松舞ラブストーリー

山陰の仮想の町松舞町を舞台にした、様々な恋愛を見守ってやって下さいね

2010年03月

「美結ちゃんダメだって、お父さんの傍に行っちゃあ。もう、幸ちゃんも美結ちゃんが火傷しちゃうでしょ、気をつけててね。
じゃあ私は、家の中の事しちゃうからね、美結ちゃん、お父さんの言う事ちゃんと聞いてね」
・・・クリスマスに、ダッチオーブンでローストチキンを作ってからって言うもの、幸一がダッチオーブンや、炭火、焚火を使った料理にハマッてます。
パチンコや競馬にはまるより、全然良い事なんですけどね。
それで、問題の出来上がりですが、そこそこ食べれる料理も有れば、真っ黒焦げの料理も有ったりと、様々な結果なんです・・・
こんにちは、木下真子です。
―――――――――3月14日(日)―――――――――
今日はホワイトディですね。
幸一ったら、ダッチオーブンでケーキを焼いて私達に振る舞うって、朝から張り切ってます。

「美結、あんまり近付くなよ、火傷するからな。」
「やだ、みゆも、ケーキやくの~」
「ったく・・・そうだ美結、台所に行ってお母さんに、マシュマロを貰って来いよ」
「マシュマロ? おとうしゃん、たべたいの?」
「いや、俺が食べるんじゃなくて(^^;) マシュマロを美結に美味しくしてもらおうかなって、思って。」
「マシュマロをおいしくぅ? うん、わかった。おかあしゃ~ん」
はいはい、ちゃんと聞こえてますよ、マシュマロですね。
そう言えば、何故か昨日、幸一が買って来てましたね・・・確か、サンモールの袋の中に・・・有りました有りました。
「おかあしゃん、おとうしゃんが、マシュマロちょうだいって」
「はい美結ちゃん、落とさない様に気を付けて運ぶのよ。美味しくなったら、ママにも頂戴ね。」
「うん、わかったぁ」
美結ちゃんが、廊下をテケテケと走って行く。
その後ろ姿を見ているだけで、何故か幸せな気分になっちゃいます。
部屋の掃除も終わった事だし、気分転換に私も、本を持って庭に出てみようかな・・・

ディレクターチェアを持って、庭に出て見ると、幸一がうずくまって、炭火の調節をしていました。
その横で、美結ちゃんが楽しそうな声を挙げていました。
「美結、よそ見してると、すぐ真っ黒になっちゃうぞ。」
「うん、みゆ、ちゃ~んとマシュマロみてるから・・・あっ、おかあしゃんだ。」
「美結ちゃん、何してるの?」
「うん、あのね、マシュマロやいてるの」
「あ~、ほら美結~、マシュマロが焦げちゃったぞ。それ、お父さんが食べるから、ほら次のを焼いてみな」
「うん、こんどはちゃんと、みてるね」
焼きマシュマロ? 初めて聞く料理です。
「できたぁ~。はい、おかあしゃん、あげるぅ」
美結ちゃんが差し出した、串の先のマシュマロをパクッて頬張ってみる
あっ、表面はサラッとしてるけど、中側のマシュマロは、しっとりと蕩けています。うん、意外と美味しいです。
「へぇ~、美味しいね美結ちゃん。どうやって作るのこれ?」
「あのね、こうやって、くしにさして、ひに、ちかづけるんだよ。おかあしゃん、やけどしないように、きをつけてね。」
はいはい、どっちがお母さんなんだか。
面白そうだから、私もマシュマロを串に刺し、炭火に近付けてみる。
「おかあしゃんも、ちゃんとマシュマロみてなきゃだめだよ。すぐ、まっくろに、なっちゃうからね」
「はい、分かりました、美結ママ♪・・・あらっ?」
ほんの少し、美結ちゃんの方を見てただけなのに、マシュマロに火が点いて「あれよあれよ」と言う間に、真っ黒になっちゃいました。
「もう~、だから、みゆが、ちゃんとみてなさいって、いったでしょ」
「え~ん、美結ママ、ごめんなさい~」
「じゃあ、ほら、これやいてごらん」
う~ん、美結ちゃんは完全にお母さん気取りです(笑)

春のポカポカ陽気の下、私は読書を楽しんでいます。
幸一は、炭火の脇で焼いたソーセージをつまみに、ビールを飲みながら、ダッチオーブンの世話をしています。
美結ちゃんは、ビニールシートの上にぬいぐるみを並べて、お母さんごっこをしています。
何か幸せな気分です。
そう言えば、この前、会社の先輩に、幸一が料理にハマッている事を話したら、凄くうらやましがってました。
なんでも、彼女の旦那さんは、家事を一切手伝ってくれないそうなんです。
確かに私は、幸せなのかも知れませんね。
可愛い娘に、料理好きの素敵な旦那さんが居るんですから。
ポカポカ陽気の空の下、原っぱにシートを広げ、楽しくお弁当を食べる・・・そんな家族を持つのが夢でした。
夢見た事が、今現実になったんですから、こんな幸せな事ってないですよね。

「お~い、フルーツケーキ焼けたぞ~。」
いつの間に広げたのか、テーブルにディレクターチェアがセットしてあり、テーブルの上には紅茶が準備して有った。
「美結ちゃん、お父さんがケーキ焼けたって。食べに行こうか」
「うん、たべるぅ~。おかあしゃん、みぃちゃんとラビくんも、ケーキたべたいって」
「う~ん、ちゃんとみぃちゃんとラビ君のケーキも準備して有るかな?」
「なかったら、みゆのケーキをはんぶんっこするぅ~」
「じゃあ、お母さんのケーキも、分けてあげるね」
美結ちゃん、ほんとう優しい女の子になってきました。
みぃちゃんとラビ君の椅子も追加して、3人プラス2匹のティタイムです。
正に夢に見た風景です。
香り高い紅茶を飲みながら、旦那様手作りのケーキを頂く。
そよ風が心地良いです。
こんな幸せ、1年前は想像も出来ませんでした。
そんな幸せを与えてくれた幸一と美結ちゃんに感謝です、そしてこれからも、もっと皆で幸せになろうね。


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 ある高校生の夏休み編【完結】
(小夜曲)sérénade編【完結】
ショート・ショート編
モリヒデ・ヒグラシ編
颯太・朝葉編
洋介・日向編
幸一・真子・美結編
楓・青木先輩編
御主人様28号・詩音編
比呂十・美咲編
本田・沢田編
優ママ編
2009年収穫祭編【完結】


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会社の倉庫で、小村先輩と明日の工事の準備をしていたら、携帯にメールが届いた。
作業の手を止めて、携帯をチェックするとヒグラシから、メールが届いていた。
「え~っと、何々?」
俺はメールの文章を読み、ニヤッと笑った。
こんばんわ、モリヒデです
―――――――――3月12日(金)―――――――――
「何だよ森山~。気持ち悪いなぁ、ニヤニヤ笑って。佳奈絵ちゃんからのメールかぁ?」
「佳奈絵ちゃん・・・?あぁ、ヒグラシの事ですか、確かにヒグラシからのメールなんですけどね。うちの妹に、男が出来たんですって。」
「へぇ~、でもそれって兄貴として心配じゃないんか?」
「全然心配じゃないですよ。それに今度の男は、生まれた時からの幼馴染みなんですよ。ほら、クリスマスコンサートの時、ジャズでサックスのソロ吹いた奴、あいつなんです。」
「お~、あの高校生ってお前の妹の幼馴染みかぁ~。幼馴染と結ばれるって、何か羨ましいなぁ~」
「あっ、今のセリフ美咲先生に、チクっちゃいますよ。」
「馬鹿、冗談だって。」
本気で焦る、小村先輩が可愛いです。
「そいつは俺の事を、『ヒデにい』って呼んでいて、殆ど弟みたいな奴なんですよ。
正直、変な男に引っ掛かるより、そいつと付き合ってくれればって思ってたんですよ。
ちょっと頼りない感じの奴なんですけどね、芯はしっかりしてるし、優しい奴なんです。
そいつなら、妹の良い所も悪い所も知ってるから、上手くコントロールしてくれると思うんですよ。」
「ほぉ~、お前が褒める位なんだから、相当良い奴なんだろうな。」
「そう言えばそうですね(笑)。俺が認める男なんてそうは居ないですよね。・・・それで、今、その報告を兼ねて、うちのアパートに来てるそうなんです。
この積み込みが終わったら、帰っちゃっても良いっすか?」
「おう、いいぞ。でも本当は、妹より佳奈絵ちゃんに会いたいんだろ(笑)」
「佳奈絵ちゃんなんて、言われると調子狂っちゃいますよ。あんな奴、ヒグラシで十分ですよ、ヒグラシで。」
「馬鹿、佳奈絵ちゃんの事を『ヒグラシ』って呼んでも良いのは、お前だけだろ。お前だけがそう呼べる権利が有るんだぞ。」
「そんな物っすか?」
「恋人って、そんな物だって・・・。ほら、それ積んだら帰って良いぞ、森山。佳奈絵ちゃんと妹さんにヨロシクな」
「マジっすか?あざ~っす、小村先輩」

ヒグラシって呼ぶ様になって、気が付いたらもう少しで4年目だ。
ヒグラシと俺も、お互いを理解して、上手くコントロール出来る様になっていた。
この前の健吾のクッキー作りを思い出した。
あんな感じで、4人仲良く過ごせたら・・・そう考えたら、少し照れ臭くなった。
さて・・・サンモールでケーキでも買って帰ってやっかな。
楓と健吾の事だから、どうせ何も手土産持たずに、ヒグラシの家に上がり込んでんだろうからな。

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 ある高校生の夏休み編【完結】
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「あはは、又、素に会話してるね私達。これじゃあ、まるで中学の時みたいだね。」
そのセリフを聞いた瞬間、僕の気持ちは、楓に一気に流れ込んで行きました。
度々こんにちは(笑)、本田です。
―――――――――3月12日(金)―――――――――
「分かってるって・・・じゃあ、今度こそ本番だ!」
そのセリフを言った時、僕の心は決まってました。
・・・楓とリハーサルをしながら、考えてました、もし今日、沢田先輩に告白して、付き合う事になったとして、俺は楓の視線を追う事をしなくなると言い切れるだろうか?って。
「お前はそれで本当に満足なのか?」って、楓に問う前に俺自身に問うてみなきゃいけないかもな。
確かに、沢田先輩は美人だし、俺にはもったいない女性です。
もちろん沢田先輩と、過ごす時間は楽しいですよ。
でも、今でも少し緊張している。
女の子と数多く、付き合った事無いけど、楓と付き合っていた時が、一番素の自分で居られた様な気がする。
沢田先輩に100%本気になれなかったのは、多分、いや間違いなく楓との日々が、忘れられないからだろう。
今日この瞬間を逃したら、一生後悔するんじゃないんだろうか?
例え、沢田先輩とハッピーエンドを迎えられたとしても、または他の女の子と付き合う事になったとしても、きっと心のどこかで、楓との日々を忘れられずに居るんだろうなぁ。
誰かが、「男は、初恋をいつまでも引きずる」って、言っていた。
そんな事無いでしょって、その時は思っていたけど、今はその意見にうんうんって、素直に頷く事が出来る。
元々、終わった恋だ。今更、楓にもう一回振られたとしても、全然怖くない。

僕は今日何度目かの深呼吸をした。
「楓、俺実はお前の事・・・今でも好きなんだ」
緊張で喉がカラカラに乾いています。
「だから、もう一度付き合ってくれないか?」
そう、それが僕の出した答えだった。
ちゃんと噛まずに言えました。

「ちょっと、本田。それって・・・」
「馬鹿、もう一回言えるかよ、こんな恥ずかしい事」
ったくぅ楓の奴、こんな時位スマートに返事出来ないかな~(笑)
楓の頬を涙が伝っていた。
その涙の意味が分からず、ドキッとした。
どうしたら良いか分からず、頭の中が真っ白になった
「楓・・・」
そう言いながら、訳も分からず楓をギュって抱きしめていた。
「こら本田、痛いって・・・」
今、この腕を解いたら、楓は戻ってこない気がして、より一層抱きしめる腕に力を込めた。
「やっぱり、俺はお前と居るのが一番楽しいんだ。だから、お前を失いたくない。もう一度、俺と・・・俺と・・・」
その先のセリフを言い出す前に、楓が唇を寄せて来た。
きっと、これが楓の答えなのだろう。
気が付くと僕は、楓の頭を強く抱きしめていた・・・






「沢田先輩、これ俺の手作りクッキーなんですけど、良かったら食べてもらえますか?」
「え~本田君の手作りクッキー? ちゃんと味見した?」
「はい、少なくとも砂糖と塩は間違えていませんから。」
「ありがとう、本田君。ありがたく頂くわ。」
「沢田先輩・・・これからも、俺の素敵な先輩で居て下さいね。」
「・・・それって、どう言う意味かな?本田君」
「それは・・・その~あの~、俺にとって沢田先輩は、憧れの女性でした。そして素敵な思い出を一杯貰いました。でも沢田先輩にお似合いの男は、別に居ると思います。俺なんかを相手してたら、絶対後悔します。俺には忘れたくても忘れられない、そして切っても切れない縁の奴が居るんです、スイマセン。」
「・・・ありがとう本田君。ちゃんと本当の気持ちを言ってくれて。分かってた、本田君は私と話していても、視線は森山さんを追いかけてたもんね。」
「気が付いていたんですか?・・・すいません」
「んで、うまく行ったんだ、本田君。良かったじゃん、おめでとう。」
「ありがとうございます、沢田先輩。でも、本当にすいません。」
「謝る事、無いって。どの道、私は受験勉強が忙しくなるし、県外の大学志望だから遠距離になっちゃうもんね。私は、この一年頑張って勉強して、無事大学生になってから、恋愛するわ。」
「沢田先輩なら、自分で探さなくても、男の方から寄って来ますって。」
「うふふ、ありがとう本田君。ちゃんと気の利いた御世辞が言えるんだね。」
「あっ、ヒドイなぁ沢田先輩。僕ってそんなにダメな男ですか?」
「そうね、ダメダメ過ぎて放っておけない感じかな・・・な~んてね、そんな事無いよ。でもね、だからって気を抜いてたら、他の男子に森山さんを盗られちゃうわよ。」
「はい、気を付けます沢田先輩」
「よろしい本田君。じゃあ私帰るから。森山さんにヨロシクね。あっそれと、クッキーありがとう。」
そう言うと、沢田先輩は振り返る事無く、教室を出て行った。

僕も教室を出た。そしてその足で、楓の待つモリヒデさんのアパートに向かう。
一応、ホワイトディの結果を、ヒデ兄と佳奈絵さんに報告しておこうって、楓と話合ったからだ。
ヒデ兄驚くだろうなぁ(^^;)
中学時代付き合っていた事は、知らないからマジかよって言いそうな気がするわ。
そんな事を考えながら、夕日に染まる松舞の街並みを歩く僕。
きっと、幸せな顔しています。


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優ママ編
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2009年収穫祭編【完結】


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「じゃあ良いか、楓。」
本田が、大きく息を吸い込んだ・・・
これから本田が喋る言葉は、私の物じゃない・・・沢田先輩の為の物だ。
自分にそう言い聞かせる・・・
静まり返った教室に、野球部のノックの音が響き渡ってます。
こんにちは、森山楓です。
―――――――――3月12日(金)―――――――――
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・!ちょっと、本田~。いきなり黙り込んでどうするのよ~。リハーサルでこんなんじゃあ、本番の時何もしゃべれないわよ」
「・・・分かってるって。そう焦らすなよな、楓。よし、じゃあ今度こそ行くぞ。」
「いいわよ。」
本田の奴、じらすからこっちが、ドキドキしちゃいます。
「・・・沢田先輩、これバレンタインのお返しです」
「ちょっと待て本田~。いきなり本題かよ~、少しは他の話をして、雰囲気を盛り上げろよな。」
「え~い、いちいち注文が多いなぁ、分かったよ。
・・・。」
あ~、こんなんじゃ先が思いやれらますね(^^;)
「沢田先輩、いよいよ春になりましたね。」
・・・う~ん、強引な振りだなぁ(笑)
「暖かくなって来ましたから、色々な所行きたくなりません?・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・!こら楓、相槌位打てよ」
「あっ、そうかゴメンゴメン・・・そうねぇ~、本田君ならどこ行きたい?」
「俺ですかぁ?そうだな~雲山に映画見に行ったり、眺めの良い所でのんびりとかしたいですね。」
「のんびりかぁ~。良い場所知ってるよ、私。良かったら今度一緒に行かない?」
「マジですか? うれしいっす。俺、必至に頑張って弁当作って行きますよ。」
「え~、本田の弁当?大丈夫なの~?」
「おう、クッキー作ってから、なんか料理に目覚めちゃってよ。実は、ここの所お昼の弁当、自分で作ってんだぜ。」
「どうせ、冷凍食品ばっかりでしょ!」
「ほっとけよ、何事も先ずは始める事が大事だろ。」
「でも、あんたの弁当だと不安だなぁ。そうだ早起きして一緒に弁当作ろうよ。大森からそんなに離れてないから、急いで出掛けなくても大丈夫だよ。」
「そっか、じゃあ一つ考えてみようかな。」
「・・・ねぇ」
「・・・おい」
「いつの間にか、リハーサルじゃなくて、普通の会話になってるね」
「おう、そうだな(笑)。お前が素に返答するからだぞ~」
「ゴメンゴメンつい・・・。もう一度、リハーサルし直さなきゃね。」
「じゃあ、良いか? ・・・え~っと、沢田先輩は映画とか見に行きますか?」
「私? そうねたまに行くわよ。本田君はどんな映画とか見るの?」
「俺ですかぁ、何でもみますよ。アクションからホラー、ラブストーリーまで。」
「へぇ、ラブストーリーって意外ねぇ」
「そうだ、今度見たいラブストーリーが有るんだよ。楓一緒に見に行かないか?」
「う~ん、本田とラブストーリーかぁ・・・。イマイチな気もするけどなぁ・・・でも、たまには良いかな」
「よし、じゃあ行こうぜ。その映画再来週から公開なんだ」
「どんなストーリーなの?本田」
「それはだな・・・っておいおい」
「あはは、又、素に会話してるね私達。これじゃあ、まるで中学の時みたいだね。でも今度はあんたが悪いんだかんね。」
「分かってるって・・・じゃあ、今度こそ本番だ!」
リハーサルの本番って?(^^;)

「楓、俺実はお前の事・・・」
ちょっと、のっけから間違えてるって、私じゃなくて沢田先輩でしょ! しかも「お前」なんて呼び捨てにしちゃって
「今でも好きなんだ」
今でもって?文法がおかしくない?
「だから、もう一度付き合ってくれないか?」
いや、あんたと沢田先輩は、もう一度じゃなくて、これから付き合い始め・・・えっ?
何?それ?ひょっとして?
「ちょっと、本田。それって・・・」
「馬鹿、もう一回言えるかよ、こんな恥ずかしい事。それより、お前の返事は?」
私?私の返事?
私は何も言えずに、うつむいた。
ポロポロと嬉し涙が溢れて来た。
「楓・・・」そう言いながら、本田が私をギュッと抱きしめる。
「こら本田、痛いって・・・」
「やっぱり、俺はお前と居るのが一番楽しいんだ。だから、お前を失いたくない。もう一度、俺と・・・俺と・・・」
「本田・・・あの時はゴメン。私どうにかしてたんだろうね。私も、本田の事が一番好き・・・だから、一緒に映画を見て、一緒にお弁当食べながらのんびりしよ。」
そっと本田にキスをした・・・歌の歌詞通りじゃないけど、本田が本気になってくれた。
沢田先輩には申し訳無いけど、本田だけは誰にも渡さないって決めました、私だけの本田です。





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「だって、本当の事じゃん。ほら、私相手にリハーサルしてみなさいよ」
楓がそんな事を言ってきた。
リハーサルって・・・お前はそれで本当に満足なのか?
何故かそう、思えてならないです・・・こんにちは、本田です。
―――――――――3月12日(金)―――――――――
楓のセリフは、自棄を起こしているとしか思えなかった。
・・・考えてみたら楓の奴、これで何回目の失恋だ?
保育所の時の、ケンジに始まって、小1の時がシンイチ、小3の時は確か2人にふられたんだっけ?
小5、小6、中2と来て・・・
中3の時は・・・忘れもしない俺との別れだ。
でも、これはどちらかと言うと、楓の方から別れを切り出したんだから、当てはまらないかなぁ

こっちは、当分その失恋を引きずってたんだからな。
ありゃしんどかった・・・
今でもその傷が癒えてないのか、楓の視線をいつも追いかけていた。その視線の先に居るのは、そう、青木先輩だった。
考えてみたら、保育所の頃から、楓の視線の先を、目で追っていた様な気がする。
だから、あいつの好きな奴を、いつも言い当てる事が出来た。
俺の中では、楓って存在が心臓や脳の様に、身体の一部になっているんだろうなぁ。
失恋の傷が癒えたのではなく、他に目を向ける事が出来る様になっただけの事だったって、今になって気付く。
いや、他に目を向けていなきゃ、叶う事の無い楓への思いを断ち切れなかったのだろう。

今、楓にリハーサルとは言え、告白をしたとして、一体どうなるのだろう。
未だに、何かと俺にお節介を焼いてくるが、あいつの気持ちはあの別れを切り出された日に、決まっていたはずだ。
そう、俺はあいつの望む様な男じゃ無かったんだから。
だが・・・もし、楓に少しでも俺への未練が有るのなら・・・
いや、それは無いだろう。
だったら、逆にリハーサルするには好都合かもしれないな。
楓で一度練習をしておくのも、いいアイディアの様に思えてきた。

「じゃあ楓、お前でリハーサルしても良いんだな?」
「もちろんよ、ちゃ~んと私が添削してあげるから。厳しいわよ私のチェックは。」
「でも、この廊下じゃなぁ・・・ちょっと、下の教室に付き合えよ、楓」
「うん」
俺達は音楽室を離れ、下の教室に降りていく。

静まり返った教室、窓の外からは野球部の声が聞こえていた。
「じゃあ良いか、楓。」
俺は深呼吸をする。


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