・・・寝付けずにいます。
詩音を、起こさない様に静かに、ベッドから抜け出しました。
とりあえず、冷蔵庫からビールを取り出して、エアコンでカラカラに乾いた喉を潤してみる。
「大体、今何時なんだよ・・・」
窓際の目覚ましに視線を落としてみる。
赤いLEDが、0:00にちょうど変わりました。
・・・3月10日、僕の21回目の誕生日です。
こんばんわ、御主人様28号こと、隆文です。
―――――――――3月10日(水)―――――――――
ベッドの上では、すぅすぅと詩音が寝息を立てています。
詩音が喉を痛めない様に、加湿器のスイッチを入れておく。
低いノイズと共に、ノズルから静かに水蒸気が流れ始め、その水蒸気に時計のLEDの明かりが、拡散されて幻想的な雰囲気を醸し出しています。
僕はタバコに火を点け、ぼ~っとそんな光景を眺めるてた。
21歳かぁ・・・。
自分の中では、高校時代から歳だけ重ねて、何も成長していない気がしています。
この前、詩音にその事を話したら、「そんなもんだって」言ってました。
でも、「自分が気付いていないだけで、実は考え方が少しづつ変化していっている」とも、言ってました。
「だから、焦る事は無いって。一日一日、人間は成長していくんだから、嫌でも心も成長しているんだ」と。
「そんなもんかね~」ってその時は笑い飛ばしたのを覚えてます。
僕は来週から、内定を貰った会社で2週間程アルバイトをする事になってます。
少しでも早く、会社に慣れておきたかったからです。
正直、うまく会社で立ち振る舞っていけるか、心配ですよ。
意外にナーバスなんです、僕って。
不安と期待で、眠れない日々が続いていました。
そして1年後、10年後の自分って物が、全く見えてない事に不安を感じています。
詩音は、「そんな物は、誰だって分からない。分かっている人は、分かっている気になっているだけだ。」って、話してくれました。
確かにそうかも知れませんね・・・
でも、これだけは信じていたい、未来が有ります。
1年後も10年後も、僕の様々な出来事の中に、詩音が居る事。
それだけは、分かっていたい。
相変わらず静かに、寝息を立てている詩音を見つめてみる。
ず~っと、このまま時が止まってくれれば、どんなに良い事か。
そうすれば、いつまでも僕は詩音のそばに、そして詩音が僕のそばに、居る事が出来る・・・
そんな、甘い考えばかりしているから、ダメなんですよね、もっと現実に目を向けなきゃ。
「う~ん、ご主人様ぁ~・・・あれ?・・・ご主人様ぁ?」
詩音が起上がり、寝ぼけた目で僕を探しています。
「ここだよ、詩音。何だか寝付けなくってさ。」
「良かったですぅ。ご主人様が居なくなっちゃったかと、思いましたぁ。」
「ゴメンゴメン、もう一本タバコを吸ったら、ベッドに戻るから。」
「はいなのですぅ。詩音がちゃ~んと、お布団温めておきますからね♪」
そう言うと詩音は、毛布に頭から包まった。
・・・5年先、10年先、僕らが例え結婚して子供が居たとしても、こう言う甘い関係は続けていたい。
先の事は分からない、だから毎日を精一杯生きていたい。
ただ詩音と過ごす明日を目指して、今日を生きていく。
そんな生き方しか出来ない。
でも、振り返った時、そこに有る思い出の数々を、本当は「幸せ」って呼ぶらしい。
なら、毎日を精一杯過ごしていこう、例えそれが険しい茨の道だとしても、詩音の笑顔を見る為なら、歩いて行ける気がした。
タバコをもみ消し、ベッドに潜り込む。
「タバコ臭いですぅ~、ご主人様ぁ」
「ゴメンゴメン」そう言いながら、詩音の頬にキスをする。
僕が傍に居る事で安心したのか、詩音はまた静かに寝息を立て始めた・・・
詩音を、起こさない様に静かに、ベッドから抜け出しました。
とりあえず、冷蔵庫からビールを取り出して、エアコンでカラカラに乾いた喉を潤してみる。
「大体、今何時なんだよ・・・」
窓際の目覚ましに視線を落としてみる。
赤いLEDが、0:00にちょうど変わりました。
・・・3月10日、僕の21回目の誕生日です。
こんばんわ、御主人様28号こと、隆文です。
―――――――――3月10日(水)―――――――――
ベッドの上では、すぅすぅと詩音が寝息を立てています。
詩音が喉を痛めない様に、加湿器のスイッチを入れておく。
低いノイズと共に、ノズルから静かに水蒸気が流れ始め、その水蒸気に時計のLEDの明かりが、拡散されて幻想的な雰囲気を醸し出しています。
僕はタバコに火を点け、ぼ~っとそんな光景を眺めるてた。
21歳かぁ・・・。
自分の中では、高校時代から歳だけ重ねて、何も成長していない気がしています。
この前、詩音にその事を話したら、「そんなもんだって」言ってました。
でも、「自分が気付いていないだけで、実は考え方が少しづつ変化していっている」とも、言ってました。
「だから、焦る事は無いって。一日一日、人間は成長していくんだから、嫌でも心も成長しているんだ」と。
「そんなもんかね~」ってその時は笑い飛ばしたのを覚えてます。
僕は来週から、内定を貰った会社で2週間程アルバイトをする事になってます。
少しでも早く、会社に慣れておきたかったからです。
正直、うまく会社で立ち振る舞っていけるか、心配ですよ。
意外にナーバスなんです、僕って。
不安と期待で、眠れない日々が続いていました。
そして1年後、10年後の自分って物が、全く見えてない事に不安を感じています。
詩音は、「そんな物は、誰だって分からない。分かっている人は、分かっている気になっているだけだ。」って、話してくれました。
確かにそうかも知れませんね・・・
でも、これだけは信じていたい、未来が有ります。
1年後も10年後も、僕の様々な出来事の中に、詩音が居る事。
それだけは、分かっていたい。
相変わらず静かに、寝息を立てている詩音を見つめてみる。
ず~っと、このまま時が止まってくれれば、どんなに良い事か。
そうすれば、いつまでも僕は詩音のそばに、そして詩音が僕のそばに、居る事が出来る・・・
そんな、甘い考えばかりしているから、ダメなんですよね、もっと現実に目を向けなきゃ。
「う~ん、ご主人様ぁ~・・・あれ?・・・ご主人様ぁ?」
詩音が起上がり、寝ぼけた目で僕を探しています。
「ここだよ、詩音。何だか寝付けなくってさ。」
「良かったですぅ。ご主人様が居なくなっちゃったかと、思いましたぁ。」
「ゴメンゴメン、もう一本タバコを吸ったら、ベッドに戻るから。」
「はいなのですぅ。詩音がちゃ~んと、お布団温めておきますからね♪」
そう言うと詩音は、毛布に頭から包まった。
・・・5年先、10年先、僕らが例え結婚して子供が居たとしても、こう言う甘い関係は続けていたい。
先の事は分からない、だから毎日を精一杯生きていたい。
ただ詩音と過ごす明日を目指して、今日を生きていく。
そんな生き方しか出来ない。
でも、振り返った時、そこに有る思い出の数々を、本当は「幸せ」って呼ぶらしい。
なら、毎日を精一杯過ごしていこう、例えそれが険しい茨の道だとしても、詩音の笑顔を見る為なら、歩いて行ける気がした。
タバコをもみ消し、ベッドに潜り込む。
「タバコ臭いですぅ~、ご主人様ぁ」
「ゴメンゴメン」そう言いながら、詩音の頬にキスをする。
僕が傍に居る事で安心したのか、詩音はまた静かに寝息を立て始めた・・・