは、各エピソードごとにカテゴリー分けしていきます。
そして、一話完結のショートストーリーシリーズの第一弾が、今回の話です。
これからは、不定期更新となりますが、これからも宜しくお願い致します。
最後になりましたが、私からのクリスマスプレゼントです。欲しい方はクリックしてみて下さい。
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