松舞ラブストーリー

山陰の仮想の町松舞町を舞台にした、様々な恋愛を見守ってやって下さいね

カテゴリ: android game

昨日は「ちょい、言ったー。」で盛り上がってしまって、思った程テスト勉強が出来ませんでした。


・・・っと、みるふぃ~ゆが愚痴をこぼしています。
僕的には、合間合間で結構勉強したと思っているんですが(^_^;)
おはようございます、一郎です。
――――――――― android game 編 5月29日(日)―――――――――
「一郎サン、今日コソハ死ニモノ狂イデ、勉強シテモライマスカラネ。」

あっ・・・やばい・・・
みるふぃ~ゆが、怖い顔して睨んでます。

「・・・実は今日、斉藤さんと町立図書館で会う約束なんだ。メイちゃんも来るから、みるふぃ~ゆも出掛けないか?」
「エッ! メイチャンニ、会エルンデスカ? 久シブリニ、オ喋リシタイト思ッテマシタ。ハイ、一緒ニ出掛ケマスゥ。ソレデ、待チ合ワセハ何時ナンデスカ、一郎サン?」

みるふぃ~ゆが、嬉しそうに話かけてきた。
・・・ふふっ、また今日もみるふぃ~ゆの気を反らす事に成功しましたね♪
「んっと、昼飯食ってからって話だから、1時位だな。」
「ジャア、午前中ハ勉強出来マスネ♪」

・・・ちっ、みるふぃ~ゆの方が一枚上手だったみたいです。



「違イマスッテ、一朗サン。 水酸化イオンハ1価ダカラ、同ジ1価ノナトリウムイオンハ、1ツシカ結合シマセンヨ。」
「あっ、そうか・・・俺、化学反応って苦手なんだよな。」
「ソウデスネ・・・過去ノ成績カラ見テ、一郎サンハ理数系ガ苦手デスヨネ。文系ヤ社会科モ、オ世辞ニモ良イ成績トハ言イ難イデスネ。体育ヤ、音楽美術ハ、マァマァナンデスケド」
「落ち込む様な事、堂々と言うなよな。俺が音楽で赤点取ったら、洒落にならんだろ。」
「『神ハ我ヲ、見捨テテナカッタ』ッテ奴デスネ。」
「神様に嫌われても、うちは仏教徒だから、仏様に嫌われなければ、大丈夫だもんね。」
「ソンナ子供ッポイ事バッカリ言ッテルカラ、駄目ナンデスッテ・・・アッ、ソロソロ昼食ノ時間デスネ。私、手伝イニ下リテ来マス。一郎サンハ、コノページヲ解イテカラ、ゴ飯食ベニ下リテ下サイネ。」
「はいはい。」あ~やっと、勉強から解放されます♪
「『ハイ』ハ1回デスヨ。ソレト、答合ワセシテ、全問正解スルマデ、オ昼ゴ飯ハ食ベレマセンカラネ」
「マジかよ~」僕は、渋々机に向かった。




「キャ~、メイチャン久シブリ~。元気ダッタ?」
「ウン。ミルフィ~ユチャンコソ、元気デシタカ?」
メリーアンに元気とか病気とかって要素は無いと思うんだが(^_^;)
「悪りい、斉藤さん。みるふぃ~ゆが意地悪するから、遅くなった」
「意地悪ッテ・・・一郎サンガ、何回モ答ヲ間違ウカラデスヨ~」
「何やってたんよ? あんた達は?」
「いや、化学の問題全問正解するまで、昼飯抜きだったんだ」
「そりゃ、お昼ご飯を食べれた事の方が、奇跡だね。」

「ひどいなぁ~、斉藤さんまで・・・ところで、その大きなカバンの中身は何?」
「はぁ? 何って、もちろん教科書や参考書でしょ! 図書館で何すると思ってたの?」
「何って・・・考えてなかった」

「あんたねぇ・・・本読むか、勉強する以外に図書館で、何が出来るのよ。・・・まぁいいわ、別々の教科を勉強すれば、いい事なんだから。」
「やっぱ、勉強するんかよ~ 俺は午前中も頑張って勉強してたんだぜ」
「一郎サ~ン、ソレハ昨日勉強スル予定ダッタ所デ~ス。今日勉強スル分ハ、マダ残ッテマスカラネ。」振り返ると、みるふぃ~ゆがメイちゃんとニンマリ笑っています。

「私達ッテ、大変ダヨネ。オーナーノ身ニ回リノ、オ世話ヲシナガラ、勉強モ教エナキャイケナインダカラ。」
「デモ、咲月サンガオーナーナラ、勉強ノ心配ハ、シナクテイインジャナイノ、メイチャン?」
「ソンナ事ナイヨ、モチベーションヲ維持サセルノ大変ナンダカラ。セイゼイ、3時間ガ限度ヨネ。逆ニ、強制的ニ休憩取ラセナキャイケナイ位、集中シテイル時モ有ルシ」
「一郎サンハ、モチベーションガ30分続ケバ良イ方ダヨ。」

「こら~! みるふぃ~ゆ、余計な事喋るなよな。」
「みるふぃ~ゆちゃんも、大変ね。飯塚君の家に来た事、後悔してない?」斉藤さんが笑っています。

「オ父サンヤ、オ母サンガ、優シクテ明ルイデスカラ、毎日楽シイデスヨ、咲月サン。」

「そう、なら良かった。 じゃあ、図書館入ろうか。みるふぃ~ゆちゃんとメイは、裏の公園にでも行ってる? このKOだから。」
「ソウデスネ、裏ノ公園デ、ミルフィ~ユチャント、オシャベリシテイマス。」
KOとは、メリーアンが立ち入れない場所の隠語です。
図書館って、著作権の有る物ばかりだから、違法コピー対策として立ち入り禁止措置が取られています。
他にも、書店や映画館もドンキーですし、聴音録音機能が有る為、CDショップに入店は出来るのですが、視聴行為は禁止になっています。
これらの問題が解決されない限り、完全なメリーアンとの共存は不可能なので、メリーアンユーザー達はKOと呼んで敬遠しています。

「咲月サン、一郎サンノ性根ヲ叩キ直シテヤッテ下サイネ(笑) ジャア、メイチャン行コウカ。」
「お前なぁ・・・」みるふぃ~ゆとメイちゃんは、手を繋いで公園へと歩いていった。

「こうやって見ると、仲の良い双子の姉妹みたいよね」
「確かにね。顔はお互いノーマルだもんな。」
「さて・・・じゃあ飯塚君の性根を叩き直そうかな」
「斉藤さんまで、そんな事言う~」笑いながら僕達は図書館に入った。

・・・傍からみたら、高校生カップルの健全なデートに見えるかな?って思ったけど、あえて口にはしなかった。
言葉にしてしまうと、今が無くなる様な気がしてしまう。
そして、幸せなのか不幸なのかは分からないけど、斉藤さんの、みるふぃ~ゆより厳しい猛特訓が始まるのだった。

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♪♪♪
「一郎サン、斎藤サンカラメールガ来マシタヨ。」
「だから、携帯ジャックするなよな、みるふぃ~ゆ。はいはいっと。」
結局昨日はテレビを見た後、そのまま寝てしまいました・・・おかげで今日は朝から机の前に拉致されてます・・・こんにちは一郎です。
――――――――― android game 編 5月28日(土)―――――――――
[こんにちは、一郎君。台風が近づいてて天気悪いね。まぁ、どの道テスト勉強しなきゃなんだけど。あのね、松舞町限定SNSサイト発見したよ。『ちょい、言ったー。』って言うんだけど、暇な時に覗いてみてね。アドレスは、http://tyoitter.blog.fc2.com/だからね。・・・そうそう、今朝は痛ましい事故が有ったね。同じメリーアンユーザーとして考えさせられるわぁ]

「へぇ~、松舞限定SNSかぁ・・・なぁ、みるふぃ~ゆ、ちょっとパソコン立ち上げるぞ。」
「モウ、一郎サンッタラ、斉藤サンカラメールガ来ルト、スグ対応シチャウンダカラ・・・私、妬イチャイマス。」
「馬鹿、そんなんじゃないんだって。新しいSNSを見付けたんだってさ、松舞限定の」
「松舞限定デスカ? ユーザー数少ナソウデスネ。スグ、閉鎖サレルンジャナイデスカ?」
「結構シビアに見てんなぁ、みるふぃ~ゆは。確かに、そうなんかもしれないけどな。えっとhtt・・tyoitter・・・」
「チョイッターデスカ?ドウ言ウ意味ナンデショウ?」
「『ちょい言ったー』だって。ツイッタ―と掛けたんじゃないか? ほら、ロゴまでパクッてるし」
「ウワ、本当デスネ・・・書体ヤ、カラーマデパクッテマスネ。」

「この、JK-S.Sって、斉藤さんじゃないか? 女子高生 咲月 斉藤って読めるぜ、これ」
「ハイ、確カニ、ソウ読メマスネ。悔シイカラ、私モ登録シチャオウカシラ・・・」
「いや、お前が登録しても意味が無いだろ、って言うかなんでライバル心剥きだし何だよ、みるふぃ~ゆ」
「ダッテ、一郎サンガ相手シテクレナイカラ」
「って、それって問題発言だろ~。まぁいいや、取りあえず俺も登録しておこ。え~っと・・・」
背後にみるふぃ~ゆの視線が突き刺さるのを感じつつ、僕はキーボードを打ちこんだ。



「そう言えばさぁ、みるふぃ~ゆ。今朝の事件ってその後どうなった?ほら、メリーアンが誤作動してユーザーに怪我を負わせた事件」
「カンパニーノ方モ情報収集デ混乱シテイルミタイデス。メリーアンノ、アマチュア改造ガ原因ダソウデス。」
「折角、昨日ファームアップしたって言うのにな。」
「ソウデスヨネ。一郎サンハ、私ノ身体ニ変ナ事シナイデ下サイネ」
「凄い、語弊を招くようなセリフだなぁ。心配するなって、みるふぃ~ゆ。俺はそんな才能も金も無いんだって」
「ジャア、オ金ヤ才能ガ在ッタラ、改造スルンデスカ?」
「いや。そう言う意味じゃなくてよ・・・」

「スイマセン、チョット意地悪ナ質問デシタネ。・・・気分ヲ入レ替エテ、勉強ニシュウチュウシマショウカ?」
「う~ん、気分を入れ替える事には賛成なんだだがなぁ・・・」
♪♪♪
「アッ、今度ハ小村サンカラノメールデスヨ。モウ、斉藤サント言イ、勉強ノ邪魔シナイデ欲シイデスヨネ」
「・・・そうだよなぁ。俺が勉強に集中出来ないのはあいつ等のせいだからな、みるふぃ~ゆ」
「ソレハ、ドウナンデショウ・・・?」そう言いながら、悪戯っぽく笑うみるふぃ~ゆ煮、不覚にもキュンっとなってしまった。
改造なんてしなくたって、今のままのみるふぃ~ゆで良いと思う瞬間だった。


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「おはよう~。ねえ、また今夜メリーアンの一斉ファームアップだってね」
学生カバンを机の横のフックに引っ掛けながら、斉藤さんが話かけてきた
「おう。今朝、みるふぃ~ゆに聞いた。」
みるふぃ~ゆは、もちろん元気ですよ♪ おはようございますです。
――――――――― android game 編 5月27日(金)―――――――――
「小村に聞いたけど、こんなに短いサイクルでファームアップするって珍しいんだって?」
「そうね、通常は月に1回なんだけどねぇ。何かバグでも見つかったんかなぁ?」
「また、違法改造対策みたいだね」
「あぁ、最近ひどいもんね。・・・それはそうと、昨日の課題全部出来た?」
「今朝3時までかかったぞ。みるふぃ~ゆが居るから、居眠りとかさせてもらえないし(笑)」
ほどなくチャイムが鳴り、いつもの退屈な生活が始まった。


「一郎サン、今日ハ宿題無いンデスカ?」
「おう、月曜からテストだからテスト勉強に集中しろって事みたいだな」
「中間テストデスネ。2年生ニナッテ初メテノテストデスカラ、重要デスネ。」
「まぁ、いつも通り卒なくこなすさ」
「3学期ノ期末試験、ギリギリジャナカッタデスカ。今回ハ、セメテ平均点超エレル様ニッテ、オ母サンカラミッションガ来テイマス。私、本気デ頑張リマスカラ、覚悟シテイテ下サイネ。」
「マジかよ。」不用意にみるふぃ~ゆに、中間テストの話をした事を少し後悔した。

♪♪♪
携帯にメールが届いた。

「斉藤サンカラノ、メールデスネ。」
「だから、携帯ジャックするなよな、みるふぃ~ゆ え~っと、何々?」
[お~い、飯塚君。試験勉強頑張ってる? きっと、みるふぃ~ゆちゃんにお尻を叩かれてるんでしょうね(笑) 今夜のファームアップだけどレベル3らしいから、どうしようか悩んでるんよ。今回飛ばして次のファームアップの時、一括ファームしようかな。どう思う?]

メリーアンのファームアップは、通常のアップデートと違いインストール方法が3種類有るんです。
レベル1は、メリーアンが起きていても出来る軽度又は緊急を要するファームアップ。
レベル2は、通常のアップデートと一緒で、スリープモードの時に行います。
レベル3は、メリーアンの電源を落として、内蔵HDDを書き換えるファームアップで、通常半日はメリーアンを使えなくなります。

確かに、分からない所を下手に先生やクラスメイトに聞くより、みるふぃ~ゆに聞いた方が分かりやすいし、何より勉強している横で寝られると、絶対に眠くなるよな。
[斉藤さんこそ、メイちゃんに叱られてないの? それはそうとレベル3なら確かに無理だよね。俺も試験明けてからファームアップするわ。小村は、ファームアップ絶対するって意気込んでたけど、どうするんだろうねぇ?]
僕は、メールを送信し携帯を閉じた。

「なぁ、みるふぃ~ゆ。今夜のファームアップってレベ3なんだな。お前が居ないと勉強になんないし、ファームアップは試験明けでも良いだろ?」
「カンパニー的ニハ、リアルタイムアップデートヲ推奨シテマスケド、一郎サンガ平均点以上取ル為ナラ、仕方アリマセンヨネ。試験明ケニファームアップデータヲ送信シテモラウ様ニ、カンパニーニリクエスト出シテオキマスネ。 デハ、早速試験勉強ヲ始メマショウカ、一郎サン。」

「ちょっと待て、みるふぃ~ゆ。試験勉強に集中する為に、テレビを録画しておきたいんだ、ほらお前も好きな『お馬鹿映像100連発』」
「アッ、ソレ私モ見タイデス。ジャア、DVDヲセットシマスネ。」
みるふぃ~ゆは、レコーダーの前でセットを始めた。
新型のレコーダーなら、メリーアン自体から無線やブルートゥースで指令を送れるんですけど、うちのレコーダーは旧式ですからね。ハイテクなのかローテクなのか微妙な所です。

「ジャア、セット完了シマシタ。・・・アッ見テクダサイ、K-POPグループノARAガ出テマスヨ。カワイイデスヨネ。」
「あっ、本当だ。そう言えばこの前、小村の奴ヒップダンスの真似して、筋痛めたって言ってたわ」
「アノダンスハ、難シイデスヨネ。先ズハ準備体操スル事ヲ推奨シテマシタヨ。」
「準備体操って・・・ラジオ体操でもするんか?」
「違イマス違イマス、主ニ背中カラ腰、太モモニカケテヲ重点的ニストレッチサセルンデス。見テイテ下サイ・・・ホラ、最初ハコンナ感ジデ背筋ヲ、ユックリト伸バスンデス。」
「痛てっ、これって結構きついぞ、みるふぃ~ゆ」
「一郎サン、普段カラ運動シテイナイカラデスヨ~。モット背中ヲ起コシテミテ下サイ」
「無理・・・俺、絶対無理。考えてみたら、俺はARAのヒップダンスなんてしないから。」
「アッ、ソウ言エバソウデスヨネ。」
「だろ~。おっ、『お馬鹿映像100連発』始まったぞ。・・・うわっ、どんくさ~」
「ウッ、確カニ、鈍臭イ人デスネ。ウワッ、コノ女ノ人モ可哀想デスネ。ア~、ソッチ行ッチャア駄目デスッテェ」

うん、まんまと僕の作戦にはまって、みるふぃ~ゆはテレビに熱中してますね。
これで退屈なテスト勉強をしなくて済みそうです♪
こんな時は、ドジっ子スキルで良かったなぁって思いますよ(笑)

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「ただいま~」ボクは玄関にドカッと腰をおろし、靴を脱ぎ始める。
「オ帰リナサイ、一郎サン。遅クマデ部活ダッタンデスネ」
振り返ると、淡いピンクのトレーナと、同様に淡い黄色のスエットを履いた、みるふぃ~ゆが立っていた。
居るとは分かっていても、やっぱりドキッとしちゃいますね、こんばんは一郎です。
――――――――― android game 編 1月11日(火)―――――――――
「ちょっと部活帰りに、買い物して帰ったからね・・・ほら、オレもみるふぃ~ゆに似合いそうな洋服買ってきたよ、気に入るといいんだけどな」
そう言いながら洋服が入った紙袋を、カバンを取ろうと屈んでいるみるふぃ~ゆの鼻先に差し出す。
「エッ?私ノ為ニ買ッテキテクレタンデスカ、アリガトウゴザイマス、スゴク嬉シイデス」

「オ母サ~ン、一郎サンガ洋服ヲプレゼントシテクレマシタァ」
パタパタと嬉しそうにスリッパを鳴らしながら、みるふぃ~ゆは台所に消えていった。
人に喜んでもらえるって、やっぱりこっちも嬉しくなりますよね。
そう思いながら玄関を上がる時、ボクの足に何かがぶつかった。
「イテっ」そう思いつつ下を見ると、そこにはボクのカバンが転がっていた。
嬉しさのあまり、みるふぃ~ゆはボクのカバンを片付ける事を忘れちゃってますね・・・さすがドジっ子スキルマスターです(笑)

2階のボクの部屋に上がり、着替えをしていたらみるふぃ~ゆが部屋のドアをノックした。
「一郎サン、入ッテモイイデスカ?」
「うん、着替え終わったから大丈夫だよ」
「早速、一郎サンニモラッタ服ヲ着テミマシタ。」

ドアの前には、ボクが買ってきたボア付きの白いセーターとチェックのミニスカートを履いた、みるふぃ~ゆが立っていた。
「ドウデスカ似合イマスカ?」
軽くターンをしながら、みるふぃ~ゆがチェックのスカートをひるがえす。
「うん、思った通り似合ってて可愛いよ」
「ワ~イ、アリガトウゴザイマスゥ」みるふぃ~ゆがボクの首に抱きついて来た。
突然の出来事にボクは、頭の中が真っ白になった
「アッ大丈夫デスカ一郎サン、身体ガフリーズシテシステムエラー状態デスヨ。私ノ腕ノ力ガ強過ギマシタカ?」
「あっ、いや大丈夫だよ。突然、抱きつかれたからびっくりしたんだ。」
「ゴメンナサイ、余リニ嬉シクッテ・・・」
「うん、平気だからね。」
「デモ、コンナ洋服ヲ男ノ子ガ買ウノッテ、恥ズカシクナカッタデスカ?」
「いや、それは・・・恥ずかしかったさぁ」
みるふぃ~ゆに、斉藤さんと買い物に行った事を話すのって、何となく裏切っているような気がして話を適当に誤魔化した。

「ただいま~」
「アッ、オ父様ガ帰ッテコラレマシタ。」
そう言うとみるふぃ~ゆは階段を駆け降りた。
「オ帰リナサイ、オ父様ァ・・・エッ?コレ、私ニデスカ? ワァ、アリガトウゴザイマス。 今日ハ皆サンカラ沢山洋服ヲプレゼントサレル日デスネ・・・・・・ハイ、コノ洋服ハ一郎サンガ買ッテキテクレマシタ。」
・・・父さんまで、みるふぃ~ゆの洋服買ってきたんだ、男一人で買いに行くなんて度胸有るなぁ
まさか、他の女の人と買いに行ってたりして・・・あえて安物ドラマの様な話の展開は考えない様にしよう。


「一郎サン、ゴ飯ノ準備ガ出来マシタヨ」
「うん、分かった・・・あれ?みるふぃ~ゆ、またスエットに着替えたんだ」
「ハイ、折角一郎サンニモラッタ服ヲ汚スト、モッタイナイデスカラネ。アノ洋服ハ、オ出掛ケスル時ニ着マス」
「そうか、じゃあお出掛けする時がより一層楽しみになるな。そう言えば父さんも洋服買ってきたんだな、どんな洋服だった?」
「オ母サンガ、後デ見マショウッテ言ッテマシタカラ、マダ私モ見テナインデスヨ。今カラ楽シミデスゥ」
確かに色々な意味で楽しみです♪

今日の夕ご飯は、みるふぃ~ゆが作った寄せ鍋でした。
切って土鍋に放り込むだけだから、作ったと言うのは微妙な表現かもしれませんが。
「今日の食材はね、みるふぃ~ゆちゃんが栄養バランスを考えて選んでくれた食材なのよ。」
「コノ時期ハ、ヤッパリ蟹ガ美味シインデスケド、今日ハ海ガ荒レテイタノカ、値段ガ高カッタンデス。ダカラ今夜ハ、大山部屋ッテ相撲部屋秘伝ノチャンコ鍋ヲ真似テミマシタ。」

「秘伝なんて聞くと、すごく美味しそうに聞こえるな、一郎」
「そうだね、でもちゃんこ鍋なんて、カロリーが高そうなイメージが有るけどなぁ」
「あら、ちゃんこは意外と栄養バランスのいいヘルシーな鍋なのよ」
「ハイ、鶏ノ脂身ハ外シテ冷凍シテ有リマスシ、軟骨モツクネニシテ入ッテマスカラ、ヘルシーデ美肌効果モバツグンデスヨ」
「しかし母さん、みるふぃ~ゆと買い物に出掛けるのって、違和感とか無かった?」
「そうねぇ・・・ご近所の人に事情をいちいち説明するのが、面倒だったわね。でもみるふぃ~ゆちゃん、礼儀正しいから皆さん感心してたわよ。それ以外は全然普通に買い物出来たし、計算とか冷蔵庫の中身の把握とか、助かる事の方が多かったわよ」

「私モ、オ母サンノオ役ニタテテ嬉シカッタデス。ソレニ沢山ノ洋服ヤ日用品ヲ買ッテイタダキマシタシ。」
「どんな感じの洋服を買ってもらったんだ、みるふぃ~ゆ」
「ダッフルコートヤ、ブラウス、スカート、ワンピース、パジャマニ、ブラジャートショーツヲ買ッテモライマシタ」
「ブラジャー!・・・ショーツ!・・・」
「アッ一郎サン、マタイヤラシイ事ヲ考エテマセンカ?絶対ニ見セテアゲマセンカラネ。」
「馬鹿、お前の下着姿なんて興味無いって。そう言えば父さんも洋服買って来たんだって。恥ずかしく無かった?」

「予め母さんに、洋服のサイズを聞いておいたから、娘の誕生日プレゼントって店員に説明して選んでもらったぞ。お前こそ、年頃の男の子が女性物を買うのは恥ずかしかったろう。彼女のプレゼント用って言うのは、お前のルックスからしてリアリティに欠けるしなぁ」
「あっ、酷い事言う父親だなぁ~。言っとくけど、正治おじさんには『お父さんの若い頃にそっくり』って言われてんだぜ」
「じゃあ、彼女の一人や二人居てもおかしく無いはずなんだけどなぁ」
「一人や二人じゃなくて、一人で充分じゃないの? はいはい、馬鹿な事言ってないで食べなさいよ、折角みるふぃ~ゆちゃんが作ったお鍋が冷めちゃうでしょ」
いや~何とか、ボクがどうやって買い物したか、カミングアウトしなくて済みました(^^ゞ


食事が終わり、居間でテレビをつけたまま携帯ゲームをしていると、みるふぃ~ゆと母さんの「何これ~?」って声が聞こえてきた。
「デモ、可愛イデザインデスヨ、オ母サン♪」
「まぁ、確かに可愛いデザインだけどねぇ・・・どう言う観点で父さんは選んできたのかしら?」
「チョット着テミテモイイデスカ、オ母サン。」

「えぇ、もちろん。まぁ考え様によっては、こっちの服の方が家事をするにはうってつけよね。」
「ワァ、フリルガ一杯付イテテ、可愛イデスゥ。オ掃除トカ、楽シクナリソウナ感ジデスネ」
・・・一体、父さんはどんな服を買ってきたんだ?
「折角着たんだから、父さんや一郎にお披露目してきたらどう?」
「デモ、チョッピリ恥ズカシイデス。」
「確かに、ちょっと恥ずかしいわよね・・・絶対に私は着れないわ、そんな服は。」

「ソウ言ウ風ニ言ワレルト、余計ニ恥ズカシクナッチャイマスゥ」
「ははっゴメンゴメン。年齢的にって意味よ、みるふぃ~ゆちゃん。ほら、見せに行って来なさいよ、みるふぃ~ゆちゃんなら似合っているから大丈夫だって」

「アノ~オ父様一郎サン、チョットイイデスカ?」
うわ~一体どんなコスチュームだろう、ドキドキしてきた
「おっ早速着て見たんか。どうだ気に入ってもらえたかな?」
「ハイ、スゴク可愛イ服デス・・・デモ、少シ恥ズカシイカモ・・・」
「そんな事無いさ、絶対にみるふぃ~ゆに似合うって」
あ~勿体付けずに早く見せてもらいたいです。
「ソウイデスカ?・・・ジャア入リマスヨ」
ドアがゆっくり開いて、みるふぃ~ゆが顔を覗かせてきた。
「おう、早く入りなさいみるふぃ~ゆ」
・・・何だか妙に父さん嬉しそうです。
「ドウデスカ、似合ッテマスカ?」
「お~、イメージ通り、ぴったりじゃないか」
「うぉッ、メイド服ぅ?」
「ヤダ一郎サン、ソンナニ驚カナイデ下サイヨォ」
「いや、父さんの趣味に驚いたんだよ・・・マジでぇ父さん、そう言う趣味が有ったのぉ」

「何だよ一郎、父さんだって悩みに悩んで買ったんだぞ、結構恥ずかしかったんだからな。」
そりゃ恥ずかしいだろうよ・・・こりゃ確かに母さんじゃ着れないよな、着ている姿も想像したくないし。
って言うか、普通のブティックとかにメイド服なんて売って無いだろ~、一体父さんはどこに買いに行ったんだよ~(^^ゞ


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「お~い、イチロー」
聞きなれた声に振り返ると、ブラバン仲間の小村が手を振っていた。
「おう、オムッさんおはよ♪」
「どうしたんイチロー、何だか朝からゴキゲンじゃんか」
「いや、実は昨日な・・・うちにもメリーアンが来たんだよ」
おはようございます、飯塚一郎です。
――――――――― android game 編 1月11日(火)―――――――――
「お~、ついにイチローもメリーアンオーナーになったんだ。ハマっちゃうだろ、メリーアンって」
小村は、去年のクリスマス、一足先にジェニファータイプのメリーアンを手に入れてるんです。
「おう、リアルでマジヤバいな、あれは・・・」
「お前どのタイプを買った?ジェニファー?アリス?・・・まさかレオナルドやハリーじゃないだろうなぁ」
「止めろよ気持ち悪い、うちはアリスだ。しかも買ったんじゃなくてモニター応募に受かったんだよ」
「マジかよ、じゃあタダで手に入ったんだ、超ラッキーじゃん。んで、何て名前にした。」
「うちは『みるふぃ~ゆ』って言うんだ、中々可愛いだろ。」
「そっかぁ・・・やっぱり日本人の名前の方が、リアルな感じだぞ、名前呼ぶのに違和感無いし」
「ほっとけよ、結構気にってるんだからさ」
「まあ、そのうちうちにも連れて来いよ。色々、拡張ソフト手に入れたからよ

「おう、そのうち連れて行くよ・・・ヤベ、呼び鈴鳴ってるぞ、オイ」
「ゲッ、マジだ・・・走れイチロー」

今日は休み時間になる度に、小村や他のクラスメイトとメリーアンの話で盛り上がった。
中には、自分でメリーアンのメインプログラムをかまってチューニングしている奴とか、マニアックなカスタマイズを施している奴とかが居て、それぞれが独自の世界を楽しんでいるようだ。
クラスの女子にもメリーアンオーナーが結構居るらしい。
ボクの隣の席の斉藤さんも、メリーアンオーナーの1人って事が分かり、ちょっぴり驚いてしまった。
女子のメリーアンオーナーって言うと、どちらかと言えばヲタク系・・・所謂腐女子が多いと思っていたんだけど(実際、妖しいカスタマイズを施して結構キワドイ事を楽しんでいる腐女子が多いらしい)、ボクの知る限り清純派の斉藤さんが、メリーアンオーナーだったなんて・・・しかも、レオナルドやハリーの男性タイプじゃなくて、ボクと同じアリスタイプって言うんだから、ついイケナイ想像をしちゃいそうです(^_^;)。

「へぇ~、飯塚君モニターに当選したんだって、すごいね。」
「うん、今年の運を全部使い果たしてしまった様な気がするわ」
「う~ん、確かにそうかもしれないね。でも同じアリスって言うのは、何かテンション上がんない?」

「そうだよな・・・そう言えば斉藤さんのメリーアンは何て名前なの?」
「うちは、メイって言うんです。私の名前が咲月だから、そこからもじって付けたのよ。飯塚君のメリーアンはどんな名前にしたの?」
「うちのは、『みるふぃ~ゆ』って言うんだ。たまたまお菓子の空き箱が目に止まっちゃってさ」
「可愛い名前。外国人の名前だから、やっぱりルックスは白人系なの?」

「う~ん、さすがにモニタープレゼントだから、カスタムオーダーは出来なかったんだよな、普通に日本人系だよ」
「そうかモニターだったら、そこまでは選べないわよね。でも髪はそのうちに伸びてくるから変えれるし、ステインシャンプー使えば色だって変えれるもんね。そう言えばこの前ネットで瞳の色を変えれるカラーレンズを安売りしてたわよ。」

今まで共通の話題なんて無かったから、隣の席とは言え、そこまで話をした事なんて無かったけど、斉藤さんってイメージと違って結構おしゃべりなんですね(^_^;)


賢明な人ならお気付きかと思いますが、実はボク斉藤さんに片思い中なんです。
入学式の時つまずいて転んだボクを、クスって笑う笑顔が可愛くて、一目ぼれしちゃいました・・・でも告白する勇気なんて無いからズルズルと今日まで来ています、ちょっとロリっぽルックスで可愛いし、行動や仕草も女の子らしくて、絶対に彼氏が居る様な気がしますし・・・実際にクラスの何名かが、コクって玉砕しているから、その可能性が高いと思う。
ボクがアリスタイプのメリーアンを選んだ理由も、イメージが斉藤さんとダブってしまったからなんですよね。
考えてみたら、みるふぃ~ゆがモニタープレゼントで手に入った事よりも、斉藤さんとおしゃべりできる事が、僕にとっては幸運な事なんじゃないんでしょうかねぇ・・・
ホントにもう、みるふぃ~ゆよ我が家に来てくれて、ありがとうって感じです。


終礼の後、カバンに教科書を詰め込んでいたら、斎藤さんに声をかけられた。
「ねぇ飯塚君、今日部活あるの?」
「えっ?そうだよ。何で?」
「良かったら帰りに、ショップに寄ってみないかなって思ってね。 ほら、春物が出始めてるし、冬物のセールが始まってるわよ」
「冬物セールかぁ、オレ狙ってるビンテージタイプのスカジャンが有るんだよね、安くなってないかな~」
「ちょっと待って、飯塚君が着る服じゃなくて、アリス達が着る服だよ」
「あっ・・・そうか そうだよね」

「そうでしょ、普通」クスッと斉藤さんが笑った。
「今日みるふぃ~ゆと母さんが洋服を買いに出かけてるけど、安かったらオレ好みの洋服も着させてみたいなぁ・・・小村と男同士でショップに入るの抵抗有るからなぁ、斉藤さんが一緒なら違和感ないよね、っと」

「きっと、小村君と買いに行くより頼りになると思うよ。部活終わったら、校門で待ち合わせしない?」

「OK、5時10分位には、校門に行けると思うけど、それで大丈夫?」
「うん、じゃあ5時10分に集合ね。」そう言うと斉藤さんは、スカートをひるがえし女子の集団に消えていった。

うぉ~、まさかの展開に、アドレナリンが大量に噴き出しているのが分かります。
もう一度声を大にして言いたいです。
ホント、みるふぃ~ゆよ我が家に来てくれて、ありがとう(笑)
しかし、斉藤さんがボクの抱いていたイメージと違って、メリーアンのパワーユーザーだったんですね、それ以上に意外と積極的なのは驚きでした。
それにボクとショップに出掛けるだなんて、ひょっとして彼氏が居ない可能性が有りますね。
これって、ボクその気になっちゃってもイイでしょうか、神様


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