松舞ラブストーリー

山陰の仮想の町松舞町を舞台にした、様々な恋愛を見守ってやって下さいね

2009年10月

今年2回目の、台風が東京にやってきました。
随分と風も出てきました。
こんな日に限って、頼りになる颯太君は、大会の為遠征中です。
こんばんわ、朝葉です。
―――――――――10月26日(月)―――――――――
窓を叩く雨音が一段と激しくなってきました。
ゴーッって風が吹き抜ける音がしたかと思ったら、電灯が一瞬チカチカ点滅しました。
停電?
いや~ん、私、実は暗闇恐怖症なんです。最近やっと、オレンジの常夜灯で眠る事出来る様になったんですが、以前は電灯点けたままでないと眠れなかったんです。
颯太君と一緒なら、真っ暗でも安心して眠れるんですが、一人の今夜突然停電したら、パニックに陥りそうです。
壁に持たれ掛かる様に坐ってるピーターラビットのぬいぐるみを、ギュッと抱きしめてみる。
ふっと、颯太君の香りがした。
???
何で?
あれこれ、この一週間の二人の事を思い出してみる。
月曜日・・・私のバイトが残業になってしまい、渋谷のハチ公の前で、待ちぼうけを食らわした。その後、お気に入りのイタ飯屋で、ピザを食べた。
火曜日・・・颯太君のアパートで、一緒にTVを見てた。私そのまま、寝てしまい、慌てて水曜日の朝アパートに帰って、学校に出掛けた。
水曜日・・・学校帰りに、友達と新しく開店した焼き鳥屋で、恋バナで盛り上がった後、颯太君に会いたくなり、三軒茶屋のマックでお茶しながら、明け方までおしゃべりしてた。
木曜日・・・お昼位まで、寝てた(笑)。午後から授業に出掛け、夕方から夜までバイト。
金曜日・・・颯太君の、プチ壮行会をうちのアパートでやった。
調子に乗って二人でワインを2本も空けちゃって、そのまま二人とも爆酔(^_^;)
明け方、火曜日とは逆にソウタ君が、焦って自分のアパートに帰って、集合場所の渋谷駅に向かった。
ん? そう言えば私のアパートを飛んで出る前に、お気に入りのコロンを付けようとして、コロンの瓶をひっくり返したって、騒いでいました。
そう、颯太君の香りは、シトラス系のコロンの香りなんですよ。
つまり、こぼしたコロンが、私のピーターラビットのぬいぐるみにかかったって、事な訳ね。(-_-;)

もう一度、ピーターラビットをギュッって抱きしめてみる。
ソウタ君が、ここに居る訳じゃないのに、私のそばに居る様な気分になる。
風の音も激しい雨も、気にならない。
不思議と、落ち着いた気分で居られる、自分に気が付いた。
今夜はこのまま、ピーターラビットを抱いて寝ようかな。
電灯を消して真っ暗にし、ベッドに潜り込む。
フワっと、優しい香りに包まれた。
一人じゃない、ソウタ君がそばに居る。
そう思うと、暗闇も怖くない。
私は、ゆっくりとピーターラビットを抱きしめる。
そして「おやすみ」って、キスをした。

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う~ん、昨日の餅突きの影響でしょうか? 今日は腕や足、あちこちが痛いです。
いや、しかし錦織先生は素敵な方ですね、正直一目惚れしちゃいました。
もう一人の先生の緑川先生(こちらも、ナカナカ可愛かったんですが、彼氏が居るみたいですし)と、森山は知り合いみたいだし今度、合コンのセッティングでも頼もうかな~。
こんばんわ、小村です。
―――――――――10月26日(月)―――――――――
今日は、現場が雨で流れたから、久しぶりに定時終業です。
しかし、うちの親は昨日からJAの慰安旅行です。
「おい、森山~。どっかで飯食って帰らんか~?」
「あっ、スンマセン。今夜は、ヒグラシと雲山で待ち合わせして、ピザ食べに行くんです」
ったく、未青年のくせして、あんな可愛い彼女が居るんだからなぁ~(まぁ、未青年は関係ないんですが・・・)
ん~自分で、ご飯作るの面倒だし、サンモールの総菜をつまみに、ビールでも呑んで適当に夕ご飯済ませようかな~

車をサンモールの駐車場に止め、店の入り口に入ろうとしたら、偶然に錦織先生に出会った。
「あっ、こんばんわ。昨日は大変お世話になりました」錦織先生がぺコリと頭を下げる。
「いえいえ、楽しかったですよ、収穫際」
慌ててこっちも頭を下げた。
「小村さんも夕ご飯のお買い物ですか?」
「ええっ、うちの両親がJAの慰安旅行に出掛けてるから、総菜物でも買って帰ろうかなと・・・錦織先生も、夕ご飯の買い物ですか?」
「えぇ、一人暮らしですから、いっつも簡単に済ませちゃうんですよね。」
チャ、チャンスじゃないっすかっぁあ。森山がデートだった事に感謝です。
「あっ、良かったら、何処か食べに出掛けませんか? 一人でテレビ見ながら、総菜をつついても侘しいだけですし」
うっ、錦織先生少し困った顔してます。
唐突過ぎたかな? 下心有るって、警戒されてるかな?
「そうですね、昨日のお礼もしなきゃいけませんし、実は私も一人で食べるの飽きちゃってましたから、お付き合いさせて頂いてよろしいですか?」
「もっもちろんです。」マジ?ラッキー。

サンモールに錦織先生の車を置いて、俺の車で出掛ける事になった。
「あっ、今日は軽トラじゃないんですね。」
「あは、あれは野良仕事用ですからね。まぁ、汚れ具合は同じですけどね」冗談抜きで、車内散らかってんですよね、俺は慌てて荷物やゴミをトランクに投げ込んだ。
「失礼しま~す」そう言いながら、錦織先生は車に乗り込んできた。
「錦織先生、何か食べたい物か、逆に苦手な物って有りますか?」
「小村さん、錦織先生って呼ばないで下さいよぉ。堅苦しいじゃないですか。苦手な物ございませんから、小村さんにお任せ致しますよ」
「すいません、錦織さん。 んじゃあ、まだ時間早いですし、少し足伸ばして雲山でパスタとかどうですか?」
「あっ良いですねぇ、お伴させて頂きます。 大好きなんですよパスタ、特にカルボナーラ大好きなんです、小村さんは何か大好きなパスタって、ございますか?」
えっ?特に拘り無いんだよな~
「なっナポレオンとか好きですよ」彼女が吹き出した。
「それって、ナポリタンじゃないですか?」
うわ~やっちまったかぁ
彼女は笑いながら喋り続けます。「美味しいですよね、ナポリタン。子供の頃って、スパゲッティーって言うと、必ずナポリタンじゃ有りませんでした? 良くてミートソース位で」
「あっ、そう言えばよくお袋が、袋に入ったスパゲッティーを炒めてたなぁ」
「うちもなんですよ。たまにあのコテコテのケチャップ味を食べたくなりません?」
「うん、分かるなぁ~。そう言えば錦織さんは、出身はどっちなんですか?地元?」
「いえ、出身は広島なんです。大学が雲山でしたから、就職もこっちにしたんです。」
「そうなんだ、じゃあ松舞に住んで2年位ですか?」
「いえ、もう5年になりますよ。最初町外れの幡多に住んでたんですけど、色々有りまして今は、本町の方に住んでます。」
ありゃりゃ、まるで誘導尋問ですねこれじゃあ。話を変えなければ
「しかし、俺らが子供の頃って、収穫際なんてなかったのに、今の園児達はおしゃれですね」
「えぇ、今の子供達は、結構ませてるんですよ。特に女の子は、成長が早いって言うか、口が達者って言うか、もう私達保母が舌を巻く位なんです。」
「う~ん、何となく分かるなぁ。昨日も男の子の手を自ら引っ張って、手を繋いでいる女の子居たもんなぁ」
「何となく誰か分かった様な気がします。小村さんって、子供好きなんですか?」
「えっ、俺ですか? う~ん、結構好きかもなぁ。週末はミニバスケットのサブコーチしてるんですよ。」
「ミニバスですか?懐かしいなぁ。私、小学校から高校卒業まで、バスケットしてたんですよ。まぁ、背が高いだけで、運動音痴でしたからあまり試合には出られませんでしたけどね」
「え~っ、そうなんですか? 今、男女一緒に教えてるんですよ、もしコーチ手伝ってもらえると、助かるなぁ~」
「え~っ?私がですか? ずっと補欠で試合出てないから無理ですよ」
「いえ、サブで良いんですよ。ストレッチ一緒にしたり、コーチのフォローしたり。年頃の女の子達だから、こっちも気を使うんですよ。」
「う~ん、少し考えさせてもらってよろしいですか? 前向きに検討してみますから」
マジ? 親しくなるチャンスが広がりました。

パスタ屋でも帰りの道も、結構、バスケの話や音楽の話題で盛り上がりました。
「こちらがお礼しなきゃいけないのに、申し訳ございませんご馳走になってしまって。」
「いやいや、元々誘ったのは俺の方ですから」
「じゃあ、次お会いする時は、私がお支払い致しますね」
うぉ~、誘った時の困った様な顔が嘘の様です。
満面の笑みを浮かべる錦織さんに、マジ惚れちゃいました。
「次がいつになるのか分からないけど、楽しみにしていますよ。ミニバスのコーチの件も是非ともお願いしますね」
「はい、また連絡させて頂きます。では、今夜はご馳走になりました。帰り道お気をつけ下さいね、おやすみなさい」
そう言いながら、錦織さんが手を振る。
俺も手を振り返す。
その後ろ姿を見ていたら、もう逢えない様な気がしてきた。
走り去る車に向い、「錦織さん」って叫んでみる。
何事も無かった様に、車は走り去った。
何だろう、今の胸騒ぎは?
僕は、ただ小さくなっていくテールランプをボーっと眺めていた。



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う~ん、今日も腹一杯食べました♪
「ちょっと~、モリヒデ~。そんな所で昼寝してんじゃないわよ~。臼と杵をさっさと調理場迄、運んでよ~。乾いちゃったら、掃除が大変なんだかんね。」
少し位休憩させろよな、ヒグラシ~
「はいはい」俺は立ち上がった。
あれっ?小村先輩は?  辺りをキョロキョロ見回すと、園児達の舞台作りを、日向さんや美咲さんとしています。 かぁ~、ちゃっかり保母さん達と仲良くしてますね。
こんにちは、モリヒデです。
―――――――――10月25日(日)―――――――――
楓達も、演奏の準備に入りましたから、手が空いているのは、俺とヒグラシだけです。
「おい、ヒグラシ~そっち持てよ。」
「え~っ、マジ~。か弱い女の子に何て事させんのよ、あんた」
いや、か弱い女の子って誰の事だ?(^^ゞ
二人でドタバタしていたら、父兄の一人が僕らに気が付いて、手伝ってくれました。
「すいません、助かります」
「いやいや、お礼を言うのはこっちの方だよ。娘もすごく喜んでいるよ。おい、真子~まだ劇は準備中なんだろ、杵と臼洗うの手伝ってやれよ」
「あっ、ゴメンゴメン。皆さん本当何から何までありがとうね。」
俺達は4人がかりで、臼と杵を調理場に運んで、ジャブジャブと洗い始めた。
「へぇ~、日向さんの高校の同級生なんですか。」
「そうよ、ヒナちゃんとは、高校以来ず~っと仲良くしてるのよ。美結が生まれる時も、ヒナちゃんと二人で世話してたんだから」
んっ?日向さんと二人で世話? 何か変な話の様な気もしますが、そこは聞き流しておきましょう。
「あっ、そろそろ劇が始まるんじゃないんですか?」ヒグラシが腕時計を見ながら叫んだ。
「ここは、俺達で片付けますから、二人は演劇を見に行って下さいよ」
「そうか?すまないなぁ。じゃあ真子行くか」
二人は仲良く園庭へと出て行った。
「あの夫婦、なんかラブラブだな。」
プッってヒグラシが噴き出した。
俺達も、あんな夫婦になれるのかな?
あれ?俺、何を考えているんでしょうね(-_-;)

臼と杵を洗い終えて園庭に戻ってみると、もう園児達の劇は始まってました。
俺達の姿を見つけた真子さんが、手招きをしています。
「あれっ? 幸一さんは?」
「あっ、彼ならビデオ撮影の為に、前に行ってるわ。親馬鹿よね、この劇を撮る為にビデオカメラまで調達してくるんだから」
そう言う真子さんも、EOSに300mmズームですか!
写真撮る気満々ですね(笑)
「ほら、あの小人の左から2番目。あれがうちの娘」
あっ、あの子は、餅突きの時ヒグラシと餅を返していた女の子じゃないですか。
目がクリクリっとした、将来美人になりそうな感じの子です・・・あっ、俺ロリコンじゃないですからね
演劇の演目は白雪姫ですね、多分。
やっぱり最後、白雪姫はキスで目覚めるんでしょうか?
・・・王子様の歌声で目覚めましたとさ。まあ、園児向けの劇ですからそんな物でしょうね

続いて、楓達松舞高校ブラスバンド部の演奏会です。
そう言えば、楓の演奏を聞くの初めてかも
オープニングは、となりのトトロ、2曲目3曲目は童謡でした。
小休止を挟んで4曲目は、仮面ライダーWのオープニングテーマ。
ん? 突然、演奏が怪しげなピンクパンサーのテーマに変わる。舞台の後ろから、明らかに怪しい仮装をした奴が、出てきたぞ?
そいつは、園児達の席の方に、のそのそと歩いて行きました。
「きゃ~」「怪物だぁ~」子供達は騒いでます。っと、その時・・・
「待ちなさい」そう言って、楓がスクッと席を立った。
「 チェインジ・プリキュア・ビートアップ!。」
そう言いながら、舞台の裏に消えて行く楓。
演奏がドラムロールにかわり、それが終わった瞬間、「レッツ、プリキュア!」そう言いながら、派手な女の子が現れた。
黄色のビッグツインテール、ピンクのコスチューム・・・ひょっとして、ピュアピーチ?・・・のつもりかぁ?
しかも、変装しているのは楓(笑)
くっそ~、カメラを準備しておけば良かった~、折角いじめるネタが出来たのに。
「ねぇ、あれ楓ちゃんじゃない?」ヒグラシが笑いだす。
真子さんがこっちを振り返り「あら?あの子知り合い?」
「モリヒデの妹さんなんですよ」
「あんな恥ずかしい奴を、妹に持った覚えはない!」
「あらあら」そう言いながら、真子さんはカメラを握りしめ、園児達の方に近づいた。
「ピンクのハートは愛あるしるし!もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」
真剣な楓の顔が笑えます♪
「松舞幼稚園のみんなが、楽しんでる収穫際の邪魔をするなんて、許せないわ。 悪いの悪いの飛んでいけ! えい・・・届け!愛のメロディ!」
出た、ピュアピーチの必殺技、プリキュア・ラブサンシャイン・フレッシュ
「ぐえぇ~」そう言いながら、悪役は舞台の裏に消えて行った。
そのコスチュームのまま、楓は舞台に上がり、ピッコロを吹き始めた。これは、フレッシュプリキュアのテーマ「Let's!フレッシュプリキュア!」。
子供達から歓声が上がる。
楓がタクトを取ると、改めて演奏が始まった。
かぁ~おいしい所を全部楓が一人でかっさらいましたね。
演奏が終わったら、もう一度楓が立ち上がり、園児達に声をかけます。
「さぁ~、最後はみんな大きい声で、歌ってね~」
バックで流れ始めたのは、ポニョのテーマ。
園児達みんなで、大合唱しています。
なかなか、楓の奴もやるもんですね、身内ながら関心しちゃいました。

収穫際も無事に終わりました。
楓の周りには、最後まで園児が群がっていました。
園児にもてても仕方ないでしょうけどね。
さて、園児達も帰り始めた事だし、俺達もそろそろ、臼と杵を返して帰りますかね。
小村先輩小村先輩っと・・・
居ました、日向さん達と一緒に園児を見送ってます。
いつから、保育園の先生にリクルートしたんでしょうか?
「小村先輩、臼と杵返しに行きますよ」
「おっおう、分かった」
「あっ、小村さん少し待って下さい。臼と杵を貸してくれた農家の方に、お礼をしに行かなきゃいけないから、私も乗って行って良いですか?」美咲さんが、声をかけた。
「んじゃあ、俺とヒグラシは、俺の車で後ろ付いて行きますよ。んで、そのまま帰りますんで。」何となく、そんな方向で話がまとまった。
先輩の車の後ろを走りながら、先輩達の様子を伺ってみる。
ん~、何か楽しく話しているみたいですね、くっそ~俺もヒグラシより、美咲先生の方が・・・
「なぁ、ヒグラシ。小村先輩と美咲さん、盛り上がってない?」
「えっ? あっ、本当だぁ。何か、カップルみたいだね。やばいじゃん、日向さんまた先に結婚されちゃうんじゃない?」
いや、いきなり結婚は、無いと思うが・・・
年齢的に良い感じだし、小村先輩にも幸せになってもらいたいのは、事実です。
まぁ、俺達が根回ししたとしても、結局は本人達の意思ですからね。
もし協力要請が有ったら、合コンのセッティングでもしようかな・・・もちろん、ヒグラシには内緒でね♪

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「さぁ、お米が蒸し上がったから、園庭に運ぶわよ~」
日向さんが、みんなに声をかけた。
「楓ちゃん、熱いから気を付けてね」
熱っ・・・楓ちゃんに注意した私が、鍋の淵を触っちゃいました(^^ゞ
「大丈夫ですか?佳奈絵さん?」
「うん、大丈夫大丈夫、ちょっと触れただけだから・・・」
ちょっぴり、指がヒリヒリしますけどね・・・
こんにちは、カナカナです。
―――――――――10月25日(日)―――――――――
園庭に出てみると、臼も机も準備が終わってました。
「おっ、来た来た」モリヒデが、コーラを飲みながら、振り返りました。
「みんな~熱いから近寄っちゃダメよ~」
子供達の相手をしていた保母さんが、叫んでます。
机の上にビニールシートが広げてあり、その上に蒸し米をドンと置いた。「あ~暑かった~」モリヒデの手からコーラを奪い取り、ゴクゴクと飲み干す。
「あっ、ヒグラシ~お前全部飲んだな~」
「だって、調理室ムシムシして凄く暑かったんだから。それより、モリヒデ早く蒸し米を、臼に移しなさいよ」
「なんだ、森山。お前、もう尻に敷かれてんのか(笑)」
「何言ってんすか、小村先輩 俺は亭主関白を貫きますよ」
「ふ~ん、モリヒデ君、亭主関白なんてもう流行らないのよ。」日向さんが笑ってます。
「錦織先生、園児達ちゃんと手洗ってます?」日向さんが、園児の相手をしていた保母さんに声をかけた。
「ええ、緑川先生、みんなさっきから、まだかまだかって待ってたんですよ」
この保母さん、錦織さんって言うのか・・・確か花火大会の時日向さんと見に来ていた人よね。
日向さんと対照的に、スラーっと背が高くて、上品なお嬢様って感じですね・・・あっ日向さんが下品って意味じゃないですよ(^^ゞ。

「あちち~」モリヒデと青木くんが、布巾に包んだ蒸し米を臼に移しています。
「最初は、押しつぶすんだぞ」あら?いつも間におじいちゃん来たの?
「そうそう、そうやって、良く押しつぶしてから、こうやって手に水を付けて、ひっくり返すんじゃ。ほら、佳奈江やってみぃ」
えっ?いきなり私ですか?しかも、杵を握っているのはモリヒデだし・・・((+_+))
「行くぞ、ヒグラシ・・・ホイっ」ポンっ
えっと・・・水を手に付けて・・・ポンっ・・・あっ、モリヒデ早いよ~
「それっ」いっ・・・今です
「はいっ」「それっ」「はいっ」
うん、調子が出てきました・・・
モリヒデが園児の男の子に杵を握らせ、一緒に突きはじめました。
「がんばれ~じろうく~ん」横にいた女の子が声をかけてます。
私は、その女の子の手を取り、バケツに入った水に手を浸けさせると、杵が落ちて来るタイミングを図った。
「そうれ」モリヒデとじろう君が杵を振り下す。
ポンっ
「はいっ」私は女の子の手を握り、お餅を折り返す。
「そうれ」ポンっ「はいっ」
「みゆちゃんも、がんばれ~」周りの園児が声援を送ります。
「そうれ」ポンっ「はいっ」
「そうれ」ポンっ「はいっ」
どちらかのお父さんでしょうか、回り込んでビデオカメラを回してます。
「そうれ」ポンっ「はいっ」
「そうれ」ポンっ「はいっ」
「はい、交代~」日向さんが声を掛けました。
「んじゃあ、俺達も。おい、青木~」
「じゃあ、こっちは楓ちゃんね」
「ひゅひゅ~」周りの部員が冷やかしてます。
「じゃあ、森山さん行くよ」「はいっ」
「そうれ」「はいっ」

さっきの女の子に話し掛けてみた
「どう、お餅突き?怖くなかった?」
女の子は、瞳をキラキラさせながら「うん、みゆ、たのしかったよ。じろうくんと
おもちつきできたしね」
「ふ~ん、みゆちゃんは、じろう君の事が好きなのかな?」
「うん、みゆね、おとなになったら、じろうくんのおよめさんになるって、やくそくしたんだよ、おばちゃん」
あら、おマセさんですね。でも、私もそんな事言っていた記憶が有りますわ。って言うか、誰がオバちゃんよ!

「う~、結構きついなぁ~。おい、次、本田代われよ」
「え~っと、あっ、沢田先輩、やりません?」
沢田さんって、私が1年の時の美術部の部長の沢田先輩の妹さんなのかな?どこか、顔立ちが似てます。
んっ? 何か二人とも照れ臭そうですね。怪しいなぁ(笑)

一通り、餅突きの順番が一巡した。
園児の一人が、「先生一緒にやろ~」って、錦織先生の手を引っ張って来た。
「よ~し、じゃあオジちゃんが手伝ってやるぞ」そう言いながら、小村さんが杵を握った。
「そうれ」ポンっ「はいっ」
「そうれ」ポンっ「はいっ」
う~ん、初対面とは思えない位、息が合ってますね。

お餅を突き終えたら、小さくちぎって中に餡子を詰めて、丸めていきます。
園児たちは、粘土細工みたいに楽しんでます。
「ちょっと、お兄ちゃん。そんな大きいお餅誰が食べるのよ~。ねぇ、佳奈絵さん、そう思いません?」
「そうよね~」いや、楓ちゃん。貴方のお兄さんなら、それ位軽く食べるわよきっと。
う~ん、モリヒデが園児に混じって、餅を丸めるのが、妙に馴染んでます。
少し背の高い保育園児って感じです(^_^;)
それぞれ園児たちは、お父さんやお母さんに手伝ってもらいながら、お餅を丸めています。
日向さんや、錦織先生、小村さんも、和気あいあいとお喋りしながら、お餅を丸めています。
秋空の下、みんな笑顔でお餅を丸めてる。
ちょっと、不思議な光景に思わず噴き出しそうになっちゃいます。
でもでも、こんな休日も良いもんですね。
いつかは、私達の子供もこんな風に、収穫祭するんでしょうね。・・・あっ、まだまだず~っとず~っと、先の先の話ですからね(・_・;)。



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「あれ~、森山の奴、まだ来てないのかよ~」
こっちは、朝早くから、野暮用を済ませて、松舞保育園に駆け付けたって言うのによ。
まだ、保母さん達も来てないみたいで、園の前の門も閉まってます。
こんな所で、うろうろしていたら、確実に不審者に見えるよなぁ~・・・
おっ、年配の女性と若い女性が、門の前で何やら話してます・・・どうやら、松舞保育園の保母さんみたいですね。
若い方の保母さん、結構美人じゃん・・・はっ、そんな目で見たらマジで不審者ですね。
とりあえず、手伝いに来た事を伝えて、車を駐車場に入れさせてもらうかな・・・
あっ、おはようございます、森山と同じ会社に勤める、小村比呂十です。
いっつも、森山がお世話になってます(^^ゞ
―――――――――10月25日(日)―――――――――
門の前に車を進ませると、向こうから、軽自動車が一台曲がって来ました。
ん?彼女も保母さんなのかな?
彼女の後を追う様に門をくぐり、車を駐車場に止める。
出て来た、保母さんらしき女性に、軽く会釈をして声をかけた。
「おはようございます、収穫祭の手伝いに来たんですけど・・・」
「あら、それはありがとうございます。え~っと、少々お待ち願いますか?、今担当の者を呼んで参りますから」
そう言って彼女は小走りに玄関へと消えていった。
うん、清楚で礼儀正しい女性だ・・・あんな女性が彼女だったら、幸せだろうなぁ・・・
あっ、言っときますけど、俺、別に女性に飢えてる訳じゃないですからね。
まぁ、彼女居ない歴3年ですけど・・・(^_^;)
暫らくすると、玄関から朝見かけた保母さんが出て来た。
「おはようございます、今日はお世話になります。保母の緑川って言います。えっとぉ・・・松舞高校の関係者の方ですか?」
「あっ、いえいえ、森山に・・・森山君に頼まれて手伝いに来ました、小村です。」
「あっ、モリヒデ君のお知り合いの方ですが。お忙しい所ありがとうございます。モリヒデ君達そろそろ来るはずなんですけどね・・・」
後ろで、車のクラクションが鳴った。「小村せんぱ~い、日向さ~ん」森山の車でした。
ちっ、邪魔者が入ったな。もう少し、緑川先生とおしゃべりしてたかったのに。


松舞保育園の校門をくぐると、日向さんと小村先輩の姿が目に入りました。
う~ん、小村先輩、早いですね・・・保母さん紹介するってのが、利いたかな(笑)
駐車場に車を止め、ヒグラシと熱々出来たての餡子が入ったタッパーを、車から降ろす。
「ちょっと、モリヒデ、転んで餡子をひっくり返さないでよ」
そう言うヒグラシの方が、フラフラしていて危なっかしいです。
「日向さん、餡子はどこに置いておきましょう?」
ヒグラシは、日向さんと園内へ消えていった。
「んじゃあ、小村先輩、僕らは臼と杵を借りに行きましょうか」
僕は、小村先輩の軽トラの助手席に乗り込んだ。
「おい、森山! お前、緑川先生と知り合いなんか?」
「日向さんですか?ええ、ヒグラシの・・・俺の彼女の友達のお姉さんなんですよ」
「ふ~ん・・・日向って言うんか、可愛い名前だな。年はいくつだ?」
「確か・・・5つ上だから、23歳かな? あっ、でも日向さんは大阪にちゃんと彼氏が居ますよ。」
「ばっ・・・馬鹿、俺は別に彼女にしたいなんて考えて無いよ」
軽く頭を小突かれた・・・そう言う割には、顔が真っ赤ですよ小村先輩(笑)
分かりやすいんだから~


「よ~し、全員無事到着したな。じゃあ、職員室にあいさつした後、女の子は沢田の指示に従って調理室行ってくれ、頼んだぞ沢田。」
「OK、じゃあ女子~ついて来て~」
「んじゃあ、男子は、臼と杵が届くまでの間に、机を外に出して並べるぞ~」
事前に、園長先生と打ち合わせした通りに、指示を出す。
職員室には、金田さんが居た。
「あれ?金田先輩も手伝いですか?」
「あっ、青木君おはよ。うん、おじいちゃんに頼まれて、千華屋特製の餡子を届けに来たの」
「へぇ~、千華屋の餡子って美味しいって、言いますよね。今日はモリヒデさんは?」
「あぁ、あいつなら、今臼と杵借りに出掛けてる」
いっつも、一緒ですよね、金田先輩とモリヒデさん(笑)
「じゃあ、私、楓ちゃん達ともち米を蒸かすから。」
そう言うと、パタパタとスリッパを鳴らしながら、調理室へと消えていった。
「じゃあ、園長先生、机といす運び始めますから。」
「あ~、ごめんなさいね。皆さん怪我しない様に、気を付けて下さいね。」
「お~い、本田~。じゃあ、こっちの教室から運び出すぞ」
「はい、青木部長・・・」
う~ん、まだ、青木部長って呼ばれるのが、しっくり来ないんですよね・・・
次の教室から、机を運び出す時、調理室の前を通った。
楓ちゃんが、金田先輩と楽しそうにお喋りしながら、お米を研いでいるのが見えました。
うん、やっぱり楓ちゃん可愛いよな・・・おっと、机が前を歩く本田にぶつかりました。
「悪りぃ悪りぃ、本田」
「青木さん、森山に見惚れてたんでしょう~」
周りの奴が、クスクス笑ってます。
「馬鹿、違うって・・・」
「おい、青木・・・隠さなくっても良いって」「良いなぁ~俺も彼女欲しいな~」
周りの奴らが、茶々を入れます・・・
「お前らなぁ~ だから俺は調理の進み具合をチェックしただけだって」
みんなが噴出した・・・やばい所を見られてしまった・・・


「美結~、ちゃんとカバンの中にハンカチ入れたか~?」
美結は、カバンの蓋を開け、ゴソゴソとカバンの中を調べてから、笑顔で「うん」って頷いた。
「パパ~、ちゃんと奥の部屋、戸締りした~?」玄関から真子が声をかける。
「あぁ、ちゃんとチェックしたよ」
・・・パパかぁ・・・なんか懐かしい響きです。
車のドアを開け、美結を抱き入れ、ジュニアシートに座らせ、シートベルトを付けてやった。
「あのね、おとうしゃん。きょう、みゆね、じろうくんとげきするんだよ」
次郎君・・・美結が今好きな男の子だな。ちゃんと、ビデオに撮ってやらなくっちゃな、その為に会社の後輩から借りて来たんだから。
「そっか、ちゃんと、ビデオ撮ってやるからな。頑張れよ」
「うん」
「お待たせ~じゃあ出発しましょ」真子が助手席に乗り込んで来た。
車は静かに走り出す、黄金色の田んぼの脇をいくつも通り過ぎた。



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