松舞ラブストーリー

山陰の仮想の町松舞町を舞台にした、様々な恋愛を見守ってやって下さいね

2010年06月

6月も、もう下旬になりますね。
同期の人間の中には、鬱になったり、5月病でリタイアする人間も出始めました。
僕はと言うと‥‥‥
まぁ元々、マイペースな人間ですから、周りに流される事無く、自分を貫き通してます。
ただ、詩音と過ごす時間が極端に減ったのは、辛いです。
こんばんわ、御主人様28号こと、隆文です。
―――――――――6月18日(金)―――――――――
巷では、アフター5は皇居RUNとか、合コンを満喫なんて話を聞きますが、それって極一部の人間であって、大半のサラリーマンは大なり小なり残業してるんですね。
僕も、アフター5は残業を満喫しています♪
って、そんなもん満喫したくねぇよ~(ToT)
今夜も、もちろん残業でした。
詩音との甘い生活なんて、夢のまた夢って感じです。
電車を待つ地下鉄のホームから、詩音に「カエルメール」を打つ。
入ってきた電車は、朝より幾分か空いてはいますが、それでも松舞ならあり得ない混雑です(笑)
満員電車の窓から見えるオフィスビル群には、まだまだ明かりの灯った部屋が結構有ります。
就職難のご時世ですから、就職出来ただけでもありがたいと思わなきゃいけないのは、勿論分かってます。
でも、そこに人間としての最低限必要な健全な生活を、求めるのっていけない事なんですかね?

駅のホームに降り立ち、メールをチェックしたら、詩音から返信が届いてました。
「御主人様、お仕事お疲れ様です。明日はお休みですか?今夜は御主人様のアパートにお泊まりします。夕ご飯出来てますよ♪」
そう残業続きで、詩音が僕のアパートに入り浸る機会は少なくなりました。
詩音を一緒に過ごす夜は何週間ぶりなんだろう。
ホームを上ると、改札の向こうで手を振る詩音が見えた。
ショボくれたサラリーマン達の中に、メイド服で立ってるんだから、目立たない訳がないですよね。
そんな詩音の顔を見たら思わず、僕は笑顔になった。
「お帰りなさい、御主人様。お腹空きました?」
周りのサラリーマンが、目を丸くしているのが、笑えました。
「ただいま、詩音。お腹ペコペコだよぉ。今夜の夕ご飯のおかずは何?」
「はい、御主人様の大好きな、唐揚げと餃子にしましたぁ」
「お~、そりゃ楽しみだ。急いで帰らなきゃ。」
「はいなのですぅ」詩音が、僕の腕に手を回してきた。
「しかし、今週も毎日残業だったな。まぁ、先週みたいに午前様だったり、会社泊まり込みじゃなかっただけ、良かったけどな。」
「御主人様、毎晩残業で大変ですね。お身体大丈夫ですか?」
「あぁ、何とか持ちこたえてるよ。でも、ほら北海道から来ている近藤が、体調崩して入院しちゃったし、鉄ちゃんの佐々木は、鬱病になって会社を休んでるし‥‥社会人って、結構大変なものだな」
「入院ですか‥‥御主人様は無理なさらないで下さいね。」
「うん、ありがとう。でも、こうして詩音の笑顔見てたら、疲れなんてふっ飛ぶさ」
我ながら、クサイ台詞だと苦笑いしてしまった。
もっと気の効いた台詞が、言えたら良いんだけども。
そんな僕のクサイ台詞に、詩音は少しハニカミながら「ありがとうございます、ご主人様にそう言って頂けると幸せですぅ」と、答えた。
いやいや、お世辞なんかじゃ無くて本当に、そう思えるんだけどね。
「しかし、社会人って本当に大変なんですね。私も来年春には社会人なんですよね。少し憂鬱になっちゃいます。」
「そうだよな、どうだ就活は順調に進んでる?」
「いえ、やっぱり不況なんですね求人がさっぱりなんですよね。」
「グラフィックデザイナーなんて、一杯求人有ると思っていたんだけど、そっちの業界も不況なんだな。」
「はいなのです、まぁ大学時代のスキルを活かして、生花店に務めるか、親戚を頼ってウェイトレスって道も残ってますけどね。」
「‥‥ウェイトレスって、何か今と制服は変わん無いんじゃか?」
「そっ、そうですよね。案外良いかもしれませんね」
う~ん、来年以降もこの制服なのか‥‥それはちょっと考えちゃうなぁ
「でもでも、やっぱり第一志望はデザイナーですね。その為に専門学校通ってるんですから。」
「そう言えば、詩音の専門学校卒業生って、やっぱりアニメーターや漫画家志望が多いの?」
「はい、2/3は、そっちの業界に進みますね。でも最近はアニメ業界も中国スタッフの進出が多くて、結構大変みたいですよ。」
「でも、デザイナーだって、残業多くて大変な業界なんじゃないの?」
「確かにそれは言えるんですけどね‥‥」
詩音が少し暗い顔になった。
少し現実的な話をし過ぎたかな?
彼女の行動自体が非現実的だから、その辺はフォローしなくちゃいけないかな?
でも現実から、いつまでも目を背けている訳にもいきませんし。
少し、僕は考え込んでしまった。
「まぁ、『案ずるより、生むが易し』って言うだろ、思う様にやってみれば良いじゃん。俺だってそれなりに社会人してるんだから、しっかりしてる詩音なら大丈夫だって。」
‥‥「はいなのです、御主人様。ありがとうございますぅ」
う~ん、結局は詩音を甘やかせてしまった。
でも、実際の話、詩音ならきっと上手く立ち振舞えると思う。
「私が就職しても、こうやって一緒に帰宅したいですね」
「う‥‥うん、そうだね。駅で待ち合わせとかして、どこかで夕ご飯食べて腕を組んで帰りたいね」
「う~、夢の様な生活ですね。たまにはワインとチーズ買って帰ったりしたいですね。」
「うん、いいねぇ。なんだか楽しくなってきたぞ。」
「はいなのです。その為に詩音も就活頑張りますから」
「おう、俺だって、頑張って働くからな。」
「あっ、でもでも御主人様ぁ。私、きっとスーツか何か着てますよ。メイド服じゃなくても良いんですかぁ?」
‥‥‥いや、それが普通だって。
別に詩音のメイド姿に惚れた訳じゃないから(^^;)ゞ


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2009年収穫祭編【完結】


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今日は6月10日。
実は、私の誕生日なんです。本当ですよ~(・_・;)
去年の誕生日には、モリヒデにシルバーリングをもらいました。
そうです、19歳の誕生日にシルバーリングをもらうと、幸せになれるってアレです。
モリヒデにそんなロマンチックな一面が有るなんて知りませんでした。
きっと、颯太の入れ知恵辺りだと思いますが(笑)
今年の誕生日には、何をくれるのでしょうか?
ちょっぴりワクワクしてます。
こんばんわ、カナカナです。
―――――――――6月10日(木)―――――――――
実は、うちら4人の中で、モリヒデが一番誕生日が遅くて9月22日なんですよ。
だから今日から3カ月間は、モリヒデにおばさん扱いされるんですよね、腹の立つ!(ー_ー;)

おじいちゃんの家で、バースディパーティーを開いて貰った後、私とモリヒデ、健太の3人は、モリヒデの部屋で、DVDを見てました。
「姉貴、じゃあ俺は、太一の所でプレステしてくっから。モリヒデさんと、ごゆっくり」
意味深な笑顔を浮かべて、健太は部屋を出て行った。
「ったく健太の奴、ごゆっくりってどう言う意味よぉ」
「お前の教育が悪いんじゃないか?」
「何よ、私より、モリヒデの影響が大きいんじゃないの?」
「あのなぁ、ヒグラシぃ」
まずいです、いつも口調で反論しちゃいました(^_^;)ゞ
「あっ、DVD終わったね、コーヒーでもいれようか?」
ちょうどタイミング良くDVDが終わったから、私は席を立った。

2人テーブルに向かい合い、コーヒーを口にする‥‥健太が去った部屋は、静かな緊張感?が流れてます。
「なぁ、ヒグラシ。」
「何よモリヒデ、改まって」ちょっぴり、ドキドキしてきました。
「あのな、これバースディープレゼント」
そう言って、ゴソゴソと箱を取り出した。
「今回は、結構悩んだんだぞ、プレゼントを選ぶのに。気に入るかどうかは、微妙だけどな。」
「何?その微妙って? ねぇ、開けてみてもいい?」
「あぁ、あんまり期待すんなよ」
こんな控えめなモリヒデも珍しいですね、よっぽどプレゼント選びに悩んだんでしょうね(笑)
プレゼントボックスを開けると、中には一冊のアルバムが。
箱から取り出して手に取ってみる。
パラパラとページを捲る。
あっ。
「ねえ‥‥この写真達って」
「あぁ、お前と出会ってからの写真をもう一度焼き直してみたんだ。ほら、この前、楓と圭吾が来た時に一緒に見てたろう。今度は二人だけのアルバムにしてみたんだ。」
「懐かしい♪ ヤマトナデシコが始まりだったもんね。このアメフラシの写真って、携帯で撮った奴よね意外に綺麗に撮れてたんだ。あっ、何よこの写真!」
「えっ?どれどれ?」モリヒデが覗き込んで来た。
「これよこれ、麦わら帽子かぶって自転車押してる写真。これって高1の時の合宿の時?」
「おっおう、そうだそうだ、お前確かレンタルサイクルがパンクしちゃって、トボトボ歩いていたろう」
「あっ、ヒドイ。人の不幸を写真に収めてたんだぁ」
「ああ、たっぷりフィルム1本分な(笑) だから、こんな良い雰囲気の写真になったんだぞ」
「う~ん、確かにシチュエーションを知らない人が見たら、高原のお嬢様って感じよね」
「お嬢様ねぇ‥‥う~ん‥‥」
「何よ! あっねぇこの写真は、精霊流しの時の写真だよね。学園祭の写真も有る~。」
「おうっ、こいつは俺がモデルになってる写真だな」
「あっ、覚えてる。構図がおかしいって言ってた奴よね。」
「あっ、この写真も覚えてるぅ。確か撮った後、朝ちゃんが転んだんだよね」
「そうそう、颯太がオロオロしちゃったんだよな」
「ねぇ、この写真は何処?」
「これは、去年の秋、大阪行った帰り道だぞ」
高校一年、二年、三年、そして去年と、アルバムはページをめくる度に、モリヒデとの懐かしい思い出を蘇らせてくれました。

最後の写真は、今年の春のお花見だった。
「ねえ、まだまだページが残ってるけど、もう写真は無いの」
「馬鹿・・・ここから先の写真は、これからお前と撮っていくんだろ」
「そっそうね。」予想外のセリフに少しビックリした
「お前が婆さんになって、シワだらけになっても、このアルバムに貼り付けてやるからよ。」
「ちょっとそんな写真撮らないでよね」
言葉の裏の意味、分かっていましたが、そこには敢えて触れずにいました。
モリヒデが、真剣なまなざしで私を見ています。
「だから‥‥‥その‥‥‥俺と‥‥‥いつか‥‥‥ったくぅ、何でもねえよ!」少しふて腐れた様にモリヒデはコーヒーを口にする。
私は、モリヒデの目をまっすぐ見つめた。
「ねえ、モリヒデ。ちゃんと言って。今なら私も、素直に答えられる気がするから。」
モリヒデが少し困った顔をしたけど、深く息を吸い込み口を開いた。
「お前をずっと見つめていたいんだ。だからいつか、おっ俺と‥‥‥けっこ‥‥結婚してくれ」
「うん。その言葉ず~っと待っていたよ。」モリヒデの精一杯のプロポーズに、私は素直に頷いた。
「でも、こんな私で後悔しない? やっぱり辞めたってのは、出来ないのよ。」
「そんな事、分かってるさ。俺にはヒグラシ以外考えられないんだ。毎年、二人でアルバムのページを増やして行こう。」
そんな言葉一つ一つに、涙が溢れてくる。
「うん、一生モリヒデと笑顔で暮らすから。だから、笑顔が絶えない家庭を築こうね。」
「あぁ、後悔はさせない。絶対幸せにするからな。」
いつもに無く真剣なモリヒデの言葉は、凄く頼もしかった。
「私だって、モリヒデに愛想を付かされない様に、頑張るからね。」

20年間生きてきて、一番嬉しいバースディプレゼントをもらった気がする。
これ以上無い、お金では決して買う事の出来ない最高のプレゼントです。
まだ、私は学生だし、モリヒデだって社会人とは言え、2年目ですから実際に結婚するのは、まだまだ先の話だろうけど、その日を夢見て頑張って行けそうな気がします。
そっとモリヒデが肩に手を回してきた。
少し汗ばんだ肌と肌が触れ合う。そしてそっと唇を重ねた。
それはいつも以上に甘くて優しいキスだった。

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