松舞ラブストーリー

山陰の仮想の町松舞町を舞台にした、様々な恋愛を見守ってやって下さいね

2011年05月

昨日は「ちょい、言ったー。」で盛り上がってしまって、思った程テスト勉強が出来ませんでした。


・・・っと、みるふぃ~ゆが愚痴をこぼしています。
僕的には、合間合間で結構勉強したと思っているんですが(^_^;)
おはようございます、一郎です。
――――――――― android game 編 5月29日(日)―――――――――
「一郎サン、今日コソハ死ニモノ狂イデ、勉強シテモライマスカラネ。」

あっ・・・やばい・・・
みるふぃ~ゆが、怖い顔して睨んでます。

「・・・実は今日、斉藤さんと町立図書館で会う約束なんだ。メイちゃんも来るから、みるふぃ~ゆも出掛けないか?」
「エッ! メイチャンニ、会エルンデスカ? 久シブリニ、オ喋リシタイト思ッテマシタ。ハイ、一緒ニ出掛ケマスゥ。ソレデ、待チ合ワセハ何時ナンデスカ、一郎サン?」

みるふぃ~ゆが、嬉しそうに話かけてきた。
・・・ふふっ、また今日もみるふぃ~ゆの気を反らす事に成功しましたね♪
「んっと、昼飯食ってからって話だから、1時位だな。」
「ジャア、午前中ハ勉強出来マスネ♪」

・・・ちっ、みるふぃ~ゆの方が一枚上手だったみたいです。



「違イマスッテ、一朗サン。 水酸化イオンハ1価ダカラ、同ジ1価ノナトリウムイオンハ、1ツシカ結合シマセンヨ。」
「あっ、そうか・・・俺、化学反応って苦手なんだよな。」
「ソウデスネ・・・過去ノ成績カラ見テ、一郎サンハ理数系ガ苦手デスヨネ。文系ヤ社会科モ、オ世辞ニモ良イ成績トハ言イ難イデスネ。体育ヤ、音楽美術ハ、マァマァナンデスケド」
「落ち込む様な事、堂々と言うなよな。俺が音楽で赤点取ったら、洒落にならんだろ。」
「『神ハ我ヲ、見捨テテナカッタ』ッテ奴デスネ。」
「神様に嫌われても、うちは仏教徒だから、仏様に嫌われなければ、大丈夫だもんね。」
「ソンナ子供ッポイ事バッカリ言ッテルカラ、駄目ナンデスッテ・・・アッ、ソロソロ昼食ノ時間デスネ。私、手伝イニ下リテ来マス。一郎サンハ、コノページヲ解イテカラ、ゴ飯食ベニ下リテ下サイネ。」
「はいはい。」あ~やっと、勉強から解放されます♪
「『ハイ』ハ1回デスヨ。ソレト、答合ワセシテ、全問正解スルマデ、オ昼ゴ飯ハ食ベレマセンカラネ」
「マジかよ~」僕は、渋々机に向かった。




「キャ~、メイチャン久シブリ~。元気ダッタ?」
「ウン。ミルフィ~ユチャンコソ、元気デシタカ?」
メリーアンに元気とか病気とかって要素は無いと思うんだが(^_^;)
「悪りい、斉藤さん。みるふぃ~ゆが意地悪するから、遅くなった」
「意地悪ッテ・・・一郎サンガ、何回モ答ヲ間違ウカラデスヨ~」
「何やってたんよ? あんた達は?」
「いや、化学の問題全問正解するまで、昼飯抜きだったんだ」
「そりゃ、お昼ご飯を食べれた事の方が、奇跡だね。」

「ひどいなぁ~、斉藤さんまで・・・ところで、その大きなカバンの中身は何?」
「はぁ? 何って、もちろん教科書や参考書でしょ! 図書館で何すると思ってたの?」
「何って・・・考えてなかった」

「あんたねぇ・・・本読むか、勉強する以外に図書館で、何が出来るのよ。・・・まぁいいわ、別々の教科を勉強すれば、いい事なんだから。」
「やっぱ、勉強するんかよ~ 俺は午前中も頑張って勉強してたんだぜ」
「一郎サ~ン、ソレハ昨日勉強スル予定ダッタ所デ~ス。今日勉強スル分ハ、マダ残ッテマスカラネ。」振り返ると、みるふぃ~ゆがメイちゃんとニンマリ笑っています。

「私達ッテ、大変ダヨネ。オーナーノ身ニ回リノ、オ世話ヲシナガラ、勉強モ教エナキャイケナインダカラ。」
「デモ、咲月サンガオーナーナラ、勉強ノ心配ハ、シナクテイインジャナイノ、メイチャン?」
「ソンナ事ナイヨ、モチベーションヲ維持サセルノ大変ナンダカラ。セイゼイ、3時間ガ限度ヨネ。逆ニ、強制的ニ休憩取ラセナキャイケナイ位、集中シテイル時モ有ルシ」
「一郎サンハ、モチベーションガ30分続ケバ良イ方ダヨ。」

「こら~! みるふぃ~ゆ、余計な事喋るなよな。」
「みるふぃ~ゆちゃんも、大変ね。飯塚君の家に来た事、後悔してない?」斉藤さんが笑っています。

「オ父サンヤ、オ母サンガ、優シクテ明ルイデスカラ、毎日楽シイデスヨ、咲月サン。」

「そう、なら良かった。 じゃあ、図書館入ろうか。みるふぃ~ゆちゃんとメイは、裏の公園にでも行ってる? このKOだから。」
「ソウデスネ、裏ノ公園デ、ミルフィ~ユチャント、オシャベリシテイマス。」
KOとは、メリーアンが立ち入れない場所の隠語です。
図書館って、著作権の有る物ばかりだから、違法コピー対策として立ち入り禁止措置が取られています。
他にも、書店や映画館もドンキーですし、聴音録音機能が有る為、CDショップに入店は出来るのですが、視聴行為は禁止になっています。
これらの問題が解決されない限り、完全なメリーアンとの共存は不可能なので、メリーアンユーザー達はKOと呼んで敬遠しています。

「咲月サン、一郎サンノ性根ヲ叩キ直シテヤッテ下サイネ(笑) ジャア、メイチャン行コウカ。」
「お前なぁ・・・」みるふぃ~ゆとメイちゃんは、手を繋いで公園へと歩いていった。

「こうやって見ると、仲の良い双子の姉妹みたいよね」
「確かにね。顔はお互いノーマルだもんな。」
「さて・・・じゃあ飯塚君の性根を叩き直そうかな」
「斉藤さんまで、そんな事言う~」笑いながら僕達は図書館に入った。

・・・傍からみたら、高校生カップルの健全なデートに見えるかな?って思ったけど、あえて口にはしなかった。
言葉にしてしまうと、今が無くなる様な気がしてしまう。
そして、幸せなのか不幸なのかは分からないけど、斉藤さんの、みるふぃ~ゆより厳しい猛特訓が始まるのだった。

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♪♪♪
「一郎サン、斎藤サンカラメールガ来マシタヨ。」
「だから、携帯ジャックするなよな、みるふぃ~ゆ。はいはいっと。」
結局昨日はテレビを見た後、そのまま寝てしまいました・・・おかげで今日は朝から机の前に拉致されてます・・・こんにちは一郎です。
――――――――― android game 編 5月28日(土)―――――――――
[こんにちは、一郎君。台風が近づいてて天気悪いね。まぁ、どの道テスト勉強しなきゃなんだけど。あのね、松舞町限定SNSサイト発見したよ。『ちょい、言ったー。』って言うんだけど、暇な時に覗いてみてね。アドレスは、http://tyoitter.blog.fc2.com/だからね。・・・そうそう、今朝は痛ましい事故が有ったね。同じメリーアンユーザーとして考えさせられるわぁ]

「へぇ~、松舞限定SNSかぁ・・・なぁ、みるふぃ~ゆ、ちょっとパソコン立ち上げるぞ。」
「モウ、一郎サンッタラ、斉藤サンカラメールガ来ルト、スグ対応シチャウンダカラ・・・私、妬イチャイマス。」
「馬鹿、そんなんじゃないんだって。新しいSNSを見付けたんだってさ、松舞限定の」
「松舞限定デスカ? ユーザー数少ナソウデスネ。スグ、閉鎖サレルンジャナイデスカ?」
「結構シビアに見てんなぁ、みるふぃ~ゆは。確かに、そうなんかもしれないけどな。えっとhtt・・tyoitter・・・」
「チョイッターデスカ?ドウ言ウ意味ナンデショウ?」
「『ちょい言ったー』だって。ツイッタ―と掛けたんじゃないか? ほら、ロゴまでパクッてるし」
「ウワ、本当デスネ・・・書体ヤ、カラーマデパクッテマスネ。」

「この、JK-S.Sって、斉藤さんじゃないか? 女子高生 咲月 斉藤って読めるぜ、これ」
「ハイ、確カニ、ソウ読メマスネ。悔シイカラ、私モ登録シチャオウカシラ・・・」
「いや、お前が登録しても意味が無いだろ、って言うかなんでライバル心剥きだし何だよ、みるふぃ~ゆ」
「ダッテ、一郎サンガ相手シテクレナイカラ」
「って、それって問題発言だろ~。まぁいいや、取りあえず俺も登録しておこ。え~っと・・・」
背後にみるふぃ~ゆの視線が突き刺さるのを感じつつ、僕はキーボードを打ちこんだ。



「そう言えばさぁ、みるふぃ~ゆ。今朝の事件ってその後どうなった?ほら、メリーアンが誤作動してユーザーに怪我を負わせた事件」
「カンパニーノ方モ情報収集デ混乱シテイルミタイデス。メリーアンノ、アマチュア改造ガ原因ダソウデス。」
「折角、昨日ファームアップしたって言うのにな。」
「ソウデスヨネ。一郎サンハ、私ノ身体ニ変ナ事シナイデ下サイネ」
「凄い、語弊を招くようなセリフだなぁ。心配するなって、みるふぃ~ゆ。俺はそんな才能も金も無いんだって」
「ジャア、オ金ヤ才能ガ在ッタラ、改造スルンデスカ?」
「いや。そう言う意味じゃなくてよ・・・」

「スイマセン、チョット意地悪ナ質問デシタネ。・・・気分ヲ入レ替エテ、勉強ニシュウチュウシマショウカ?」
「う~ん、気分を入れ替える事には賛成なんだだがなぁ・・・」
♪♪♪
「アッ、今度ハ小村サンカラノメールデスヨ。モウ、斉藤サント言イ、勉強ノ邪魔シナイデ欲シイデスヨネ」
「・・・そうだよなぁ。俺が勉強に集中出来ないのはあいつ等のせいだからな、みるふぃ~ゆ」
「ソレハ、ドウナンデショウ・・・?」そう言いながら、悪戯っぽく笑うみるふぃ~ゆ煮、不覚にもキュンっとなってしまった。
改造なんてしなくたって、今のままのみるふぃ~ゆで良いと思う瞬間だった。


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「おはよう~。ねえ、また今夜メリーアンの一斉ファームアップだってね」
学生カバンを机の横のフックに引っ掛けながら、斉藤さんが話かけてきた
「おう。今朝、みるふぃ~ゆに聞いた。」
みるふぃ~ゆは、もちろん元気ですよ♪ おはようございますです。
――――――――― android game 編 5月27日(金)―――――――――
「小村に聞いたけど、こんなに短いサイクルでファームアップするって珍しいんだって?」
「そうね、通常は月に1回なんだけどねぇ。何かバグでも見つかったんかなぁ?」
「また、違法改造対策みたいだね」
「あぁ、最近ひどいもんね。・・・それはそうと、昨日の課題全部出来た?」
「今朝3時までかかったぞ。みるふぃ~ゆが居るから、居眠りとかさせてもらえないし(笑)」
ほどなくチャイムが鳴り、いつもの退屈な生活が始まった。


「一郎サン、今日ハ宿題無いンデスカ?」
「おう、月曜からテストだからテスト勉強に集中しろって事みたいだな」
「中間テストデスネ。2年生ニナッテ初メテノテストデスカラ、重要デスネ。」
「まぁ、いつも通り卒なくこなすさ」
「3学期ノ期末試験、ギリギリジャナカッタデスカ。今回ハ、セメテ平均点超エレル様ニッテ、オ母サンカラミッションガ来テイマス。私、本気デ頑張リマスカラ、覚悟シテイテ下サイネ。」
「マジかよ。」不用意にみるふぃ~ゆに、中間テストの話をした事を少し後悔した。

♪♪♪
携帯にメールが届いた。

「斉藤サンカラノ、メールデスネ。」
「だから、携帯ジャックするなよな、みるふぃ~ゆ え~っと、何々?」
[お~い、飯塚君。試験勉強頑張ってる? きっと、みるふぃ~ゆちゃんにお尻を叩かれてるんでしょうね(笑) 今夜のファームアップだけどレベル3らしいから、どうしようか悩んでるんよ。今回飛ばして次のファームアップの時、一括ファームしようかな。どう思う?]

メリーアンのファームアップは、通常のアップデートと違いインストール方法が3種類有るんです。
レベル1は、メリーアンが起きていても出来る軽度又は緊急を要するファームアップ。
レベル2は、通常のアップデートと一緒で、スリープモードの時に行います。
レベル3は、メリーアンの電源を落として、内蔵HDDを書き換えるファームアップで、通常半日はメリーアンを使えなくなります。

確かに、分からない所を下手に先生やクラスメイトに聞くより、みるふぃ~ゆに聞いた方が分かりやすいし、何より勉強している横で寝られると、絶対に眠くなるよな。
[斉藤さんこそ、メイちゃんに叱られてないの? それはそうとレベル3なら確かに無理だよね。俺も試験明けてからファームアップするわ。小村は、ファームアップ絶対するって意気込んでたけど、どうするんだろうねぇ?]
僕は、メールを送信し携帯を閉じた。

「なぁ、みるふぃ~ゆ。今夜のファームアップってレベ3なんだな。お前が居ないと勉強になんないし、ファームアップは試験明けでも良いだろ?」
「カンパニー的ニハ、リアルタイムアップデートヲ推奨シテマスケド、一郎サンガ平均点以上取ル為ナラ、仕方アリマセンヨネ。試験明ケニファームアップデータヲ送信シテモラウ様ニ、カンパニーニリクエスト出シテオキマスネ。 デハ、早速試験勉強ヲ始メマショウカ、一郎サン。」

「ちょっと待て、みるふぃ~ゆ。試験勉強に集中する為に、テレビを録画しておきたいんだ、ほらお前も好きな『お馬鹿映像100連発』」
「アッ、ソレ私モ見タイデス。ジャア、DVDヲセットシマスネ。」
みるふぃ~ゆは、レコーダーの前でセットを始めた。
新型のレコーダーなら、メリーアン自体から無線やブルートゥースで指令を送れるんですけど、うちのレコーダーは旧式ですからね。ハイテクなのかローテクなのか微妙な所です。

「ジャア、セット完了シマシタ。・・・アッ見テクダサイ、K-POPグループノARAガ出テマスヨ。カワイイデスヨネ。」
「あっ、本当だ。そう言えばこの前、小村の奴ヒップダンスの真似して、筋痛めたって言ってたわ」
「アノダンスハ、難シイデスヨネ。先ズハ準備体操スル事ヲ推奨シテマシタヨ。」
「準備体操って・・・ラジオ体操でもするんか?」
「違イマス違イマス、主ニ背中カラ腰、太モモニカケテヲ重点的ニストレッチサセルンデス。見テイテ下サイ・・・ホラ、最初ハコンナ感ジデ背筋ヲ、ユックリト伸バスンデス。」
「痛てっ、これって結構きついぞ、みるふぃ~ゆ」
「一郎サン、普段カラ運動シテイナイカラデスヨ~。モット背中ヲ起コシテミテ下サイ」
「無理・・・俺、絶対無理。考えてみたら、俺はARAのヒップダンスなんてしないから。」
「アッ、ソウ言エバソウデスヨネ。」
「だろ~。おっ、『お馬鹿映像100連発』始まったぞ。・・・うわっ、どんくさ~」
「ウッ、確カニ、鈍臭イ人デスネ。ウワッ、コノ女ノ人モ可哀想デスネ。ア~、ソッチ行ッチャア駄目デスッテェ」

うん、まんまと僕の作戦にはまって、みるふぃ~ゆはテレビに熱中してますね。
これで退屈なテスト勉強をしなくて済みそうです♪
こんな時は、ドジっ子スキルで良かったなぁって思いますよ(笑)

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「比呂十さん、これで案内状は全部出し終わりましたね」
「そうだね美咲さん。後は・・・そろそろマジで新居を決めないとですね」
「そうですよねぇ~。2つに絞り込んだまでは順調だったですけどね。実は、今でもどっちにしようか悩んでるんですよ」
美咲さんは、口を少し尖らせて、テーブルの上の物件のコピーを手に取った。
そんな横顔も結構好きですよ、こんにちは比呂十です。
―――――――――5月21日(土)―――――――――
各方面から、話が入っているとは思いますが、僕達来月結婚します。
出会って3回目に一度プロポーズしてますが、去年の9月にもう一度改めてプロポーズしました。

プロポーズしたのは、ドライブ帰りの車の中。
途中から雨が降り出して、ドライブとしては最低でしたが、僕の人生の中では最高の一日です。

雲山市街を見渡せる、山道の路肩に車を止め、お互いの仕事の話をしたりしていました。
ふっと会話が途切れ、視線をフロントウィンドウに移す。
ワイパーが掻いた雨が、ウインドウを伝い流れ落ちて行く様をぼんやりと眺めていた。

ここの所、ずっと気になっていた事をふっと思い出す。
あの時は、半分勢い的な調子で美咲さんにプロポーズして、彼女からも返事をもらったけど、美咲さんの中であの時の思いが今でも揺らいでないか、気になっていた。

「あの美咲さん、突然こんな話で恐縮なんですが・・・」
「どうしたんです比呂十さん?そんなに改まって」
「いや・・・あのぉ。そろそろ付き合い始めて1年が経ちますよね。あの時自販機の前で言った事、覚えてます?」
「えっ? う、うん・・・」少し美咲さんがうつむいた。
「俺の気持ちは、あの時と変わっていません。むしろ1年経って、余計にその想いは強くなりました。ですから、ですから・・・」
「ですから?」
「・・・・・・改めて言います。僕と・・・僕と・・・」

おっと恥ずかしい位情けない自分をさらけ出す所でしたね。
そんなこんなで、今日も美咲さんのアパートで、打ち合わせやら何やらして過ごしています。


僕は、テーブルの上のもう一枚の物件のコピーを手に取った。
「比呂十さんが持ってる物件の方が、お互い勤め先には近いですよね。サンモールやホームセンターも近いから便利は便利なんですけど・・・」
「でも、美咲さんが持ってる方の物件が、部屋数多くて少し家賃も安いんですよねぇ」
「そうなんですよねぇ、いずれは比呂十さんの実家で暮すにして、それまでに子供が生まれたりした時の事考えると、悩んじゃうんですよ」
「まぁ俺的にはどっちのアパートも実家よりは会社に近いから、問題ないんですけど。ポイントは、部屋数を取るか利便性を取るかですよね」

お互い、あ~でもない こ~でもないっと意見を出し合いましたが、結局これっと言った決定打が生まれず、今日もまた煮詰まってしまいそうです。

「ふぁ~、やっぱり悩みますねぇ美咲さん・・・気分転換にコーヒーでも飲みませんか」
そう言って僕は席を立った。
「あっ、園長先生からお裾分けのクッキーもらって来たんですよ」そう言いながら、美咲さんも席を立つ。

「森山の奴がね、コーヒーは蒸らしと湯温が大切だって熱弁するんですよ。あいつ変な所にコダワリ持ってますからね。」
「モリヒデ君って、そんな感じしますよね(笑)」
やかんがカタカタと鳴り始めた。コンロの火を止め沸きたてのお湯を注ぐ
「あいつ曰く、蒸らしは220秒が一番美味しいらしいですよ」
壁際の時計に目をやる二人。
「・・・・・・」「・・・・・・」
「・・・・・・220秒って結構長い時間蒸らすんですね。」
「これで美味しくなかったら、月曜日文句言っておきますね。」

コーヒーサーバーを無言で覗き込む自分たちの姿に、思わず吹き出しそうになる。
「二人でコーヒーサーバー覗き込んで何してんでしょうね、そんな事したって時間が早く進む訳じゃないですのにね」
「まぁ確かに比呂十さんの言う通りなんですけどね。でも、一緒の時間を共有している実感が有って、結構私は好きですよ。これからも、ず~っとこうして二人で時間を共有していくんですね」

美咲さんの言葉に、ガラにもなく胸がキュンとなる。
隣に立つ美咲さんの右手をそっと握る。
一瞬ビクってしましたが、すぐ強く握り返してくる。
コーヒーサーバーを覗き込んでいる視線の端で、美咲さんを追いかける。
同じ様にまっすぐコーヒーサーバーを覗き込んでいるけど、握り返した手を表情のどこかで意識しているのが分かる。
「・・・そうですね。これからず~っと、こうやって二人の時間が流れて行くんですね、美咲さん」
視線の端に、微笑みながら小さくコクリと頷く美咲さんが居た。



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「あれっ、洋君? 今、帰り?」
「いや、丁度タバコが切れたし、明日の朝の食パンが無くなってたからさ、ダイエーに行くところ。そろそろ日向が帰ってくる頃だろうと思って、改札で少し待ってたんだ」
「そっか、ありがとう。じゃあ一緒に行こうか」
傘用ビニールに入れた折りたたみ傘を、トートバッグの奥に仕舞い込み、傘をさす洋君の右腕にしがみつく。
私達、神戸に引っ越ししましたよ。
こんばんわ、日向です。
―――――――――5月13日(金)―――――――――
駅を出ると外は相変わらず土砂降りです。
「よく降るわよね。」
「明日も降るって、さっきニュースで言ってたぞ」
「ホント? まぁ明日は休みだから良いけどね。雨の日の出勤って憂鬱だよね」
「まぁでも、ここの電車なら寿司詰めって事ないから、まだ良いよな。雨の日の都心は最悪だったぞマジで。」
「それはそうかもだけど、三宮まで出る電車賃が高いよね。それでどうだった今日の面接?」
「う~ん、どうなんだろ? 事務所の雰囲気からすると、年齢的に難しいかもな」

そうなんです、洋君は去年の12月に会社が倒産してしまい、大阪赴任時代の繋がりで神戸の会社に入ったんです。
でも、震災の影響で業績が悪化し、リストラされてしまい、今は求職中の身なんです。

私の方は、美結ちゃんも今年から小学校だし、真子ちゃんが居るから、もう心配する事も有りませんので、松舞に留まる理由が無くなりました。
だから無理を言って松舞保育所を退職し、園長先生の御好意で紹介して頂いた市内の私立保育所に勤めています。

両親には建前上一人暮らしって事になってますが、実は洋君と一緒に暮らしてます。
洋君が神戸に引っ越す時、今後の事を考えて少し無理をして1LKの部屋を借りてくれました。
不安定な生活状況ですが、二人にとって大きな一歩を踏み出した事に満足しています。


「洋君、今夜のおかずはもう決まってるの?」
「おう、今夜は野菜の掻き揚げ天丼・・・まぁ、横着して掻き揚げは出来合い物だけどな。」
取りあえず就職が決まるまで、家事の一切がっさいは洋君の担当です。
4年近い転勤生活で身に付けたスキルを遺憾無く発揮してもらってます(笑)
「全然平気だよ。ラーニングコストを考えたら、総菜物の方が安い物だってあるしね」
「その分、天つゆはこだわりの味に仕上がったぞ。」
「いつも、ありがとうね。そうだ、折角だから何かデザート買って帰ろうか」
「いいねぇ、何かコーヒーに合う物がいいなぁ」
「う~ん、じゃあケーキかビスケット辺り?」
「そうだな、チョコパイとかどうだ?」
「洋君、好きだよねチョコパイ」
「おう、味はもちろんだけど腹も膨れるし、デザートとしては最高だな」

「だったら箱菓子のコーナーだね。・・・ねぇ、これ懐かしくない?」
「有ったね~昔。子供の頃、良く食べたわぁ・・・名前、何って言うんだっけ?」
「ジェリービーンズよジェリービーンズ。ほらマッキーの24Super Marketの歌詞にも出てくるでしょ。」
「ああ、『気の早い君が開けたジェリービーンズの大きな袋』って奴だな」
「そうそう。久しぶりに食べてみない?」
「でも、色はカラフルだけど味は同じだよな。」
「え~っ、そんな事ないよぉ。色んな味がするはずよ」
「嘘だぁ」
「それ何か別のお菓子と混同してない? やっぱ、試しに買ってみよ」そう言いながら私はショッピングカートにジェリービーンズの袋を押し込んだ。


「ご馳走さまでした」手を合わせ二人で合唱する。
「明日休みだし、私が洗い物しようか洋君」
「いやイイよ日向。折角なんだからゆっくりしとき。」
「でも、一人でテレビ見てても退屈だし・・・じゃあ、食器拭きと収納手伝うね」
「じゃあ、そうしてもらおうかな」

二人で取りとめのない会話をしながら、洗い物をする。
洋君が洗った食器を手渡しで受け取り、布巾で拭き上げ棚にしまう。
当たり前の行動だけど、私にはどれも新鮮に感じてしまう。
「やっぱ二人で片付けすると早いな・・・じゃあ俺はコーヒーの準備するわ」
「うん。あっ、そう言えばジェリービーンズ、どれかの容器に移そうか」
「あっ、良い容器が有るぞ。東京にいた時、お客さんの海外旅行土産にもらったキャンディの容器がそのまま残ってるぞ。」
そう言うと洋君は、食器棚の奥から透明なキャニスタ―を取り出した。
「ガラスのは良く見るけど、これプラスチックなんだよな。軽いし扱い易そうだから取っておいたんだよな。」
私は、キャニスタ―の蓋をあけ、ジェリービーンズを流し込む。
軽快な音と共に、カラフルなジェリービーンズでキャニスタ―が満たされていく。

ced5a901.jpg
キッチンのブラインドの所に置いて有る、バジルの鉢植えをちょっと横にずらし、そこにキャニスタ―を並べてみる。
「見て見て洋君、すごく可愛くない?これ。」
「お~確かに確かに。」
これでまたキッチンが少し華やかになりました。
キャニスタ―のストッパーを外し、ジェリービーンズを2個摘み出す。
一個を口に頬張りながら、もう一個を洋君の口元に差し出す。
ドリッパ―にお湯を注いでいる洋君は、そのままパクッとジェリービーンズを頬張った。

「ちょっとぉ、私の指まで食べないでよね。」そう笑うと、洋君も「悪りい悪りい」と言いながらほほ笑んだ。
まだ始まったばかりで、どことなくギコチナイ二人の生活だけど、きっと上手くやっていける・・・そんな気がした瞬間だった。



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