松舞ラブストーリー

山陰の仮想の町松舞町を舞台にした、様々な恋愛を見守ってやって下さいね

2010年09月

Pipipi‥‥‥Pipipi‥‥‥
目覚まし時計が、部屋中に鳴り響く
「洋君‥‥‥洋君‥‥‥目覚まし‥‥‥目覚まし鳴ってるよ‥‥‥」
「おおぅ‥‥‥眠いなぁ‥‥‥」
そりゃ、あれだけ頑張れば‥‥‥あっ、何を頑張ったのかは、御想像にお任せ致します。
おはようございます、日向です。
―――――――――9月22日(火)―――――――――
今、朝6時です。
今日は研修初日、東京の地理に不慣れな私の為に、洋君が会場まで送ってくれる事になっています。
ゴソゴソと洋君が布団から抜け出し、目覚ましのボタンを押す。
「ふぁ~あ・・・、日向も起きろよな」IMG_0236.jpg

「うん・・・」そう言いながらも、私はもう一度布団に包まっちゃいました。
布団から香る・・・いや正確には臭う洋君の匂いに包み込まれ、ちょっぴり幸せな気分です。
「こらぁ、日向・・・いつまで寝てんだよ」そう言いながら洋君が布団に潜り込んできた。
「起きろ日向」そう言いながら、軽くキスをする。
「ふふふっ、おはよう洋君♪」「おはよう、日向」もう一度深くキスをした。


ちょっぴり行儀が悪いかもしれませんが、パジャマのまま、キッチンに立ちオムレツを作る。
トーストが焼きあがる頃にはコーヒーも淹れ終わり、ランチョンマットを敷いたテーブルに朝食を並べる。
ネクタイを結び終えた洋君が椅子に座る。
「相変わらず、旨そうな料理だな♪日向」
「ありがとう洋君、着替える前に食べちゃおうか。」
私も椅子に座り、二人で「いただきます」をする。
「今日は、洋君何時位に仕事終わりそう?」
「ん?一応急な仕事が入らない限り、定時退社させてもらう様に、部長には頼んであるし、飯野にも今週は定時退社するって言ってあるから、多分6時半にはアパートに帰ってると思う。日向は何時に研修が終わるんだ?」
「レジメを見ると、5時に終わる様になってるよ。だから6時位には遅くとも、帰ってると思う。帰りに夕ご飯のお買い物しておいた方が、良いよね?」
「そうだなぁ・・・俺が会社出る時にメールするわ。そうすれば何時位にアパート帰れるか分かるだろうし、買い物の段取りもし易いだろ?」
「そうね、じゃあメールを待ってるね。洋君何か食べたいメニュー有る?」
「う~ん・・・今、お腹一杯だし、とっさに思い付かないなぁ・・・昼飯前までには考えてメール送るわ。」
「うん、了解♪ あっ、もう7時になっちゃうね・・・急いで着替えなきゃ。あ~ん、髪の毛爆発しちゃってるし~」
洋君はクスクスと笑いながら、食器を流しに運んでいる。
「ごめんね洋君。流しまで出してあれば、帰ってから洗うから。」
「良いよ、俺は着替え終わってるから、洗い物しておくよ。」
ずいぶんと洋君も家事に慣れた様です・・・ちょっぴり感心しちゃいました。


「じゃあ準備OKだな、出掛けるぞ日向。」
「うん。あっでもちょっと待って洋君」そう言いながら私は洋君の肩に腕を回す。
「いってらっしゃい、洋君♪」そう言いながら、今日何回目かのキスをする。
「日向こそ、今日一日頑張ってな。」
外に出てみると、9月も下旬だと言うのに、まだ東京は朝から暑いです。
まだ7時を少し回ったところだと言うのに、東京の街はもう慌ただしく動き始めてます。
「うわ・・・朝から人多いわね」
「おいおい日向、それじゃあ田舎者丸出しじゃないか(笑)。そんなんじゃあ、満員電車見たらうんざりしちゃうぞ」
考えてみたら、平日の朝の東京なんて初めての事なんですよね。
「やっぱり、この時間でも満員なの?」
「あぁ、この時間でも車両の中は身動きが取れない状態だぞ。」
それを聞いただけで少し憂鬱になっちゃいました・・・やっぱり私に都会の生活は無理なのかもしれませんね・・・そんな事を思っているうちに駅に着く。
「ねぇ、何駅まで切符を買えば良いの?」
「え~っと、確か調べて携帯に保存しておいたけどなぁ」そう言いながら、洋君は携帯をかまいを始めた。
「ん~・・・有った有った。お茶の水だな・・・中央線の秋葉原の隣・・・山手線から横にオレンジの線が延びているだろう?」
二人で上を見上げ料金表をにらめっこする。
「200円!」二人同時に声上げ、思わずクスクスと笑う。
無事、切符を買い込みホームに上がる。
ホームに入って来た電車を見て、思わずうんざりしてしまった。
「何?これってもう私達が乗る隙間が無いじゃない!」
「少しは降りる人間がいるから、その空いたスペースに無理やり乗り込む様にするんだ。いいか?乗るぞ」
嘘でしょう?どう考えたって人の乗る隙間ないんですけど・・・
躊躇している私の手を引っ張り洋君は、電車に乗り込んだ。
「・・・・・日向、大丈夫か?きつくないか?」
「大丈夫だよ洋君・・・」とは言ったものの正直きついです。
つり革にも捕まる事が出来ない私の、右手を洋君が握り締めてくれる。
痴漢の冤罪ってニュースを聞きますが、正直これじゃあ痴漢なのか成り行き上、手が触れているのか分かりませんね。
カーブの度に洋君の右手を強く握りしめ、必死に踏ん張って耐えていました。


秋葉原で中央線に乗り換え、お茶の水で降りる。
洋君の早い足取りに付いてくのに必死で、駅構内の道順なんて覚える暇が有りませんでした(=_=;)
「大丈夫だったか日向?」
「う~ん、正直きついわぁ。洋君は毎朝あんな電車に乗ってるんでしょ、頭が下がるわぁ」
「俺も最初はしんどかったさぁ。慣れって怖いよな(笑)最初は乗るのも躊躇してたけど、今じゃあ無理やりにでも乗りこんじゃうからな。でも、痴漢に間違われない様に自分の手のポジションとか、色々気を使わなきゃいけないから、大変なんだぞ」
「あっ、それは私も実感したわ。あんなすし詰め状態じゃあ、痴漢なのか偶然なのか分かんないよね」
「だろ~。・・・おっとここだここ!着いたぞ日向、ここが研修会場だ。まだ時間有るから適当に時間潰せよな。じゃあ俺は会社向かうから」
「うん、ありがとう洋君。気をつけてね・・・帰るメール忘れないでよ」
「おう、じゃあな」洋君は右手を軽く振りながら、来た道を戻って行った。
洋君の背中が人混みに紛れていく・・・少し切ない気持になってしまいます。
不思議ですよね。
今まであれだけ離れていたのに、離ればなれの生活に慣れていたはずなのに、たった半日離れる事に切なくなるなんて・・・今までの生活は一体何だったんでっしょうね?


向かいのドトールに入る。
窓際のカウンターに座り、カフェラテを口にしながら、窓の外をボンヤリと眺めていた。
窓の外では、私の事など気にも留めず沢山の人達が忙しなく歩いています。
朝葉が言っていた、「この街では自分がどれだけ小さな存在なのか痛感する。」って言う意味が、やっと分かりました。
「やっぱり私には、この土地での生活は無理かも」って小さく呟いていた。

「おっ、居たいた・・・」
背後からそんな声が聞こえた・・・洋君の声だ!慌てて振り返る。
店の入り口から、速足で近づいてくる洋君が居た。
「どうしたん洋君?」寂しかった気持ちと洋君が戻ってきてくれた嬉しい気持を隠しながら、極めて平静を装った声で話し掛ける。
「ほい、忘れ物・・・」私の目の前にアパートの鍵が差し出された。
「今朝、アパートの鍵を閉めた後、日向に鍵を渡すの忘れちゃっててさ。そんなに会場から離れた場所には行ってないだろうって思って、周りを見渡したらこの店が最初に目に付いたからな。じゃあ今度こそ会社向かうわ、結構ギリギリの時間なんだよな実は・・・」
そう言いながら、洋君はお店を飛び出した。
カウンターの上に置かれた鍵をボンヤリと見つめる。IMG_1076.jpg
・・・・・こんな街の中で、ちゃんと洋君は私を見付けてくれた。
ただそれだけの事が妙に嬉しかった。
「万人に認められなくても、洋君だけは私を認めてくれる。万人の為の私じゃなくて、たった一人の為の・・・洋君の為の私、それで十分じゃない?」と自問自答してみる。
きっとこの街はそんな思いで成り立っているんだね。
だから他人に無関心なんだよね、きっと。
だから今もう一杯カフェラテを注文したとしても、きっと私を笑う人間なんていない・・・いい意味で他人の目を気にしなくて済む街なんだ。
自意識過剰気味だった自分に恥ずかしくなり、同時に気持ちがグッと楽になった。
そして呟くのだった「時間有るし、マジでもう一杯カフェラテ頼んじゃおうかな~」って。


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「ひなたぁ・・・朝飯は適当に冷蔵庫に有るもんでいいかぁ~?」
「うん、洋君にお任せするぅ」
洋君の部屋に私の声が響き渡る・・・
おはようございます、日向です
―――――――――9月21日(月)―――――――――
今日から1週間、私は研修で東京で生活する事になりました♪
もちろん、洋君のアパートに転がり込んじゃってる事は内緒です。
「あちちっ」
キッチンから、洋君の必死に料理を作る声が聞こえてきます。
「大丈夫~?」
「おぅ大丈夫だあ、お前はゆっくりしておけよ、夜行バス疲れたろ。」
「ありがとう大丈夫だよ。洋君こそ朝早く東京駅に迎えに来てくれて、大変だったでしょ?」
「いや、俺は毎朝こんな調子だからなぁ。はいよ、本当に何にも無いぞ・・・」
そう言って、洋君はテーブルの上に、朝食を運んできた。
「・・・これって、買って来たんじゃなくて洋君が作ったの? 」IMG_0091.jpg

「おう、器が器だから、冷凍食品をチンしたみたいに、見えるだろ(笑) まぁ、実際電子レンジしか使ってないから、似た様な物かもしれないけどな。」
「でも、凄いじゃない・・・一人暮らしして、少しは成長したみたいね。」
「何だよ、その上から目線はぁ・・・ほら、カフェオレ」
「ありがとう・・・」なんだか、凄く幸せな気分です。
1週間だけですが、こうやって洋君と東京で暮らせるなんて・・・


ソーセージを頬張りながら、洋君が話し掛けてきた。
「んで日向、今日の予定は?」
「う~ん、特にないなぁ・・・って言うか、明日からの研修に備えてレポート書かなくちゃあ。本当はこっちに来る前に仕上げておきたかったんだけど、色々保育所のイベントが昨日まで有って忙しかったから、まだ出来上がって無いのよね」
「そっか、俺も仕事の資料まとめなきゃいけないから、ちょうど良かったわ。じゃあ今日はお互い、パソコンとにらめっこだな。」
「そうね・・・でも夕方までに一回、お散歩がてらお買い物に出掛けようよ。」
「そうだな、冷蔵庫の中が空っぽだしな。今日は祝日だから、色々セールしてるしな」
「ずいぶん所帯染みて来たわね、洋君も(笑)・・・でも、そんな所も素敵だよ」
「ばっ馬鹿・・・何を言い出すんだよ。ほら、さっさと食べてテーブルの上片付けるぞ。」
「はいはい」少し唇を尖らせて、そっぽを向いた洋君が可愛いです♪
洋君の淹れてくれたカフェオレを飲みながら、そんな洋君を見つめる。


「じゃあ、コンセントはここにつなげよ・・・パソコン立ちあげたら、無線LANの設定するからな。メールチェックや、ネットで調べ物とかするんだろし、プリンターも使える様にしておいた方が良いだろ?」
「うん、ありがとう」やっぱり、こう言う機械物は洋君に任せておくに限りますね。
ちょっぴり、ヲタクが入っている(笑)から、結構パソコン関係の機器が充実しているんですよね、洋君の部屋って。
洋君がパソコンのセッティングをしてくれている間に私は、自分の荷物を整理する。
流石に1週間分の荷物となると、結構な量になりました。
洋君が、空けておいてくれたタンスの引出しに、手際良く着替えを詰めていく。
これが1週間じゃなくて、一生の初日だったらなんて、思ったら少し照れくさくなった・・・何を考えているんでしょうね、私って。
「何ニヤニヤしてんだよ日向! パソコンのセッティング終わったぞ」
「ありがとう、早いんだね?」
「そりゃ、俺の自慢の環境だからな♪」
自慢げに話す洋君が子供っぽくて、可愛いです♪


IMG_0279.jpg
小さなテーブルにお互いのパソコンを置き、向かい合わせで作業をする・・・休日にこうやって仕事するのって不憫な気もしますが、洋君が向かいに居ると思うと、それも悪くないかなって、気もします。
部屋にキーボードを打つ音が響き渡る。
気が付くと、BGMにしていたCDが止まってます。
CDを入れ替えるついでに、キッチンに行きコーヒーをいれる。


窓の外に視線を移すと、窓の外には抜ける様な青空が広がっています。
東京って、光化学スモッグとか排気ガスで、空が汚いってイメージが有ったから、ちょっぴり意外な感じです。
「東京でもこんな青空が見れるんだ‥‥‥私の知らない事が東京には多いなぁ」
洋君の事にしても、そう。
私の知らない所で、彼は彼で努力して頑張っている。
私の知らない洋君が居る事に、ちょっぴり切なくなってきた。
一緒に起きて一緒に朝食を食べる。一緒に家を出てそれぞれの職場に向かう。夕方、サンモールで待ち合わせして買い物をして、帰宅。一緒に夕ご飯を食べ、お風呂に入り、一緒の布団で眠りにつく。
そんな何でもない日常が幸せに思えてきた。
「ずぅ~っと、こうして居たいのにな」そんな事を呟いている自分に気づき、思わず赤面してしまう。


「はい、コーヒー・・・一息入れませんか、洋君?」
「おう、サンキュー日向。ちょうどコーヒーが飲みたかったんだ、相変わらず気が利くなぁ」
「ちょっと褒めても、何も出ないわよ・・・(笑)」
「何だよ~、クッキーかケーキ位出て来るかと思ったのによ(笑)」
「そんなに人生は甘くないのよ、ボクぅ」
洋君がニンマリ笑った・・・私も笑顔を返す。
・・・・・そうよね、人生そんなに甘くは無いんだよね。
だから、この一週間は精いっぱい楽しまなきゃね・・・折角神様がくれたチャンスなんだから。
「ねぇ、折角だから、この機会にお揃いのマグカップ買おうか、洋君」
「おっ・・・良いねぇ。何か新婚生活みたいだな」そうほほ笑む洋君・・・洋君も私と同じ気持ちなんだね。
「じゃあ、お互いさっさと仕事を片付けてしまおうな。」そう言いながらモニターを覗き込む洋君に、私はウンってうなづいた。





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「遅いな~、ご主人‥‥‥隆文さん」
夏も終わり、夕暮れが早くなりました。
ここ、渋谷の街も、薄っすらオレンジ色に染まっています。
今日は、渋谷で待ち合わせをして、これから一緒に隆文さんが春までバイトをしていた、お台場のレストランに出掛けます。

こんばんわ、実はここに主役で登場するのは、初めての詩音・・・福富詩音です。
―――――――――9月1日(火)―――――――――
さて、お気付きかも知れませんが、「ご主人様」ではなくて、隆文さんと呼んでいる(さっきは素に御主人様って言いそうでしたが)のには、訳が有るんです。
実は今、トレードマークのメイド服ではなくて、リクルートスーツ姿なんです。
そう、今日はデザイン事務所の面接が、目黒で有ったんです。
感触ですか?う~んどうなんでしょう・・・自分では精一杯頑張ったつもりなんですが・・・
おっと、話が逸れましたね。
リクルートスーツで「御主人様ぁ」って、話し掛けても恰好が付きませんから・・・だから今日は、隆文さんなんです。
きっとこれからは、隆文さんって呼ぶ事が増えるんでしょうね。
ええ、自分でも判ってます。いつまでも御主人様とメイドの関係では居られない事くらい・・・
いつかは、隆文さんと詩音って関係に、ならなきゃいけないんですよね。
少し寂しい気もしますし、それで関係がギクシャクする事は無いとは思いますが、私的にはもう少しメイドとして、御主人様に甘えていたい気もします。

どこからか、鐘の音が聞こえてきました・・・6時を回ったみたいです。
隆文さんとは、5時に待ち合わせだったんです(鈴木雅之さんと菊地桃子さんの曲みたいですぅ)が、客先での会議が渋谷で有って、それが終わり次第直帰するって話でしたから、まだ会議が終わってないのかもしれません。
「まだかなぁ~、隆文さん。」
忙しなく動く人混みの中、ハチ公の前に立っている私だけ時間が止まった気分です。
‥‥‥隆文さんと知り合って、1年以上経ちました。
何となくこの一年の事を思い出してみる。
色々喧嘩したりもしましたが、二人で過ごす日々は思い出がいっぱい生まれましたし、どれも甘酸っぱくて、一つ一つ、思い出すと胸がキュンと締め付けられます。
こんな恋愛は、初めてです‥‥‥と言っても、そんなに恋愛経験が豊富な訳では無いんですけどね(^_^;ゞ
これで就職が決まったら、お互い仕事帰りに待ち合わせしたりと、新たな思い出が沢山出来るんでしょうね。
オープンカフェでお茶しながら、互いの仕事の愚痴を言い合ったり、慰めたり。
たまには、お洒落なバーで飲んだりもしたいですね。

渋谷の空に、ネオンの灯りが点り始めました。
う~ん、本当に遅いですぅ、隆文さん。
メールも送ってこない所を見ると、忙しいのでしょうか?
でも、待つのって意外と、嫌じゃないんですよね。
待つ相手が居るだけマシと言うか、独りぼっちじゃない事を実感出来ますからね。
相手の顔が見えた瞬間の、嬉しさが堪らなく好きだったりします。
‥‥‥とは言え、やっぱり待つのは退屈ですけどね。
携帯でもう一度メールチェックをしてみる。
やっぱり、メール届いていませんね、残念ですぅ。
隆文さんが、あんなに楽しみにしていたから、まさか忘れてるなんて事は無いとは思いますが‥‥

読みかけの文庫本をバッグから取り出し、ペラペラと捲る。
数ページ読んだところで、本を閉じる・・・この喧噪の中じゃ本の内容が、頭の中に入って来ませんでした。
携帯をもう一度取り出し、「待ちぼうけ中~」って、ツイートしてみる。
こう言う時って、車だったら音楽かラジオを聴きながら、時間潰しが出来るんですけどね。
流石に少し退屈になって来ました。

♪♪♪
メールです、急いで携帯を開いてみる。残念ながら隆文さんからのメールでは無くて、フォロワーの優ママさんからでした。
「退屈だろうけど、頑張って。私も、昔よく待ちぼうけを喰わされましたよ」
その言葉に少し勇気が湧いてきました。
「こうなったら、死ぬ気で待ってみます。渋谷の街はすっかり夜の帳が降りちゃいましたよ~」そうツイートする。
優ママさんには、ブログ書いていた頃から、お世話になってました。
でも、よく話を聞いてみたら、私より年下なんですよね・・・(^_^;)
あっ、因みに隆文さんには、ブログの事もツイッターの事も話していません。
何か恥ずかしいですからね(^_^;)

♪♪♪
また、優ママさんでしょうか?
メールをチェックする。
「ごめん、詩音。今、会議が終わった。5分位でそっちに行けると思う。急いで行くから」
隆文さんからのメールでした。
やっぱり、会議長引いたんですね。
やっとで会えると思ったら、ちょっぴり緊張してきました。
お店のウィンドウに映った自分の姿をチェックしてみる。
‥‥‥大丈夫みたいですぅ。
そうそうツイートしておかなくっちゃあ
「彼がやっとで来ます♪ 今、メールが来ましたぁ」
‥‥これでOKっと。
振り返ると、隆文さんが手を振っているのが見えました。
私も大きく手を振り返します。
「御主人様~ぁ」って叫びながら
‥‥‥しまった、周りに居る人達が一斉に私の方に振り返りました。
うううぅ‥‥やっぱり私はドジッ娘なんですね。
でも良いんです、やっぱり隆文さんは私の御主人様なんだから♪


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